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猪又孝のvoice and beats

daoko セカンドアルバム『GRAVITY』独占 インタビュー

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セカンドアルバム『GRAVITY』独占 インタビュー

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昨年12月にリリースしたファーストアルバム『HYPER GIRL –向こう側の女の子-』でナゾの女子高生ラッパーとして早耳の関心を集め、今年に入ってもESNOとの「夕暮れパラレリズム feat. daoko」やm-floとコラボした「IRONY」で話題を振りまいて注目度が右肩上がりっぱなしのdaokoが、待望のセカンドアルバム『GRAVITY』を完成させた。本作は9月に発表された『UTUTU EP』とは音も言葉もまったく別の作風なので要注意。というか、ここにはこれまで誰にも見せてこなかったdaokoがいる。16歳の彼女の中で日々大きくなっていく大人への憧れ、オンナへの目覚め。少女と女性の間で揺れ動く心が叫ぶ衝動と焦燥、脳内に蠢く悪だくみとエロス。これは仮面か、本音か。儚げな歌声の裏に潜むのは狂気なのか、それとも歓喜なのか。ラップは新境地を開拓し、歌詞は面白味がより重層化。幻想的で生々しく、蠱惑的で無邪気なdaokoワールドが、ほら、大きく口を開けて待っているよ。

——ファーストアルバムからちょうど一年ですね。

そうですね、早いもので。いろいろたくさんあったんですけど、ファーストから一年経ったのかぁっていうのが驚き。

——この1年で自分の名前をネット上でたくさん見るようになったでしょう?

はい。やっぱ気になってエゴサーチとかしちゃうんですよね。そうすると1日につぶやかれる数が増えてきてて、「あ、ざわざわしてるんだな……」みたいな。でも、あんまり実感ないんですけどね。どこか他人事みたいな感じもあって。

——中でもm-floとコラボしたことが知名度アップに大きかったんじゃないですか?

あれは大きかったです。自分の中でも勉強になったし。

——あれはどんな経緯で実現したコラボなの?

佐藤大さん(脚本家。m-floのアルバムのインタールードの脚本も多数手掛ける)が☆Takuさんに私の話をしてくれたみたいで。そこから☆Takuさんが気に入ってくれて、映画の話と一緒に楽曲どうですか?って。

——もともと佐藤さんとは繋がってたんですか?

いや、全然。ただ単に大さんが私の楽曲を聴いて、気に入ってくださってたみたいで。だから、もうびっくりでした。まさか、みたいな。

——さて、今回のアルバムはどんなものをめざしたんですか?

最初にネルさん(Paranel/本作のプロデューサー)から、GRAVITYっていうタイトルの言葉をもらったんです。その言葉から宇宙とか、あと、これもネルさんのアイデアですけど、和とか花とか蝶とかキーワードをもらって、そこからイマジネーションを広げて作っていく感じだったんです。いろいろ直感で思いついた言葉からどんどん自分の世界観を膨らませていって、新しいGRAVITYをつくっていくみたいな作業でした。

——トラック発注もまずはそのキーワードありきで?

そう。トラックメイカーさんにこういう感じのトラックをお願いしますってオーダーして。あと、今回はダブもやろうとか、今までポップな曲を作ってきたのでちょっと泥臭い感じっていうか。ポップとかけ離れたところの曲も作りたかったんです。

——泥臭い!? 泥臭いっていうとレイドバックした音を想像する人が多いと思うけど、daokoちゃんが思う泥臭い感じってどの曲のこと?

「Island」とか。これはちょっと大人っぽいというか、16歳らしからぬというか。あと、箸休め的に作った「oOoOo」とか。

——「oOoOo」は、何と読むの?

シャボン玉っていう題なんです。これをプロデュースしたkuroyagiさん自体、泥臭いところがあるから(笑)。あと、「ネガティブモンスター」もどちらかというと、そうかな。

——1曲目の「Island」は、泥臭いというより、浮遊感があってアンビエントな印象を受けたけどなぁ。ダークファンタジーというか、ちょっとホラーに近い感じだった(笑)。

あはは。けど、「Island」は結構、椎名林檎イズムというか。そういうのがすごい強い。

——椎名林檎テイストってどんなところが?

歌詞とかに結構入ってる。これは新宿の歌舞伎町の話なんですけど、その時点でもう「歌舞伎町の女王」からだし(笑)。

——これは歌舞伎町をイメージしてたんだ?

