MUSICSHELFトップ > インタビュー・プレイリスト > インタビュー > 大澤誉志幸

大澤誉志幸 35th Anniversary Special Interview

大澤誉志幸

35th Anniversary Special Interview

(ページ:2/3)

──さきほどもおっしゃってましたが、とくにソロに移行する頃は、最初のアルバム3枚分を書いてたっていうぐらい曲を書きまくっていたという。

あの時期は1週間に2回ぐらい、銀色夏生(作詞家)と、エピックの録音スタジオで打ち合わせというか、こんな感じあんな感じって、1年半ぐらいずっとやってましたからね。それはたしかにちょっと変わった経験というか、とにかくメロディーと詞と、ある程度サウンドも作ってという作業を時間かけてずっとやってました。いまの人たちはそういう贅沢な時間の使い方ができなくなっただろうから、ちょっと貴重な体験でしたね。銀色も世の中に名前がどんと出ていく前でしたから、2人で一生懸命作品を作ってね、デモテープもいっぱい作りましたよ。

──その、初期の3作『まずいリズムでベルが鳴る』『SCOOP』『CONFUSION』と、85年発表の『in・Fin・ity』、これらを再現するライヴを今年に入ってやられてましたよね。

まあ、再現ライヴって海外のアーティストがやってたりするじゃないですか。たとえばクラフトワークとかね。そういったものに感化されたところもあって。

──それもバンドで再現するという。

とくに『CONFUSION』と『in・Fin・ity』は打ち込みの割合が高かったアルバムなので、そこを打ち込みでやらずに生の音で近づけるというライヴでした。昔の機材が手に入らないから昔のまんまの音で再現するっていうのは不可能に近いと思うんですけど、今のテクノロジーの音でなるべくそこに近づけていく感じでね。

──これ、続きは考えられてるんですか?

そうですねえ……『Serious Barbarian』っていう三部作(89〜90年に発表)があったので、それもやってみようかなって思ってますけど、まあ、よりたいへんになると思います。

──『Serious Barbarian』の前の『SCRAP STORIES』もわりと簡単に……っていうのもあれですけど。

ああ、あれは簡単ですね。4リズムぐらいで再現できると思います。

──個人的にはその前の『LIFE』を再現したライヴが見てみたいです。

まあ、あれはメンバーの人数も多かったので、再現するにもお金がかかっちゃいますね(笑)。

──しかし、『LIFE』を最高傑作という声も聞きますんで。私も含めて(笑)。

好きな人は好きみたいですね。ちょっとマニアックな作品なんですけど。

86年のアルバム『LIFE』

──そういえば3年前に『Serious Barbarian』三部作までのCDが再発されましたけど、『LIFE』以降は最新のリマスターではなく……これは『LIFE』からデジタル・レコーディングだったから、ということですかね?

そうですね。『LIFE』はデジタルだったと思います。

──デジタル・レコーディングって、最初のうちはなかなかしっくり来なかったという発言を他のミュージシャンのインタビューで読んだことがあるんですけど、大澤さんはいかがでした?……というか、『LIFE』はデジタルで“平された”感じをまったく感じさせない、ものすごくダイナミックな音だなあと感じていて、これはもう大澤さんというより、この時期の日本の音楽の大傑作ではないかと思うんですよ。

ライヴで音を録った作品でね、スタジオに機材を持ち込んで、マイク立てたり、ラインで録ったり、あとは部屋鳴りの空気感も含めて、一発で録ったんですよ。誰も間違えちゃいけないっていう緊張感のなかでやってましたから、多少のユラつきというか揺れなんかもサウンドにあって。

──そこがダイナミズムに繋がったと。ライヴ・レコーディングはあえて、だったんですか?

あえて、ですね。恵比寿のFACTORYでリハーサルを何日間もかけてやって、本番当日は観客も入れて音録りをやって(※)。最近ではスナーキー・パピーとかっていうバンドがそういうレコーディングしてたりするみたいですけど。
※レコーディング風景を収めた映像作品『LIFE』で鑑賞可。DVD-BOX『VISUAL ARABLE』に収録

──ある意味、デジタル時代と逆行してた。

そう、べつにアナログで録っても良かったんですけど(笑)。

──『LIFE』は、作詞作曲がすべて大澤さんというのもトピックだったかと。そういう意味では、大澤さんのクリエイティビティーがひとつピークに達しようとしていたときですよね。

ただまあ、制作サイドとのああでもないこうでもないはたいへんでしたけどね(笑)。根本的な話になっちゃったりするんですよ。「大澤、売れる気があるの?」とかね。キャッチーさという部分はそれまでの作品よりも排除されてるし、こっちはブレイク・ポイントができたので、「一回好きなの作らせてよ」的なことだったわけなんですけど、これの企画とか話し合いのときは戦いみたいな感じでね、エピックの制作サイドとずーっと問答を繰り返してました。

──ビーチ・ボーイズ『Pet Sounds』的なエピソードですね、それは。

うーん、そうかもね。内のほうにガーッと向かってってたエネルギーっていうのはあったと思いますね。

──この時期の大澤さんはキレッキレでした(笑)。

イケイケGOGOで、戦いの日々が続いてましたから(笑)。

前のページ (ページ:2/3) 次のページ