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猪又孝のvoice and beats

Lick-G 1st Album『Trainspotting』に描いた17歳の地図

Lick-G

1st Album『Trainspotting』に描いた17歳の地図

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中学生の頃からMCバトル大会に出場して才能の片鱗を示し、「BAZOOKA!!!高校生RAP選手権」や「フリースタイルダンジョン」でも卓越したスキルで観衆を圧倒した驚異の17歳、Lick-Gが、KEN THE 390主催のDREAM BOYとサイン。自身のために新設されたレーベル〈GENESIS〉からファーストアルバム『Trainspotting』をリリースした。彼が本作で描いたのは、周囲への不信感や怒りから生まれた17歳の地図。葛藤の果てに見出した自身の生き方を挑発的な言葉で並べ立てながら、全体的にどこか陰りを帯びているのが特徴。声色は基本的に優しくてスムーズだが、時折、17歳とは思えないほど強烈なクールネスや孤独感がスッと立ちのぼる。早熟の才能を持ち、孤高を貫こうとするLick-Gはどんな思いでラップに向き合っているのか。インタビューはあまりに早過ぎるヒップホップとの出会いの話から始まった。

──音楽の目覚めは最初からヒップホップだったんですか?

そうです。両親共に音楽が好きで、特にオヤジがUSのラップを家で流していたので、生まれる前から聴いてた感じで。オヤジの部屋にはレコードも超あって、別にそれを掘ったりはしなかったですけど、日常的に聴いてたんです。で、10歳くらいのときに2パックの「California Love」が流れていて気に入って。今でもそのときのことを憶えてるっていうことは、潜在的にヒップホップが好きだったんだと思います。

──日本語ラップとの出会いは?

中1ですね。日本語ラップは全然知らなかったから、最初はYouTubeの関連動画とかで聴いていって。聴く前はもっと幼稚な感じだと勝手に思ってたんですよ。そしたら想像以上に歌詞が深くて。当時、自分は学校に馴染めなくて不平不満があったんです。そしたらそのとき聴いた日本語ラップも不平不満を吐き出していて。

──自分に重なるモノがあった。

そう。そこからいろいろコンピとかミックスCDを聴いていって。初めて買ったアルバムは『24 HOUR KARATE SCHOOL』っていうコンピレーションなんですけど、不平不満以外にも日常の生活を歌ってたり、こんな広範囲のことを歌ってるんだと。だから、特定の誰かに影響されたっていうんじゃなく、日本語ラップというモノ自体に喰らったんです。

──同時にラッパーをめざしたんですか?

というか、リリックを書き出した時点で自分の中ではラッパーになってるつもりだったんで。

──なるほど。まず手が動いてた、みたいな。

そうです。ラップを仕事にするとかラップで稼ぎたいっていう目標はまったくなくて「とりあえずラップしたい。ひたすらラップしたい」って感じで。で、自分が踏みたい単語をノートに書きだしていったり、ふと目にした文字で「これ、踏めるかな?」ってやっていったりして。

──自主練を重ねていったと。

そこからフリースタイルを始めるようになるんですけど、最初は周りにやってるヤツがいないから、Skypeを通じてやり始めたんです。たとえば大阪のヤツを探し出してきて、Skypeで自分で音楽を流して8小節で止めて、向こうも同じように返してくる、みたいな。それを1年くらいやったあとに、ハコでやってるイベントのバトルに出るようになったんです。

──最初に出たのは?

中2のときです。それは「UMB」(ULTIMATE MC BATTLE)で1回戦負け。で、中2の冬、3回目に出たバトルがSIMON JAPさん主催の「Warugaki GP」っていう大会で、そこで決勝まで行けたんです。それが自信になって、高1のときに「SCHOOL OF RAP GRANDCHAMPION SHIP」で初めて優勝したんです。

──ラップを始めようと思ったときに、ネットでトラックを集めて音源を作っていく人もいますが、最初からバトルの方に向かったんですね。

まずは「ちゃんとしたマイク持って人前でラップしたい」っていうのが大きかったんです。で、イベントに出て、ちゃんと現実世界でカマして知名度を上げてから音源を作ればいいかなと。

──力試しにもなるし。

そうです。結局ライブをやりたいと言っても、名前がない人は出られないじゃないですか。でもバトルはこっちが、たとえば2000円払えば出られる。言わば売名ですけど、まずゲームに参加することはできるわけだから。

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ナビゲーター

猪又 孝 / TAKASHI INOMATA

1970年生まれ。音楽ライター/エディター。小4のときにビートルズ「HELP」にヤラれ、19歳のときにロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズに心奪われるも、22歳でいきなりサザン・ソウルに開眼した、我ながら雑食家。現在は邦楽のソウル/R&B/ヒップホップを中心に執筆。でも、カワイイ& カッコイイ女の子もダイスキ。オフィシャル取材などで馴染みがあるアーティストは、加藤ミリヤ、Zeebra、SKY-HI、東方神起、三浦大知、RIP SLYME(五十音順)等々。

 
 
 
 
 
 
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