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山崎彩音 ファースト・ミニ・アルバム『キキ』 Special Interview

山崎彩音

ファースト・ミニ・アルバム『キキ』
Special Interview

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「アチッ」とはならないが、気がつくと肌と心にあとが残っている。低温やけどのような感覚が歌にあるのだ。彼女はどこか突き放して歌っているようでもあるが、聴き手の心には引っかき傷のようなものが残る。ライブにおいても彼女は淡々と歌っているようだが、しかしその場の空気がやけに濃くなるのをいつも感じる。なんだろうか、この存在感は。
山崎彩音(※)、神奈川県湘南育ちの18歳。ギターを弾いて歌うシンガー・ソングライター。高1からライブハウスで歌い始め、昨年は17歳にしてフジロックに出演した。近頃はやけに頭がよくて小器用なアーティストが増えている気がするが、彼女は本能的であり、動物的とも言えるタイプ。つまり狙いや作為が少しも曲にない。が、それでいてどこか客観的でもある。さめてる部分もありつつ情に熱いといったようなその独特の加減が魅力的でもあり、それを“18歳のリアル”と言うこともできるかもしれない。4月26日にミニ・アルバム『キキ』を発表した彼女に話を訊いた。
※やまざきの〈ざき〉の漢字表記、正しくは、やまへんに〈立〉〈可〉

──ライブはコンスタントにやられているようですが、ライブハウスで歌うようになったのは何年前からですか?

ライブハウスで歌い始めたのは高校1年の夏。ギターを始めたのは小学校5年生くらいでしたね。

──ということは、ライブ歴3年くらいになるわけですね。曲を作ってライブで歌うのは、彩音さんにとってどういう意味を持っていますか?

誰かが聴いてくれているので、そのために曲を作るというか。人に聴かせるために曲を作っているから。

──聴いてるお客さんを前にして「伝わってるな」「刺さってるな」って実感はある?

それはわかんないですけど。でもライブを作ってるスタッフから「今日はみんな食い入るように観てたよ」と聞いたりして、「そっか」って。実際やってるときは、あんまりわからない。

──お客さんの反応がどうであろうと、私は私みたいな?

まあ、そうですね(笑)。

──でも、歌い始めた3年前に比べたら、今はだいぶ自分らしくやれるようになった気がしませんか?

うん。始めた当時はカヴァーしか歌ってなかったから、自分の歌を歌うようになっただけでも違ったし。少しずつこう、ギターの弾き方とかを含めて、スタイルみたいなのができてきたのかなって感じはしますね。

──ステージは自分らしくいられる場所だったりします?

うーん、らしくというか……。まあ、自分になれる場所、なのかなぁ。

──学校がつまんないって、ちょいちょいツイートしてたでしょ。

あははは。学校はつまんないものですよね。

──うん。学校はつまらないものですよ。間違いない。で、そのつまらない学校が終って、ライブハウスに行ってステージに立つと、「ああ、こここそが私の居場所だな」って思ったりしません?

どこにいても居心地はそんなにいいわけじゃないですけど。でもまあ、歌ってるときは楽しい。

──学校に比べたら100倍楽しいでしょ。学校はホント、つまらなくて当たり前ですからね。

うん。くだらないし、腹の立つことが多かったんですけど、でも最後の最後に「無駄ではなかったのかな」ってちょっとだけ思えた自分に感動、みたいな(笑)。苦しかったことのほうが多かったから、その気持ちは忘れたくないんですけど、でもちょっとだけ「無駄じゃなかった」と思える自分になれてよかったなと思いましたね。

──学校嫌いといっても、そんなに暗い性格ではなさそうですよね。

ああ、そうですね。全然友達もいるし。友達のおかげです。

──僕は高校時代、嫌いを通り越して本当に暗黒で。毎日吐きそうになっていた。

“闇!”みたいなコもいたけど、私は根が楽観的なので。すぐ笑っちゃう感じなんですよ。

──O型?

いや、A型なんですけどね(笑)。

──では、ちょっと遡って訊いていきますね。まず、ご両親が音楽好きだそうで。

ふたりともロックが好きだし、お父さんがギターをやってたから、私もすんなりギターを始められた、っていうのはありますね。お母さんが(忌野)清志郎好きっていうのもあります。

──素晴らしい! じゃあ、幼い頃から普通にロックを聴いていた。

いや、私はジャニーズが好きだったから、昔はそんなに聴いてなくて。ギターを始めてからですね、聴くものが変わったのは。子供の頃はジャニーズと、あとBoAちゃんが好きだったので、家で歌って踊ってました(笑)。

──ギターを始めたきっかけについては、あの連載(山崎彩音の「その時、ハートは盗まれた」第9回目 『あやねとギター(1)』ギターとの出会い!)を読みましたけど、関ジャニに入りたかったからだそうですね(笑)。

そうなんです、入りたかったんです(笑)。

──そこからガッと集中してギターを練習したと。

たまに発揮されるんですよ、そういう集中力が。

──その当時にコピーしていたのは……。

最初にコピーしたのはスピッツの「空も飛べるはず」。あと、斉藤和義が好きなので、ひたすら斉藤和義の曲をコピーしてました。あとは(椎名)林檎の曲とかも。

──自分で曲作りを始めたのは?

高校に入ってからですね。

──それ以前にも詩とか日記とかを書いたりはしていたんですか?

日記というか自問自答みたいなものは小学生の頃からいっぱいノートに書いてましたね。書くことが好きだった。いろんなこと書いてました。この間、読み返したら気持ち悪かったので捨てましたけど(笑)。

──曲を作るという行為は、彩音さんにとってどういう意味を持つものだと思いますか?

うーん。むずいなぁ。たぶん、自分を知りたいみたいなことじゃないですかね。

──曲を書くことによって、自分がわかるとか、救われるみたいな感覚がある?

作ってきた歌に自分が救われるみたいなことは、めっちゃありますね。あと、なんか違うなぁって思いながら生活していて、自分の作った曲を歌ったときに「あ、こういうことじゃん!」「答えを自分で歌ってるじゃん!」って感じることがけっこうあります。

──なるほど。で、曲を作るようになって、初めからひとりで歌っていこうと思っていたわけですか?  バンドを組みたいという気持ちにはならなかった?

高校生になってバンドをやりたかったんですけど、人とうまくいかないところがあるし、どうやって組んでいいかもわからないし。それでひとりでやってみようと思って、高1の夏休みにライブハウスに出て……。

──自分ひとりでライブハウスの門を叩いた。

「ひとりでも出れますか?」って(笑)。当時はシンガー・ソングライターという概念が自分のなかになかったから、「ひとりなんですけど、いいですか?」みたいな。

──バンドを組んでいたら、どうなっていたでしょうね。

うまくいかなかったでしょうね。協調性があんまりないから。高校の3年間は自分ひとりで何かをやっていくということが必要な時期だったんだなと、今になって思うし。ま、そういう運命だったんでしょうね。

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