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パスピエ アルバム『&DNA』インタビュー

パスピエ

アルバム『&DNA』インタビュー

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昨年、デビュー5周年のアニバーサリーイヤーを迎えたパスピエ。一昨年末の武道館公演を経て“変わる”と宣言し、昨年はシングル3枚(「ヨアケマエ」「永すぎた春/ハイパーリアリスト」「メーデー」)をリリースし、その言葉通りにバンドとしての変化を提示してきた彼らが、フルアルバム『&DNA』を作り上げた。今作に込めた想いを大胡田なつき(ヴォーカル)、成田ハネダ(キーボード)の二人に訊いた。

「ブレずにできたことが自分たちの自信になった」

──2016年は、改めて振り返るとどんな一年でしたか?

成田 制作、レコーディングの1年でしたね。シングル3枚とこのアルバムと、本当にたくさんの曲を作ってレコーディングしたな、という感じで。昨年はイベントライヴはあったけど、ワンマンライヴは12月のホールツアーだけだったんですね。だから、外に向けてパスピエをしっかり見せる、アピールできる場が少なかったので、その分自分たちと向き合う時間が多くて。

──2015年の武道館ライヴを経て、また新たなパスピエを作り上げていく時間だったわけですね。

成田 そうですね。新しい畑を耕して種をまいていく作業だったと思います。無事にこのアルバムができあがって今はホッとしています。

──大胡田さんはいかがですか?

大胡田 私は、常に何かに追われていた一年だったと思います(笑)。

──追われてましたか(笑)。

大胡田 はい。このアルバムが果たしてどんな形でできあがるのか、まったく想像ができなかったんです。

成田 夏の時点であと8曲残ってたからね。

大胡田 そう。「ここからあと8曲って間に合うのかな?」って不安を抱えながらひたすら制作をしていて。でも人間やればできるものなんだなって今回学びました。

──乗り越えられた要因はなんだと思いますか?

成田 ブレずにいられたことかな。曲に対する責任感は日に日に増していくし、制作期間が短いからといって、濃度は変わらないし、限られた時間でどれだけ高めていくかってことですけど、2016年にリリースしたシングルとこのアルバムと、曲にしてもアートワークにしても、地続きで表現できたことがよかったと思うんです。こうやってブレずにできたことが自分たちの自信にもなりましたね。

──なるほど。シングルからアルバムときちんと流れが作れていたように感じます。

成田 シングル3枚がテーマ性を持って作れたし、そこである程度の流れが作れて、パスピエの存在感が示せたと思うんですね。なので、アルバムに関してはそこで作った流れにより引きずりこめる作品にしたかったので、強く自分たちの主張を入れたりして、パスピエのディープな世界を作りたいと思っていました。

──確かに今作はパスピエの深層まで見せていますね。

成田 「メーデー」は大胡田との共作で、僕が想像していた作風とは違ったものができたんですけど、それもまたおもしろさになって、より深いところまで行けた気がします。それと、実は2016年第1弾リリースの曲を「ヨアケマエ」と「DISTANCE」どちらにするか悩んだんですよね。

大胡田 結果的にアルバム曲になりましたけど、実は「DISTANCE」や「スーパーカー」はシングルになるかもしれない曲だったんですよ。

成田 「DISTANCE」くらい振り切った曲も一発目に出すにはおもしろいなって。でもそこは良心が働いて(笑)。

大胡田 徐々に見せていこうってことで。

──ファンへの気遣いですね。

大胡田 そういう部分もあります。今回のアルバムはいつも以上に丁寧に作っていった印象がありますね。アルバムとなるとやっぱり曲数も多いし、歌詞を書くのが大変で。人間、思っていることって基本的には変わらないし、伝えたいこと、言いたいことはそんなに多くないと思うんですね。だからそれを色々な表現、書き方で歌詞にしていく作業には時間を使いました。あまりに自分のなかにない世界のことは書けないし、無理して書いても嘘になってしまうから、自分の持っている世界と言葉で違った見せ方をしていく作業でした。「ああ、無情」と「DISTANCE」はなかでもすごく悩んだ曲です。

──「DISTANCE」は新しさゆえに?

大胡田 はい。今までのパスピエにない曲だったのでメロディを聴いてもパッとは言葉が浮かんでこなくて。なのでこの曲は物語的に作っていきました。

──アルバムだからでしょうけど、遊び心が満載の作品で、でも万人に愛される作品になったと思います。

成田 こういう人に聴いてほしいと聴き手を限定したくなくて、誰が聴いてもおもしろいと思ってもらえる曲を作りたいと思っているんですね。だからマニアックになりすぎても、エゴに走りすぎてもいけなくて、その微妙なボーダーラインを探して曲を作っていた気がします。それにパスピエはやっぱり歌モノでないといけないというのもあったので、そこはブレずにどれだけ新しいことをやるか、全面に出すぎず、わかってくれる人に「おっ!」って気づいてもらえるくらいの遊びを追求しました。

──バランスですよね。作り手の気持ちを聴き手に押し付けすぎてもいけないし、聴き手に気を遣いすぎて我慢するのも違うし。

成田 前作の「娑婆ラバ」で一区切り、武道館が終わったあとからは大きく変わっていくということをファンの人たちには言っていたんですね。だからガラッと変えてもよかったんだけど、方法によっては、これまでやってきたものを全部否定することになりかねないなと思って、攻め方のベクトルはすごく考えました。シングル3枚が助走的な意味を成しているので、シングルでパスピエの変化していく様を感じてからこのアルバムを聴くとおもしろいと思います。

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