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テイ・トウワ 9th Album『EMO』 Special Interview

テイ・トウワ

9th Album『EMO』
Special Interview

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──「REM」に参加したあのさんも初顔合わせですね。

この曲は眠くなるような曲を積極的にやろうと思ったんです。みんな目が覚めるようなヒット曲を作ろうとしているのに、眠くなる曲を作るのはエモいんじゃないかと思って。それでこの曲を歌モノにしようと思って、ヴォーカルは誰がいいか考えた時、アルバムのバランスを見たんです。UAみたいにソウルフルな歌手もいるし、イナラみたいなキレイで上手な人もいるし、どういう人がアルバムに欠けてるかな?って。それで、フレッシュで可愛い声がいいかな、と思って、アイドルをいろいろ探していてあのちゃんを見つけたんです。

──こうしたヴォーカル曲にテイさんらしいポップ・センスが光っていると思うのですが、インスト曲も面白くて。個人的には曲の途中で雰囲気がガラッと変わる「TG」が最高でした。

『META』が男性ヴォーカル・アルバムだったから、こっちはインストを増やそうと思ったんです。「TG」は2つの曲が合体して出来たんですけど、前半のほうはLEOくんが気に入ってくれて。歌いたいって言ってくれたんですけど、「Brand Nu Emo」のほうで歌って欲しかったし、自分の仕事も忙しそうだったので、インストのままでいこうと。

──「TG」って、スロッビング・グリッスル(※)のことですよね。
※70年代半ばから80年代にかけて活躍したイギリスのノイズ・バンド。2000年代に再結成も。

そう。スロッピング・グリッスルってこんな音だっけ?って、作った時のイメージでタイトルを付けました。

──アートワークのデザインを担当した五木田智央さんがトランペットを吹いていますが、それがまたTGっぽくて。

〈Tomoo Gokita〉だから〈TG〉っていうのもあるんですよね(笑)。彼が昔バンドをやってたのは知ってて、ペットを吹いてたことがあるって言ってたような気がしたんですよ。それで「今度ペット吹いてよ」って頼んだら、「長年吹いてないんで練習しておきます」なんて言ってたんです。それで今回、この曲を聴かせたらすごい気に入ってくれて。「素材って感じで良かったら吹いてみます」って、やってくれたんです。

──ホーンといえば権藤さんですが、この曲に関しては、権藤さんじゃなかったんですね。

ゴンちゃんの顔はまったく浮かばなかったですね。あ、でも、〈Tomohiko Gondo〉だから、こっちも〈TG〉か(笑)。この曲に関しては五木田くんだったんですよ。五木田くんのトランペットは聴いたことなかったんですけど、曲によってはチャンス(偶然)を呼び込むことが必要で。ジョン・ケージは“チャンス・オペレーション”ってよく言ってましたけど、僕が曲を作り上げていくうえで“チャンオペ”って重要なんです。それが失敗することもあるんですけど、この曲に関してはバッチリだと思いますよ。(石野)卓球くんとか小山田くんもコレが良いって言ってたし。シングル・カットはしないけど、作って良かったと思ってます。

──あと意外だったのが、細野(晴臣)さんとカイリー・ミノーグが参加した「GBI」(オリジナル・ヴァージョンは97年作『SOUND MUSEUM』に収録)のリミックス・ヴァージョンが収録されていることです。今回この曲を収録しようと思われたのはどうして?

アルバムが出来上がってきた時に、あと、どんな曲があったらいいのかな?って考えて。その時に「GBI」を久し振りに聴いて、そうだ、『SOUND MUSEUM』ってちょうど20年前に作ってたんだって気がついたんです。今聴いても違和感ないんじゃないかと思って。

──今回はどういったところを中心に手を加えたんですか。

細野さんの声をガッと上げました。20年前は四つ打ちでカイリーがポエトリー・リーディングをやるっていうのをまず意識していて、カイリーとコントラストになる声として細野さんにお願いしたんです。なので、ハウス的に音をトリートメントしていて、今聴くと細野さんの声が小さい。そこを上げたかったのと、四つ打ちを外したかったんです。

