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特集 結成20周年のザ・たこさん 第3弾 2013年にザ・たこさんを知ったあなたに贈る

特集 結成20周年のザ・たこさん

第3弾 2013年にザ・たこさんを知ったあなたに贈る

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兵庫県三田市の三田アスレチックで開催された野外フェス『ザ・たこさんの無限大記念日』と、渋谷クラブクアトロで行なわれた単独公演。関西と関東でそれぞれ結成20周年と新作『タコスペース』の発売を祝うライブを盛大に行なったザ・たこさんの勢いがとまらない。ということで、MUSICSHELF、2013年の目玉企画「結成20周年のザ・たこさん」第3弾。最後を飾る今回は豪華4本立てでお届けいたしましょう。
まずPart.1では音楽ライター・染野芳輝氏による『無限大記念日』とクアトロワンマンの振り返りレポを。続いてPart.2はMUSICSHELF編集・ふくしま剛によるレポ「写真で振り返るザ・たこさんの 熱い1日!」。クアトロワンマンを成功させた10月2日の長く熱い1日を写真で振り返ります。それからPart.3では最近彼らを知ったという人たちのために、“いま聴いておくべきザ・たこさんの名曲”をメンバー4人の言葉でご紹介。題して「ザ・たこさんの名曲と共に振り返る20年!」。聞き手はもちろん内本順一氏。そして締めのPart.4では、ヴォーカル・安藤八主博とギター・山口しんじのふたりによる最新プレイリストを。というわけで、ここでしかありえない濃厚なザ・たこさん大特集。それではブワ~っといってみましょう!


Part.1 ライブドキュメント
野外フェス『ザ・たこさんの無限大記念日』
(2013.9.28@兵庫県 三田アスレチック)
結成20周年&新作『タコスペース』発売記念ライブ
(2013.10.2@渋谷クラブクアトロ)

関西でブイブイいわせてる(はずの)ソウル/ファンク・バンド、ザ・たこさんが、結成20周年を記念して一大野外フェスを開催! さらに20周年&ニュー・アルバム『タコスペース』発売記念ライヴを東京・渋谷クラブクアトロで行なった!! その両方を観て感じたことを書かせていただこうと思う。
ちなみに僕のザ・たこさん初体験は4年前のフジロック(@苗場食堂)で、ファンク/ソウルの様式を借りつつシンプルな編成(vo、g、b、ds)でオリジナリティーあふれるタイトなバンド・サウンドを創出する演奏力の高さと、アホらしさのなかから人間の感情の底が浮かび上がるような歌世界、そしてヴォーカルの悲しき怪人・安藤さんの強烈なキャラなどなどに、大笑いし、踊りまくり、歌い、叫び、最後には胸打たれ涙したものだった。
その後、個人的な事情で、音楽ライターであるにもかかわらずなかなか音楽を受け入れられない時期があったものの、1年ちょっと前からザ・たこさんのライヴが東京、及び近郊であればマメに足を運んできた。有り体に言ってしまうなら、彼らのライヴに触れるなかで、やっぱり俺には音楽が必要だ、音楽が好きだという確信を少しずつ取り戻すことができたのだと思う。だから、ザ・たこさんには心から感謝しています。そして、いつも彼らのライヴがあるよと知らせてくれたウッチー(ザ・たこさんの熱烈サポーターである内本順一氏)にも。

で、本題に戻って、まずは「ザ・たこさんの無限大記念日」@兵庫県・三田アスレチック。結成20周年にあたり彼らが思い切って企画した野外フェスで、ザ・たこさんと縁のあるオーサカ=モノレール、ギターパンダ、モアリズム、マキタスポーツ、チャラン・ポ・ランタンらが主役登場の前のステージを暖める。そして陽が暮れ、いよいよザ・たこさんの出番だ。

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いつものようにバンドの3人がファンキーなインストを奏で、MCキチュウが煽りまくるなか、後ろを振り返れば、すっかり真っ暗になった客席後方の森の中から、赤く点滅する物体、いや人影が下りて来る。安藤だ! いつもの覆面の上に特製の点滅装飾……気合い入ってます。それに応える“アンドー”コールも激アツ、60分強にわたる怒濤のステージが展開されたのだった。

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※無限大記念日のオープニングに登場して「ビューティフル・サンデー」を歌った田中星児さん。コーラスは安藤&山口。演奏はオーサカ=モノレール。

タイトにハネつつタメ充分なリズムも、山口しんじのシャープなカッティングも、今日はとくに際立っているように感じる。安藤さんの歌もパフォーマンスも絶好調だ。選曲は『タコスペース』からの曲も交えたほぼBest of ザ・たこさんで、ガッツリ楽しめたが、特筆すべきはアンコールの「我が人生、最良の日」。“人生ワンダホー、ビューティフォー”というリフレインには、この日ならではの特別な意味があったんじゃないか。苦節なんて言葉は使いたくないが、20年、ドカ~ンとブレイクせずともバンドをやり続け、ワン・アンド・オンリーの世界を強固にし、共鳴の輪を広げてきたザ・たこさん。まさに最良の日だ、最高だ、と思った途端、ぼろぼろ涙が止まらなくなった

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Photo by Tsuneo Koga

そして翌週の10月2日、渋谷クラブクアトロでのレコ発記念ライヴ。いつもより大きいハコだが、ザ・たこさんの大ファンを公言する宮藤官九郎氏との対談が「TV Bros」誌に大フィーチャーされたせいか、ほぼフルハウス。う~ん、めでたい! この日は、やはりザ・たこさんを支持してきた渡辺佑氏がDJ、レーベルメイトのオーサカ=モノレールがオープニングアクトという豪華版。やはりザ・たこさん応援団のグレート義太夫氏と宮藤官九郎氏もゲスト・ギタリストとして登場するのだから、まさに晴れ舞台。そのせいか、演奏もかなりアグレッシヴというか、勢いが勝るものだったように感じた。それは言い換えれば、ところどころでサウンドのバランスが崩れたということでもあるのだが、それだけ気合い充分だったということ。恐らくザ・たこさんのライヴは初めてというお客さんも多かったはずだが、途中からそんな人たちも巻き込んでしまった熱演にいたく感動。こうしてザ・たこさんの音楽が広まっていく、そんな明日を垣間見た気がした。そう、目指せ武道館! ですからね。

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Photo by Tsuneo Koga

最後に。冒頭で私事を書き、ザ・たこさんへの感謝を述べた。それは、彼らの音楽からカタルシスを得るからだ。手もとの辞書によれば「(1)精神浄化作用 (2)もやもやが晴れてすっきりすること (3)便通」とある。そのどれもが当てはまるような。もちろん、人によって感じ方はそれぞれだし、彼らの音楽が幅広いリスナーに受け入れられる類いのものと思っているわけでもない。けれども、笑わせ、踊らせ、声を張り上げさせ、泣かせる彼らの音楽は、あなたの感情を解放する力となるかもしれない、とも思っている。まだ未体験なら、ぜひ次のライヴに!

レポート/文:染野 芳輝(音楽ライター)

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