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猪又孝のvoice and beats

Y.I.M Interview & Playlist

Y.I.M

Interview & Playlist

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Charisma.com、泉まくら、daoko等、ユニークな才能の登場が目立つ女子ラップシーンに、またひとつ強烈な個性を持つグループが現れた。《パンケーキis小麦粉 原材料たこ焼きと一緒 パンケーキis小麦粉 それはタダの小麦粉!》(「パンケーキ」より)。そんなミもフタもないこと(けど真実!)を歌って注目度急上昇中のY.I.Mは、日常の取るに足らないくらいのことをフラットなトーンでラップするMC2人組。他にも貧乳女子集まれソング「class A」とか、処女作『Y.I.M』には、脱力系なんだけど鋭いパンチをたまーに繰り出す(だから耳が離せない)ラップが詰まっている。トラック群もファニーでエキセントリックでちょいファンキーなんだけど、脂っこくないから胃もたれナシ。そもそもこの二人、ラップを聴いてなかったのに気づいてみたらラップのユニットを組んじゃってたという気楽さもスゴイ。おっとりしゃべるオミール(ショートヘア)と、天然で小ボケまくるあすちゃん(お団子ヘア)。シーンに衝撃を与えるY.I.Mのユルさがバレる(!?)、放課後のおしゃべり的インタビューをどうぞ。

——グループの結成は、2011年。オミールがあすちゃんの留守電にラップを吹き込んだのが始まりらしいけど?

オミール:二人で映像を作る仕事をしてる友達を手伝ってたんですよ。その制作で徹夜がずーっと続いてて。で、うわーっとなって、その鬱憤をラップにしたのが始まりですね。完全に遊びで。

あすちゃん:そのときはサンドアニメーションをひたすら作らされて。超ストレス溜まったよね? ご飯もカップ焼きそば渡されただけだし。

——そのときのラップは覚えてる?

オミール:その一部が「KONSAI」なんです。

あすちゃん:♪根菜食べたい♪っていうフック。ご飯事情があんま良くなかったんで、栄養があるものをって(笑)。

——もともと二人は高校が同期なんだよね?

オミール:でもクラスは1回も一緒になったことはなく。部活も一緒じゃなかった。

——高校のときに付き合いはあったの?

オミール:3年生のときにあったんだけど、二人きりで遊ぶっていうことはなく。

——むしろ「なんだコイツ」くらいな?(笑)

あすちゃん:そう。いけ好かない感じで(笑)。

オミール:けど、卒業してからは二人で遊んでて。

あすちゃん:遊ぶ場所が近くて、よく会うようになったんですよ。というか、一緒にいた子がだんだんいなくなってきて二人しかいなくなったっていう(笑)。結婚とかしちゃったんだよね。

——昭和ラスト生まれだから、今、26歳でしょ。どんなところに遊びに行くの?

オミール:飲みに行ったり、フツーにご飯食べたり。パトロールだよね、吉祥寺の。

あすちゃん:そう。ぐるぐるグルグル歩くっていう。よく一緒にただ歩いてます(笑)。

——そもそもラップに興味を持ったのはいつ頃なの?

オミール:音楽は中学、高校も人並みに聴くだけで、別にバンドとかもやらず。ラップをやるつもりはなかったし、なんか気づいたらって感じ。さっき話した友達の制作活動を手伝ってたときに、ふとラップが出てきたんです。

——それでよくラップが口を突いて出てきたなぁ。

オミール:ね? 音楽がすごく好きで、ラップがしたい!と思ってたわけじゃないのに(笑)。

——中高時代はどんなものをよく聴いてた?

オミール:ブリトニー・スピアーズとか聴いてました。あとグリーン・デイとか。ラップは聴いてなかったです。別に好きじゃなかった。

——あすちゃんは?

あすちゃん:私も本当に人並みくらい。中学とか高校のときは、銀杏BOYZとかGOING STEADYとか。

——ロック少女?

あすちゃん:ロック少女っていう風に言われると全然違うんですけど。ただ峯田(和伸)が好きだったっていう。

——好きだったのに「峯田」って呼び捨てか!(笑)

あすちゃん:(笑)村井(守)もいたよね、吉祥寺に。

——だから、呼び捨てかっつうの!

あすちゃん(無視して)写真撮ってもらったよね。ミオ(オミールの愛称)に撮ってもらったんです♪

——ラップを聴いてたことは?

あすちゃん:特になし。

——そんな二人がよくぞラップグループを始めたもんだ(笑)。

オミール:そう。私もびっくりです(笑)。

——留守電に吹き込まれたラップを聴いたとき、最初はどう思った?

