MUSICSHELFトップ > インタビュー・プレイリスト > 猪又孝のvoice and beats > KREVA

猪又孝のvoice and beats

KREVA ニュー・アルバム『嘘と煩悩』インタビュー

KREVA

ニュー・アルバム『嘘と煩悩』インタビュー

(ページ:2/4)

──今回はどんなアルバムをめざしたんですか?

最初はもうちょっとしっとりした雰囲気のアルバムにしようと思ってたんです。「FRESH MODE」で始まって、全体的にそういう雰囲気で進んでいって、テンションのMAXが「居場所」みたいな。でも、移籍して新たなスタートを切るっていうときにそれじゃないなっていうのは自分でもわかってたし、タイトルもインパクトのあるものにしたいと思って。それで、ずっとタイトル案として温めていた『嘘と煩悩』がいいと思うってスタッフに提案して、音的にももう少しエッジの立ったものをと思って「嘘と煩悩」というタイトル曲をつくったんです。

──「嘘と煩悩」のフックに出てくる、嘘八百(800)と煩悩の数(108)を足すとKREVA(908)になるという計算式には思わず膝を打ちました。

あれは5、6年前にひらめいて温めてたんです。

──そういうユーモアをまぶしながら、実は本質を突いた深い歌詞にもなってる。

人間みんな嘘と煩悩でできてるっていうことですよね。嘘と煩悩からは逃れられない。その嘘と煩悩を合わせると俺。つまり、俺からは逃れられないと。

──ミニマルなリズムとシャッフルなリズムを掛け合わせたユニークなトラックですが、音はどんなイメージで作っていったんですか?

他の曲はトラックがあってそこに言葉がついてくるっていう感じだったけど、これは「こういうノリにしたい」っていう明確なビジョンを持ってつくったトラックなんです。ビートの感じとかフックはトランス状態に入れるようなものっていうイメージが先にあって、♪嘘と煩悩、嘘と煩悩♪っていうフレーズがずっと頭の中で聞こえてたから、ああいう倍のノリで♪嘘と煩悩♪ってハメられるトラック、スウィングしてる感じをつくっていったんです。こういうハネた感じってなかったから、それは出したいなと思って。

──セカンドヴァースのフロウはレゲエを意識したんですか?

正確に言うとラガマフィンね(笑)。ラガマフィン・ヒップホップ。レゲエっていうよりもレゲエに影響を受けたヒップホップの人の影響を受けてる感じ、みたいなのを出せたらいいなと。当初はもっと自分が影響を受けたレゲエの感じをストレートに出してたんだけど、パクリみたいにはなりたくなかったから、自分の中で消化できるまで煮詰めてやったんです。

──近頃USでレゲエ・フレイバーが入った曲がたくさん出てきていますが、その辺の影響もあったりするんですか?

今、海外で流行ってるヤツはラガマフィンとは違いますからね。ドレイクとかパーティーネクストドアとか、あの辺のレゲエの流れを入れてる感じは、俺はレゲエを聴いて育ってきたから共感できる部分はあるんです。ただ、この曲に関しては自分の頭の中に聞こえてくるものを全部吐き出した感じです。

──全体的に今回はイマドキの海外の音に目配りしながらも、トレンドと絶妙な間合いで距離を置いた、独創的なビートを作ってるなと思ったんです。

普段はビートミュージックというか、LAのビートメイカーの音ばっかり聴いてて。だからインストのヒップホップの影響は受けてるかなって気はします。でも、イマドキ感はあんまり考えてなかったですね。実は2011年にベーシックなものができたトラックも入ってるし、「嘘と煩悩」みたいにこのアルバムのために作ったものもあるから、作った時期がバラバラなんですよ。で、「嘘と煩悩」はMPC4000で作ったけど、他はコンピュータの中で作ったものをMPC3000にサンプリングして、もう一回コンピュータに取り込むっていう作業をしたんです。本当とっかかりは何でも良くて、面白いと思えるプラグインだったら何でも使っていって、最終的にそれを着地させるのはMPCっていうことが多かったですね。そうすることで曲の時代差を埋めるっていう狙いもあったし、ノリも鳴りも濃くしたかったんです。

──濃くするというのは?

たとえば携帯の中にメチャクチャ写真がたくさん入ってるけど、それを1回プリントアウトして色を濃くキメるというか。それと似た感じで、パソコンから1回出して、MPCに入れて、もう1回取り込んであげるっていう作業が必要だったんです。求めているのは規則正しいんだけど微妙にズレてる・揺れてるっていうこと。コンピュータにはそれができる機能もあるけど、だったら本物の機材を持ってるんだし、本物でやろうっていう。

前のページ (ページ:2/4) 次のページ

ナビゲーター

猪又 孝 / TAKASHI INOMATA

1970年生まれ。音楽ライター/エディター。小4のときにビートルズ「HELP」にヤラれ、19歳のときにロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズに心奪われるも、22歳でいきなりサザン・ソウルに開眼した、我ながら雑食家。現在は邦楽のソウル/R&B/ヒップホップを中心に執筆。でも、カワイイ& カッコイイ女の子もダイスキ。オフィシャル取材などで馴染みがあるアーティストは、加藤ミリヤ、Zeebra、SKY-HI、東方神起、三浦大知、RIP SLYME(五十音順)等々。

 
 
 
 
 
 
《書籍情報》
 
日本語ラッパー15名の作詞術に迫る
『ラップのことば』
SPACE SHOWER BOOKS刊
amazonで購入・試聴する HMVで購入・試聴する タワーレコードで購入・試聴する
https://spaceshowerstore.com/detail.php?goods_id=516

ベストセラー第2弾、日本語ラップを進化させるラッパー15人の作詞術
『ラップのことば2』
SPACE SHOWER BOOKS刊
amazonで購入・試聴する HMVで購入・試聴する タワーレコードで購入・試聴する

https://spaceshowerstore.com/detail.php?goods_id=517