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猪又孝のvoice and beats

Creepy Nuts Mini Album『助演男優賞』インタビュー

Creepy Nuts

Mini Album『助演男優賞』インタビュー

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──「助演男優賞」はMVも最高でした。悪ふざけの極致みたいな内容で。

R-指定 ホンマにそう。みんなでキャッキャ言いながら作ってましたから。

DJ松永 監督をしてくれたN2Bはメンバーが3人いるんですけど、ひとりずつ企画書を持って来てくれて、全員で今回はどんな作品にしようかっていうところから話していったんです。「じゃあ、売れた2代目が最後クスリでパクられて」とか言いたい放題言っていって(笑)。そんな中でいちばん面白かったのが、俺らがクビになるっていうストーリーだったんです。

──このMVには去年、世間を騒がせたネタがガンガン入ってますよね。不倫、薬物問題、大物グループ解散などなど……。

DJ松永 それはラッキーパンチなんですよ。とんでもない風刺曲だと思われてるんですけど、楽曲自体は別に風刺してないし、MVの本筋も風刺じゃないんです。2代目Creepy Nutsが成功していくのを俺らが助演するっていうストーリーだから、むしろ曲の内容にちゃんと沿ってるんです。

──2人が縁の下の力持ち的な役割ってことだよね。黒子的な存在というか。

R-指定 そう。それを表現しようと思ったら、入れ込んだ小ネタの方がみんなに引っ掛かっちゃったっていう(笑)。

──このMVからは、虚構の危うさというか、「実体のないものは、いつか化けの皮が剥がれるんだ」みたいなメッセージも受け取ったんですが。

R-指定 MVの最後は、追い出された俺らが「俺たちのやることは変わらんよな」って感じで顔を見合わせるんですけど、結局、このアルバム全体に漂ってるテーマがそれというか。

DJ松永 「未来予想図」もそういうオチの付け方だもんね。

──そう。MVがちゃんと「未来予想図」で歌ってることに繋がってるなと思ったんです。最後に頼れるのは自分の力なんだ、自力で勝負なんだっていう。

R-指定 今回は1曲1曲全部、最終的には自分とか、そういうオチなんで。いろんなものが積み重なって、周りの目や関わってくる人間が増えるけど、いちばん大事にしないといけないのは自分と周りの大切な数人っていう。ブームが去っても自分の近くに残ってくれてる人、ブームに関係なく昔からずっと周りにいたヤツみたいな。そこを信頼してやっていくっていうのが俺らの信念っていう。

DJ松永 だから、いつも俺らが思ってるようなことが結局オチになってる。

──そういう意味では、芯の強さやタフネスも感じるアルバムでした。

R-指定 今回はよりヒップホップなスタンスの作品になったと思いますね。

──「どっち」は、自分の居場所のなさを、ドン・キホーテ=ヤンキー系/ヴィレッジヴァンガード=サブカル系という構図で書いた曲ですね。俺らはヤンキー系でもサブカル系でもない。でも、どちらにも馴染めない自分が情けないっていう自虐にもなってる。

R-指定 これもテーマは前々から話していて。俺らはフェスの現場行っても、ロックの現場行っても、ヒップホップの現場行っても、どこか交われへんなっていうのを改めてより具体的に言いたいなと思って。

DJ松永 あと、俺ら、前作を出したときにサブカル界隈のグループだと思われ始めて、それがすごい癪だったんです。「ちげーよ」と思ってて。なんならお前らの方が腹立つわ、と思ってたんで(笑)。

R-指定 むしろ俺らは不良の方がまだ付き合いやすいから。

DJ松永 だから、最初はサブカル界隈のフェスを揶揄した曲を作りたいと思ってRに話したら「単なるサブカルディスだと悪口を言ってるだけになって面白くない」「俺らは不良にも馴染めないから、どっちでもないっていうことを歌うのはどうですか?」って。「その切り口が俺らっぽいし、いちばん面白そうだね」ということで、「どっち」ができたんです。

R-指定 だから、両方のオモロイなと思うところも入れてるんです。体育会系は体育会系でヒエラルキーがあるし、文系の方に行ってもそれはそれでヒエラルキーがあんのかい!みたいな。ヴィレバン界隈のサブカルのヤツらはドンキ系の奴らを全員「EXILEとか西野カナでしょ?」とか言うけど、お前らも同じようなパターン死ぬほどあるからな、みたいな。

DJ松永 全員柄シャツをパンツにインしてるじゃねぇか、みたいな(笑)。小さいライブハウスに行くと、Yogee New Waveのヴォーカルと同じ声を出してるヴォーカルが山ほどいるんですよ。「またかよ」みたいな。

R-指定 だから、どっちも一緒やと。形を変えてるだけで、お前の世界にもコピーキャットは死ぬほどおるっていう。で、どっちも俺らに対して「ダンジョン見てます」って言うから、お前らもわりとミーハーやんけ、みたいな(笑)。

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猪又 孝 / TAKASHI INOMATA

1970年生まれ。音楽ライター/エディター。小4のときにビートルズ「HELP」にヤラれ、19歳のときにロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズに心奪われるも、22歳でいきなりサザン・ソウルに開眼した、我ながら雑食家。現在は邦楽のソウル/R&B/ヒップホップを中心に執筆。でも、カワイイ& カッコイイ女の子もダイスキ。オフィシャル取材などで馴染みがあるアーティストは、加藤ミリヤ、Zeebra、SKY-HI、東方神起、三浦大知、RIP SLYME(五十音順)等々。

 
 
 
 
 
 
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