そうなんです。ちょっとませた女の子が憧れて、もう帰らなきゃいけない、まだ居たいのに、みたいな。なんかアブナイ世界っていうか、行っちゃいけない世界に行きそうになってるっていう。で、歌詞に出てくる“ハイライト”とかは林檎さんが吸ってたタバコだし。“憧れのあの人の鏡みたいに”もわかる人はわかっちゃうっていう(笑)。

——椎名林檎テイストは、「メギツネ feat. PAGE, GOMESS」「ネガティブモンスター」「浪漫非行」辺りにも感じました。今回は全体的にメロディアスなサビが増えたと思うけど、その旋律にも林檎さんの影響を感じられたし。

椎名林檎さんは好きだし、好きなものから自分を高められるのはいいなって思ってて。ノリノリでしたね、その辺りの曲を作ってるときは。

——あと、今回はラップの手法や声色が前作より圧倒的に多彩になったと思ったんです。新境地を開いたなって。

そうですね。ファーストを出して以降、いろんな音楽とも出会っていて、新しい音楽を聴いて自分も成長していったみたいな。先輩から助言を頂いたりとか、みんなでラップ勉強会みたいなのをして改善したいところは意識して練習したりもしたので、その結果が出せたんじゃないかなと思います。

——ラップに感情がこもってきた気がするんですけど、どうですか? それで声色が豊かになった印象を受けるのかなって思ったんだけど。

そうかもしれない。

——たとえば「試験一週間前」のセカンドヴァースの後半とか。ウキウキしてるんだったら声も弾むとか、怒ってるんだたったら声もとがるとか、そういう感じがよりはっきりわかるようになってきたと思うんです。

抑揚ってことですよね。そこは意識したというより、自然とそうなってきた。だから、進化と言っていいのかわからないけど、ちょっとパワーアップできたのかなって思ってます。

——それとウィスパーがよりウィスパーらしい声になってるというか、より効果的にウィスパーを使ってる印象もありました。

たぶんそれはミックスとかマスタリングによるものだと思います。あと自分のマイクもいろいろ変えてみたりしたんです。ミックスはネルさんがやってるんですけど、私の声の扱い方とかマイクとの相性もわかってきて、ウィスパーがより引き出せてるんだと思う。

——前作はウィスパーヴォイスが注目されたけど、本作を聴いてから聴き直すと全然声が生々しいなと思うくらいだし(笑)。

あはは(笑)。ウィスパーも出尽くした感があるというか、いっぱいあるから。ウィスパーだけじゃダメだし、私もそこにとどまっていたいわけじゃないから。だからそれを超越したところに行きたいっていうのはありましたね。

——あと、今回の歌詞には背伸び感をかなり感じたんです。それが今回の歌詞の大きなテーマになってませんか?

テーマというか、私自身、大人になりたいっていう願望が強くて。大人に憧れてるんですよね。フフフ。それがどんどん背伸びに繋がっていくっていう。

——ちょっと俗っぽい言い方をすると、「女」の部分がでてきたなとも思ったんです。

あぁー(驚)。ほほぉ(照)。そっか、そっか(認)。

——たとえば「メギツネ feat. PAGE, GOMESS」は、男を翻弄するような女性が描かれてるしね。曲中に出てくる“オジサマ”という囁きにヤラれるおじさんは相当いるんじゃないかと思うし(笑)。

あはははは(笑)。これは「和」がテーマで、ネルさんが作ってくれたトラックが馬鹿馬鹿しいくらいおどろおどろしくて。「和」にもいろいろあるけど、その中から妖怪っていうテーマを考えたんです。で、妖怪と和からイマジネーションを膨らませて、そこにさらに京都っていうイメージをブレンドして(笑)。

——舞子ってこと?

っていうか、花魁(笑)。花魁感を出したくて、そこから思いついたのが女狐だったんです。女狐って色っぽいし妖しいからこの曲にいいかなと思って。あと、これ、MVを作る予定なんですよ。

——おっ! ってことは花魁に扮するの? 

こないだ着物を仕入れてきました。けど、花魁って感じじゃないんですけどね。

——いよいよ顔出し? それとも着物だから、うなじで勝負とか?(笑)

あはは。顔は隠します。仮面を作ろうと思ってるから、ガンとは出さないですね。うなじはどうなるか、これから撮影なのでわかりませんけど(笑)。

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ナビゲーター

猪又 孝 / TAKASHI INOMATA

1970年生まれ。音楽ライター/エディター。小4のときにビートルズ「HELP」にヤラれ、19歳のときにロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズに心奪われるも、22歳でいきなりサザン・ソウルに開眼した、我ながら雑食家。現在は邦楽のソウル/R&B/ヒップホップを中心に執筆。でも、カワイイ& カッコイイ女の子もダイスキ。オフィシャル取材などで馴染みがあるアーティストは、加藤ミリヤ、Zeebra、SKY-HI、東方神起、三浦大知、RIP SLYME(五十音順)等々。

 
 
 
 
 
 
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