あすちゃん:嫌ですよね、やっぱ。キモチワルイし。留守電に吹き込まれてるだけじゃなくて、リリックもLINEでセットで送られてくるようになったんです。「今のはこういう風に言ってた」みたいな説明が。それを普通に読んで「いいじゃん」って返したんですけど。

——既読スルーしなかったんだね(笑)。

オミール:そう。そのうち、アスカ(あすちゃんの愛称)もそういうのを返すようになってきてくれて。

あすちゃん:リリック合戦みたいな。初めは真似ですよね。ラップ風。韻の踏み方もムチャクチャで、ずっとそれをメールしてて。

オミール:でも、韻踏んだりとか、なんかリリックを書いてるのが面白くて。それで「これを誰かに知ってもらいたい!」って。それがまずアスカだったんです。

あすちゃん:で、私たちに手伝いを頼んでた友達っていうのが器用で、軽いトラックなら作れてしまう子だったんで、さっき言った「KONSAI」を曲にしてくれたっていうのが始まり。その友達が3曲くらいバババって作ってくれたんで、その3曲で友達のイベントで初めてライブして。

——もともと文章を書くことは好きだったの?

オミール:詞とかは好きでしたね、小学校のとき。

あすちゃん:私も作文とか好きでした

オミール:でも音楽は苦手でした。超オンチなので、音楽とは一切関わらないで生きてきた(笑)。

あすちゃん:私も音痴です。でもラップは、こういう風に言ったら失礼かもしれないけど、あんまり音程がないじゃないですか。だから初めの方は、音痴だけど、できてる“風”で。その“ラップ風”なものが、ちゃんとラップの曲になっていくのが面白くてやってたんです。

——今回のアルバム制作はいつ頃から始まったの?

オミール:去年の夏。8gmtx(八合目トラックス)さんと、I-TAL(アイタル)さんがY.I.Mに興味を持ってくれて。「トラック作るよ」「うわ、ありがとうございます」って言ってたら、結構作ってくれて。

あすちゃん:それに合わせてどんどん録っていったら、実はアルバムを作る話だったっていう。妙にたくさん作ってくれるなと思ってたらそういうことだったみたいで。あとから気づいた(笑)。

——アルバムではどんなものをやりたいと思ってたの?

オミール:思ってることをそのまんま。くだらないというか、日常の話してる内容をそのまま歌にしようと。

あすちゃん:こういう風なのはイヤだよね?っていうのは結構あったんです。意味が強すぎちゃったりするというか、意見的になりすぎちゃったりするのはイヤかなって思ってて。

——そうそう、Y.I.Mっていうグループ名の由来は?

あすちゃん:Yours Is Mineです。その意味ですか?

——それはわかります。そのくらいの英語力は持ってるから(笑)。

オミール:あはは。これも鬱憤が溜まって、逆立ってたときに口から出た言葉で。ジャイアニズムな感じですね。

あすちゃん:俺のモノは俺のモノ、お前のモノも俺のモノっていう。

オミール:で、そういうのをすぐ英語にしたがるクセがあって、それをYours Is Mineって適当に訳しただけ。こんな活動をするなんて思ってなかったんで、略して適当にグループ名を決めちゃったんですよ。

——Do It YourselfでD.I.Yみたいな。

オミール:そうです(笑)。

あすちゃん:やっぱ英語3文字の方がかっこいいじゃないですか。

——“やっぱ”っていうのはよくわからないけど(笑)。でもパッと見、かっこいいと。

あすちゃん:そう。パッと見、ヒップホップっぽくなる。

——M.I.Aみたいな。

あすちゃん:そうです。ECDとか。全部英語3文字だから。

——全部じゃねーよ(笑)。

あすちゃん:うわははは、そっか、全部じゃないか(笑)。

——でも、そのジャイアニズムがY.I.Mの活動姿勢を表してるの?

オミール:「Y.I.Mのテーマ」で《お前のモノは俺のモノ 俺のモノは俺のモノ》って言ってるんですけど、ライブを見てくれてるお客さんへの「この場を楽しもうぜ」的なフレーズですよね。お前の時間は俺のモノだから、それを一緒に楽しもうぜっていう。……って昨日言ってたよね、確か(笑)。

——ちなみに、「ドラえもん」の登場人物ではジャイアンが好きなの?

あすちゃん:全然好きじゃないです(笑)。その頃、よく軽はずみな行動してたんですよね。

オミール:軽はずみな行動なんですよ、Y.I.Mは、もともと。

あすちゃん:そう、本当に軽はずみな行動。

オミール&あすちゃん:(声を揃えて)だから、なんでここにいるのかわからない(笑)。

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猪又 孝 / TAKASHI INOMATA

1970年生まれ。音楽ライター/エディター。小4のときにビートルズ「HELP」にヤラれ、19歳のときにロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズに心奪われるも、22歳でいきなりサザン・ソウルに開眼した、我ながら雑食家。現在は邦楽のソウル/R&B/ヒップホップを中心に執筆。でも、カワイイ& カッコイイ女の子もダイスキ。オフィシャル取材などで馴染みがあるアーティストは、加藤ミリヤ、Zeebra、SKY-HI、東方神起、三浦大知、RIP SLYME(五十音順)等々。

 
 
 
 
 
 
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