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GLIM SPANKY サード・ミニ・アルバム『I STAND ALONE』 Special Interview

GLIM SPANKY

サード・ミニ・アルバム『I STAND ALONE』
Special Interview

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──で、そんな感じで“GLIM SPANKYを知ってもらおう”という2016年が終ったわけだけど、2017年の1作目となる今回のミニ・アルバムは、その続きという感じがしないんですよ。続きではなく、明らかに“その次”の段階というか。

亀本 そうですね。

──“もっと広くGLIM SPANKYを知らしめたい”というような動機ではなく、これから5年先、10年先を見据えて作ったミニ・アルバムっていう感じがしたんです。

亀本 うん。本当にそうだよね。

松尾 うん。『Next One』を作り終えた頃から、次のミニ・アルバムをどういうものにするかということよりも、次のフル・アルバムをどうしたいかってことを話し合っていて。今まで出したフル・アルバムとミニ・アルバムは自己紹介盤というか、まずはGLIM       SPANKYの土台にある“ロック”ってところが伝わればいいと思って作っていたんですね。でもサード・アルバムでは、その土台からひとつ踏み込んで、もっと自分たちの好きなディープなものを見せていこうと。だから、そのサード・アルバムの導入として、このミニ・アルバムがあるっていう。GLIM SPANKYの次のステージを見せるという意味で、このミニ・アルバムはすごく重要な役割を持っているわけなんです。

──なるほど。

松尾 だから作るときにも「今までより、もっと掘り下げた部分を出していこう」というのを意識しつつ。で、「美しい棘(いばら)」という曲に関しては、実は『Next One』を作っているときからあったんですけど、あのアルバムに入れるのはちょっと違うってことで、温めておいたんですね。そして今回はそれをひとつの柱にしながら、「アイスタンドアローン」という曲ではサイケデリックな部分をわかりやすく打ち出して、サード・アルバムの深いところに繋げていこうと。そういうイメージを持ってました。

──(所属レコード会社の)ユニバーサルのほうから「もっとキャッチーな曲を」みたいに言われるようなことはなかったの?

亀本 というか、今回はロック系のアッパーな曲じゃなくて、「大人になったら」みたいなバラードをリードにしたいとだけ言われていたので、じゃあ「美しい棘」がいいねって。

松尾 私もそれをリードにしたかったので。そもそも、そんなにユニバーサルから「次はこういう曲で」って言われることはないんですよ。タイアップが先に決まったら、そこに向けて書くけど、今回は(制作している時点で)タイアップがなかったので、とりあえず好きなように作っていこうって感じで。

──そこが大きいよね。タイアップがあって、そこに向けて書いたわけではない曲を今このタイミングでリリースする……ということの意義をすごく感じる(「美しい棘」は現在、テレビ朝日系ドラマ『警視庁・捜査一課長 season2』の主題歌として流れているが、それはあとになって決まったことだった)。

亀本 そうなんです。僕らの最近の曲って、初めから好きなように書いたというよりは、例えば「怒りをくれよ」なら「アッパーな曲が必要」と言われて「そんなアッパーな曲、やったことないな。どうやったらいいんだろ」って試行錯誤してできたものだった。動物の生態系が必要に応じて変化していくみたいな(笑)、そんな感じだったんです。でも今回の作品はそういう外的要因がなくて、全部自分たちの中から出てきてるものって感じがしていて。そこは今までと明らかに違いますね。

松尾 そうだね。それと今このミニ・アルバムには5曲入ってますけど、本当はほかにもできたんですよ。その未発表の曲も含めてミディアム・テンポのロックが多かったので、改めて「自分たちはこういうのが得意なんだな」って感じることにもなった。で、この「美しい棘」のような曲があったからこそ、「アイスタンドアローン」や「E.V.I」のような曲も自由に作れたし。そういう意味でこの「美しい棘」が今回のキーになったと思いますね。

亀本 僕は最初、「アイスタンドアローン」がリード曲のつもりでいたんですけど、レミさんが「“美しい棘”がいい」って言いだしたので、じゃあ「美しい棘」をリード曲にして「アイスタンドアローン」を1曲目にすれば、どっちもリード曲みたいでいいねってことになって。まあ、ぶっちゃけ、リード曲って何よ!?って感じもあるんですけどね。

松尾 それはまあ、ユニバーサルの人たちがTVの主題歌をとってきたりするときに、どれを推すかみたいなことだったりもするんだろうけど。

亀本 ただ、僕らの気分としては、1曲目は「アイスタンドアローン」でしょ!?っていうのが初めからあって。

松尾 うん。ロックな気分としてね。だから「アイスタンドアローン」を1曲目にもってきて、(ミニ・アルバムの)タイトルにもしたんです。「美しい棘」はリード曲だけど4曲目。そこも、あえてそうしました。リード曲でこういうミディアムの歌ものって、今までなかったので。

亀本 「褒めろよ」「ワイルド・サイドを行け」「怒りをくれよ」って、ずっと速かったもんね。

──この「美しい棘」は「大人になったら」の系譜に連なるバラードで、歌詞もそういうものだけど、どんなふうに生まれた曲なんですか?

松尾 どうしても大人になるときの感情っていうのが自分の中で大きなテーマとしてあって、その感情が表に出たときにこういう曲が書けるんですよ。これは、書く前にたまたま親友と長電話する夜があって。そのなかで思い出について話してたんですけど……私は過去の自分に戻りたいと思うことが基本的にないんですね、常に“今が最高”だと思って生きているので。でもやっぱり、あの頃は煌めいていたなって思うこともあるし、女同士のドロドロした感情が噴出してたなって思うこともある。思い出は美化されると言うけど、美化されないものもあるなって思ったりするし。で、そんな気持ちを持ちつつ、その翌日、実家に帰ったんですよ。そうしたら前の晩に親友と話していた“あの道”だとか“この空気の匂い”だとかが急に鮮明によみがえってきて、自分の感情が溢れでてきて。で、自然にこの曲ができたんです。“よし、書こう”と思って書いたわけではなかった。「大人になったら」ができたときと同じ感じで、できました。

──ちなみにこの曲だけ、ベースとアレンジで亀田誠治さんが関与されてます。

松尾 私の熱狂的なオファーで亀田さんにお願いしました。いいベースを入れたいって思ったら亀田さん以外浮かばなかったので。それと、この楽曲を引き立ててくれて、でも本質は変えないでいてくれる人に頼みたかったというのもあって。

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