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NIKIIE Special Interview&Playlist 自分らしさを再発見したNIKIIEの“ピアニズム”

NIKIIE
Special Interview&Playlist

自分らしさを再発見したNIKIIEの“ピアニズム”

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NIKIIEから届いたサード・アルバムのタイトルは『Pianism』(ピアニズム)。デビュー前から弾き語りでライブをしてきた彼女にとって、ピアノは欠くことのできない相棒。だから特に驚くことではないのかもしれない。それでも、下記のインタビューでも触れているように、「これが私のピアノ=音楽よ」という宣言とも受け取れる明快なタイトルは、やっぱり気になった。階段を一歩ずつ、時には螺旋を描きながらも確かな歩みを進めてきたNIKIIEにとって、相棒であるピアノを再発見するなにかがあったのでは・・・と。新作の内容についてはもちろん、“ピアノと私”というテーマに辿り着くまでの心の動きや試行錯誤にも触れた最新インタビュー。少し時間を巻き戻しつつ、たっぷりと聞いてきました。

―― 前作の『Equal』から1年半ぶりのインタビューなんですよね。なので、まずはその間のことからうかがいたいんですが、心境や環境に大きな変化はありました?

心境の変化はめちゃくちゃありました。セカンド・アルバムの『Equal』を出してツアーをまわっている間に、「自分の音楽って・・・?」って、疑問がわいてきちゃったんです。

―― というと?

『Equal』は自分が表現したい世界観をアレンジャーさんに広げてもらった作品で、今思うと、いろんなものを吸収する時期だったと思うんですね。バンドサウンドとしてのバランスはどうかとか、アレンジによってどんな化学変化が起きるのかとか。だから例えば印象的なギターのフレーズがあったら、それをどう生かすか?っていうところで、ピアノを控えたりもしてたんです。ピアノってギターともベースとも音域がかぶっちゃうし、ドラムみたいにリズム感も出せる。だから“バンドサウンド”というものを考えた時に、そのアンサンブルのなかでピアノがどう存在するのが良いのかわからなくなったりもして。

―― デビュー以前は弾き語りだったから、そういうことは考えなかったわけですもんね。

そうですね・・・。でも今は、ベースがこう弾いて、ギターがこう弾いて、ストリングスもこう鳴ってる、だったらピアノは「ちゃーん」と伸ばして弾くだけでも成り立っちゃう。以前みたいに弾いて弾いて弾き倒す必要はなくて、自分が弾かないぶんの隙間をほかの楽器が埋めてくれる。その中で歌うのも新鮮ではあったんです。でも時間が経つにつれて、なんだか違和感が出てきてしまって・・・。私の音楽ってなんだろう、自分にしかできないものって?って。それで自分の音楽をあらためて掘り下げてみようと試行錯誤した結果、やっぱり“ピアノと私”というのが一番自分らしいな、っていうところに行き着いて。そんな時に、4カ月連続で4曲をリリースする配信のお話をいただいたんです。それで、バンドのバランスとか化学変化がどうとかを考えずに、アレンジャーさんの色に思いきり染まってみようと。そうしたら逆に自分がよく見えてきました。

―― “ピアノと私”という自分らしさを再発見したタイミングで「ほかのアレンジャーの色に染まってみよう」って、面白い着想ですよね?

うんうん、そうですよね。たぶん、お願いしたアレンジャーさんがみなさん、ピアノがメインの方だったのが大きいんだと思います。

―― あぁ、たしかに、渡辺シュンスケさん、冨田恵一さん、中島ノブユキさん、末光篤さん・・・みなさん鍵盤弾きですね。

これまでは、私自身がピアノを弾くこともあって、誰かにアレンジをお願いする時は、初期の頃からやっていただいている中島さんのほかは、ピアノ以外の楽器を弾く方にお願いすることが多かったんですね。でもこの時期は“ピアノと私”というところに辿り着いたこともあって、ピアノを基本的なところから学び直したくなってたんです。ギロック(※ピアノの教本)を久しぶりに開いてみたりもしたし(苦笑)。

―― 実際にやってみてどうでした?

