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猪又孝のvoice and beats

Lick-G 1st Album『Trainspotting』に描いた17歳の地図

Lick-G

1st Album『Trainspotting』に描いた17歳の地図

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──最初から、いつか自分の音源を作るんだという意思をはっきり持っていたんですね。

持ってたし、実際バトルに出始めてからちょっとずつ作っていったんです。クォリティーは置いといて、自分でジャケットを作って印刷してCDという形で出すことが大事だなと思って。それこそ最初はネット上のフリーのトラックを使ってデモテープを作って、バトルのイベントで配ったりして。初めてデモテープを作ったのは中2の10月くらいで、中3までに3枚無料で出してるんです。そうこうするうちにトラックを作ってくれる人が見つかったんで、じゃあ、金を取ってもいいんじゃない?って、ようやく1000円で金を取るようになったのが、高1のときに出した『無題』なんです。

──中学生でデモテープを作って配るなんて早熟だと思うけど、クラスメイトの反応はどうでした?

CDを出してることはみんな知らなかったんで。知られたのは「高校生RAP選手権」に出て以降だから。けど、俺自身、異質な感じだったんで。いろいろ口うるさいし、ヘイトしかなかったですね、周りからは。小学校の頃も腫れ物扱いとか、そんな感じでしたし。

──じゃあ、普段はわりと1人でいることが多かった?

ガッツリそうでした。だからラップに費やす時間が多すぎて。学校にいるときも口に出さないけど頭の中でフリースタイルをずっとしてたし。中学時代、普通に遊んでたらラップに対する意欲は沸かなかったと思うんですよ。俺はそうじゃなかったから音楽に打ち込めたっていうのもあると思うんです。みんなが普段遊びに使ってる金を俺は機材を買うのに突っ込んでたし。

──その頃、どんなモヤモヤが胸の奥に渦巻いてましたか?

天の邪鬼な性格なんで、いろいろなことすべてに疑問を持っちゃう性分なんです。

──何に対しても「アレってどうなんだろう?」とか「これってそうなのかな?」とか考えちゃう。

そうです。いろいろ考えて、わからないときは調べたりして。そういう性格だったんで、よく言えば人より感度が高いのかも。吸収したがるっていうか。

──好奇心が強いとも言えますよね。「どうして、これはこうなんだろ?」って物事の仕組みや理由が気になっちゃう。

たぶんそうなんです。疑問を持つというか、疑り深いんで。何に対してもそうだったから。

──でも、それってラッパーにとって大事なことだと思いますよ。それが人と違う着眼点にも繋がってくるだろうし。

だから、今回のアルバムには今までに自分が感じた疑問とか憤りが出てると思うんです。別に特定の誰かに言ってるわけじゃないんですけど。

──ところで、KEN THE 390からレーベル入りの誘いをもらったときは、率直にどう思いましたか?

疑り深いんで(笑)、最初は「どうなの?」っていうのが正直ありました。ちょっと自分とはスタイルが違うじゃないですか? でも、最終的に決め手になったのはクリーンなところ。会社としても不透明じゃないし、周りからもラッパーとしてはもちろん、人間としてもちゃんとしてる人に付いていった方がいいと言われてたんです。KENさんは超真人間ですからね。あと、単純に、自分のやりたいことを伸び伸びとやらせてもらえそうだなって。その寛大さが決め手でした。

──今回のアルバムはどんなものにしたいと思っていましたか?

最初にKENさんから話をもらったときは、売れるためだったらポップなのもやりますよって、逆に俺からしてたんです。だけど、作っていくうちに、自分がやりたいことじゃないと、歌詞も出てくるものが出てこないっていうことで、結局そういう方向は辞めたんです。だから、好きなビートで、好きな音で、自分がやりたいことを好きなようにやりました。その集積ですね。

──ざっくり言うと、「世間体を気にしない」とか「長いものには巻かれるな」とか「自分の道は自分で切り拓く」とか、アウトサイダー的な人生観を歌った曲で構成されてますよね。ラブソングは一曲もない。

それも自分が普段から思ってることなんで。全体的なテーマはあんまり考えてなくて、一曲一曲、自分のやりたことと言いたいことを、バランスを考えてやっていきました。

──作って行く上で大切にしたことは?

ビートの扱い方ですね。16小節もヴァースがあるなら、同じ乗り方だけをしていてもつまらないから2小節毎に乗り方を変えたりとか。それも意識してそうやったというよりは、自然にやってるだけなんですけど。

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ナビゲーター

猪又 孝 / TAKASHI INOMATA

1970年生まれ。音楽ライター/エディター。小4のときにビートルズ「HELP」にヤラれ、19歳のときにロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズに心奪われるも、22歳でいきなりサザン・ソウルに開眼した、我ながら雑食家。現在は邦楽のソウル/R&B/ヒップホップを中心に執筆。でも、カワイイ& カッコイイ女の子もダイスキ。オフィシャル取材などで馴染みがあるアーティストは、加藤ミリヤ、Zeebra、SKY-HI、東方神起、三浦大知、RIP SLYME(五十音順)等々。

 
 
 
 
 
 
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