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T字路s 初のオリジナル・フル・アルバム『T字路s』インタビュー

T字路s

初のオリジナル・フル・アルバム『T字路s』インタビュー

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2010年の結成以来、全国各地を飛び回って活動してきたT字路s(ヴォーカル&ギターの伊東妙子と、ベースの篠田智仁)が、初のオリジナル・フル・アルバム『T字路s』をリリースした。カンザスシティバンドの下田卓と上山実、REGGAE DISCO ROCKERSの西内徹をゲストに迎えながらも、何よりふたりのリアルな息遣いが伝わってくる、それはライブ感に満ちた一発録り作品。結成7年目だからといって実験や冒険に走るのではなく、自分たちらしさをとことん突き詰めるあり方で、言うなれば“最新型の原点表現”だ。収録曲のすべてに触れながら、ふたりにたっぷりと話を訊いた。

カヴァー・アルバム『Tの讃歌』(2015年)インタビューはコチラから

 

ミュージシャン的にはすごく不器用なタイプだと思うんですよ。
どんどん曲ができる人もいるけど、僕らはその真逆のタイプで。

──結成7年目にして遂に初のオリジナル・フル・アルバムが完成しました。7年目にして初というのもなかなかのものですが。

伊東妙子 はい(笑)。「ライブがしたい!」「ライブがしたい!」ばっかりで、ここまできちゃいましたからね。

篠田智仁 オリジナル・アルバムとなると、準備も含めて相当時間を割かないとできないですからね。なので、なかなか踏ん切りがつかなかったんですけど。

──踏ん切り、つけたわけですね。

篠田 つけました(笑)。

──誰かに背中を押されたとか?

妙子 いや、誰かに押されたというよりは、自分たちの気持ちとして、もういい加減作ろうと。

篠田 『Tの讃歌』を作る前から「そろそろフルアルバムを」って話はあったんですけど、そのときも踏ん切りがつかずに、まずはカヴァー・アルバムを作ろうってことになって。

──で、カヴァー・アルバムも作っちゃったし、いよいよオリジナル・アルバムだと。

篠田 そうです。

妙子 自主制作で初めに出した『T字路s』というCD(5曲入り。2010年9月リリース)を欲しいと言われることがけっこう多いんですけど、それは廃盤になっていて、そこに入ってた曲をフル・アルバムに再録しようって話を前からしてたんですよ。それもひとつのきっかけになったところがあって。

──あれ、今となってはだいぶレア盤なわけですよね。

篠田 何枚作ったんだっけ?  確か1000枚だったかな。会場限定で売ってたんですけど、半年くらいでなくなっちゃったんですよ。そこから一度も再発してないので。

妙子 オークションで7万5千円とかになってて、それを落としましたっていう人がいたんです。もともと会場で1000円で売ってたものなのに。もう、申し訳なくて。

篠田 だから、早めに再録したものを出さなきゃと思ってて。

妙子 「廃盤にしたものを再発してください」とはよく言われていたんだけど、再発しないのは自分たちなりの理由もあって。そもそもあれは知ってもらうためのデモ盤みたいな感じで、宅録で作ったものですからね。何年越しで再発するほどのものではないというか。それよりも今の自分たちでもう一回録り直して出したいという気持ちがあったんです。

──なるほど。ちなみに『Tの讃歌』はけっこう難産だったと言ってましたけど、今回はどうでした?

妙子 まあ、安産はないですね。なかなかね。

篠田 苦しみました。全部振り絞った感じで、けっこうフラフラになりながら作ったっていう。

──何に一番苦しんだんですか? 楽曲制作?

妙子 そうですね。もちろん辛いだけじゃなくて、面白いことでもあるんですけど。まあ、“おもつらい”というか(苦笑)。

篠田 期限があることだから、その兼ね合いもあったし。あと今回も一発録りだったので、当日に最高のテイクを録るため、いかに万全の体調にもっていくかとか、そういうのもあって。

妙子 最高のライブをするつもりでやらないと。

──曲は「アルバムを作るぞ」って決めてから作ったものが多いんですか?

妙子 半々くらいですかね。廃盤になってる『T字路s』の曲を含め、半分くらいはできていた曲で。

──妙子さんにとって、詞曲を書く作業というのはやっぱり大変なことなんですかね?

妙子 まあ大変ですね。日々ボコボコできていくタイプではまったくない。作るぞって、相当気合いを入れないと。

──どういうときに浮かびます?

妙子 ふたつ軸があって、ひとつは自転車に乗って走ってるとき。もうひとつは、完全に部屋に籠ってひねり出す感じですね。机の前でギターとペンを持って、じっとして。それで煮詰まると自転車に乗って(笑)。で、「なんか降りてきたぞ」と思ったらまた机に向かう。その繰り返しです。

──ツアーの移動中とかにアイディアが浮かぶという人もいますけど。

妙子 私は旅先はダメですね。ツアー中はツアーのことで頭がいっぱいで、「今日のライブ、どうしよう!?」ってことばっか考えてる。切り替えられないです。

──何か映画とか本とかからインスピレーションを受けることは?

篠田 「はきだめの愛」は映画『下衆の愛』のために書き下ろしたもので、そのとき、すごく早くできたんですよ。で、「なんかテーマがあれば早いじゃん」ってなって、今回も『ロッキー』観たり、寅さん(『男はつらいよ』)観たりしたんですけど、ダメでした(笑)。

妙子 ダメだったね。全然ダメだった。「はきだめの愛」がスンナリできたのは、たぶん映画の内容に自分がリンクするものがあったんだろうなって思ってて、そういう意味で『ロッキー』とかいいんじゃないかと思って観たんですけど……。

──じゃあ、制作中にふたりの間で流行っていたものとかはなかったですか?

篠田 制作中はそんな余裕もなく。ラジオも聴けなかったですから。

──そんなに?

妙子 なんか言葉が入ってきちゃうと、惑わされて、自分が作ろうとしているものがぼやけてきちゃう感じがして。だから、わりと籠ってました。

篠田 僕ら、ミュージシャン的にはすごく不器用なタイプだと思うんですよ。どんどん曲ができる人もいるけど、たぶんふたりとも真逆のタイプで。まあ制作モードに完全に切り替わっちゃえばいいんですけど、それまでがなかなか。

妙子 ライブのことをいつも考えちゃってるので。だから制作中は一切ライブをやらないでいたんです。

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