──違和感なくアルバムに馴染んでますね。それにしても、今回たくさんのゲストが参加していますが、やろうと思えばテイさんひとりでアルバムを作ることも可能だと思います。そこをいろんな人とやるっていうのは、テイさんが音楽を作っていくうえで重要なことなのでしょうか。

人とのキャッチボールって、曲を作っていくうえでの推進力のひとつだと思ってます。全部、自分が出した音だと常に主観でしか見られない。でも、例えば誰かにギターを弾いてもらって、そのギターをどう編集しようかって考える客観性が僕にとっては重要なんです。METAFIVEで取材を受けている時、まりんが「砂原さんにとっての推進力、また次を作りたいと思う理由はなんですか?」って訊かれたんですけど、まりんはいつも「完璧じゃないな」と思うらしく、それが次を作りたい理由になるって言ってたんですけど、そこは僕と全然違うなと思って。僕も自分のアルバムが完璧だって思うことはなかなかないですけど、でも、限りなく満点に近い。今回のアルバムもそう思ってます。自分が不合格と思ったらアルバムを出してないんで、及第点は行ってると思うんです。ただ、若い時のほうがギリギリまで踏ん張るというか、歯を食いしばる力が強くて「もっともっと」と思うけど、同時に経験値もないしスキルも今以上にないから迷いというか悩みが多かったんです。今はどんどん諦めて次に行く。歳をとるっていうのは諦めることだと思うから。

──残された時間も少なくなってくるし。

時間も体力もなくなってくる。僕は作ることは好きなんですけど、作ってて煮詰まるのは嫌いなんです。だから、とっとと作って、とっとと次に行きたい。

──とにかく作り続ける。

そう。継続は力なりじゃないですけど、音楽を作るのが楽しいから。

──最後にタイトルについてですけど、テイさんにとって“エモい”ことってどんなことですか?

アルバムが出来てきて、ジャケを五木田くんに頼んで、どんなものが来るのかワクワクしたりとか、そいうのもエモだし、最近は古い音楽をよく聴くんですけど、そういうのを聴いててもエモい気分になりますね。新しい音楽では、なかなかエモい気分になれない。古い音楽って聴いてて画が浮かぶんですよ。それがエモい。エモーショナルなんです。「Exformation」で歌ってますけど、SNSで書かれていることなんて、どうでもいい事ばかりじゃないですか。

──確かにSNSはエモくないですね。

そうなんですよ。SNSに書けないことにエモいことがいっぱいあると思うんですよ。だから、音楽でも映画でも、自分のなりにエモーショナルなものを感じたり、画が浮かんでこないと音楽は作れない。極端なことを言えば、そういうものを持っている曲だけが生き残って、こうやって世の中に出る。手癖だけでは音楽は作れないってことなんです。


 

《リリース情報》


9th Album
『EMO』
MBCD-1701 / ¥2,700(+税)
NOW ON SALE!
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[収録曲]
1. Exformation
2. Brand Nu Emo
3. GBI
4. Sugar
5. Xylocopa
6. TG
7. YOLO
8. REM
9. Continua

 
《プロフィール》

テイ・トウワ
90年にDeee-Liteのメンバーとして、アルバム『World Clique』で全米デビュー。その後、活動の拠点を日本に置き、94年にソロ・アルバム『Future Listening!』をリリースする。2005年からは『FLASH』(2005)、『BIG FUN』(2009)、『SUNNY』(2011)というアルバム三部作、2013年には『LUCKY』を発表。2014年にはソロ・デビュー20周年を迎え、『94-14 REMIX』『94-14 COVERS』『94-14』のベスト・アルバム三部作を発表した。2016年には、高橋幸宏、小山田圭吾、砂原良徳、ゴンドウトモヒコ、LEO今井らと結成したMETAFIVEのファースト・アルバム『META』、ミニ・アルバム『METAHALF』を発表。現在、東京・青山にあるINTERSECT BY LEXUS TOKYOの店内音楽監修も手掛けている。

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