みなさんそれぞれ突き詰めるところは違うんですけど、どの方も自分らしさみたいなところにすごくナチュラルにこだわっていて。それを見ていて「私は私でいいんだな」って感じました。自分にないものを無理に足したり、あるものを減らしたりする必要はなくて、自分が好きと思うなら好き、嫌いなら嫌いっていうナチュラルな感覚でいいんだと思えるようになって、そこからまた曲作りもどんどん変わっていきました。

―― 昨年の配信4曲は“NIKIIEらしさ”を再確認するものになったんですね。

そうですね。10月に渋谷でワンマンライブがあったんですけど、その時にはもう、肩の力が抜けてる自分に気づいて。1週間前のリハの時にちょっと無理をしたら声帯を壊してしまって、当日も「声が出るかな・・・」っていう状態だったんですね。声が出るかもわからないし、ピアノとどれくらい向き合えるのか、バンドとちゃんと呼吸を合わせられるか?っていう穴だらけの状態だったんですけど、逆にすごく集中できて、声もすごく出たしピアノもナチュラルに弾けて。「ああ、自分はやっぱりピアノと歌なんだ!」っていうのを改めて感じた気がしました。そういうことがあったおかげで、アルバムに入れる曲もようやく書けたんです。

―― なるほど。新作のタイトルが『Pianism』という、いわば「これが私のピアノ=音楽よ」という宣言のようにも解釈できるものなので、きっと大きな心の動きがあったんだろうなぁと思ったんですけど、やっぱりそうだったんですね。じゃあそろそろアルバムの話に移りましょうか。“ピアノと私”というところに辿り着いて、自分がよく見えてきたところで、具体的にはどんなイメージを持って制作にとりかかったんですか?

最初は、私自身が濃く出るアルバムにしたいと思って作り始めたんですけど、曲を書いているうちになんかこう、聴き終わった時に元気になれるというか、気持ちがグッと持ち上げられるようなものにしたいと思ったんです。みずみずしい音、っていうのかな。ほかの楽器のあり方や声の感じに合わせて曲ごとにピアノの音も変えてはいるんですけど、言葉にすると“みずみずしさ”っていうのが自分の音だなぁとすごく思って、全体的にみずみずしさとか生命力みたいなものを意識して作ってた気がします。あとはやっぱり“ピアノと私”っていうのがテーマでしたね。タイトルの『Pianism』は、全部を作り終わってからポンと出てきた言葉で、本来はクラシックで使うものなんですよね。私は末光さんみたいにぶわ~っとクラシックが弾けるわけでもないし、使うのにすごく勇気が要ったんですけど、いったん思いついたらもうそれしか浮かばなくなっちゃって、結局このタイトルにしました(笑)。

――  “ピアノと私”というところで、編曲陣には再び中島さんやシュンスケさん、末光さんら鍵盤弾きを迎えているわけですけど、「UNCONTROL」「猫」「紙飛行機」の3曲のアレンジを手がけた石崎光さんはギターの人ですよね。そこは、どういう気持ちからだったんですか?

石崎さんはすごくマニアックな方で、ピアノの音がこうだからまわりの音はこうして・・・とか、歌がよく聞こえるようにリズムを組み立ててくれたりとか、ギターの人なんだけど、私のピアノと歌をすごく理解しようとしてくれるんです。あと、私も誰にも伝わらないような細かいこだわりをするほうなんですけど、石崎さんもそういう遊びというか、「脳みその中の音を具現化する」っていう面白いチャレンジをすごくやる人なんですね。そのぶんデモが上がってくると、石崎さんのあまりの爆発ぶりに「そこはちょっと違います」とか言いながら直していく作業も結構あったんですけど、そういうやりとりも自然に楽しくできました。たぶん相性が合うんだと思うんですよね。

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