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西寺:『オフ・ザ・ウォール』前に、クイーンがマイケルに贈ったんだけど、クインシーが突き返しちゃった曲。この曲とか、あとでジャクソンズのアルバムに入った「ステイト・オブ・ショック」とか、マイケルがやりたかったロック的な要素をクインシーはことごとく却下し...
西寺:『オフ・ザ・ウォール』前に、クイーンがマイケルに贈ったんだけど、クインシーが突き返しちゃった曲。この曲とか、あとでジャクソンズのアルバムに入った「ステイト・オブ・ショック」とか、マイケルがやりたかったロック的な要素をクインシーはことごとく却下してったんですよね。結局、この曲はクイーンが自分たちでやってNo.1になっちゃった。だから、マイケルは「オレが正しかったじゃん!」ってなって、『スリラー』の時にはもっと強気に意見を言えるようになっちゃうんですね。
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西寺:マイケルには、今回の25周年記念盤でウィル・アイ・アムがやったようなイメージが、当時からあったんじゃないかな。でも、クインシーは世界一になろうと思った時に、あの牧歌的な、老若男女にウケるポール・マッカートニーと一緒にほんわかした感じでやりたかっ...
西寺:マイケルには、今回の25周年記念盤でウィル・アイ・アムがやったようなイメージが、当時からあったんじゃないかな。でも、クインシーは世界一になろうと思った時に、あの牧歌的な、老若男女にウケるポール・マッカートニーと一緒にほんわかした感じでやりたかったんだろうね。
和田:ちょっと前にYouTubeで観たんだけど、近年のマイケルが、スペインかどっかのTV番組に出てて、「ガールズ・オブ・マイン」を歌うシーンがあったの。本番と本番のあいだのちょっとしたブレイクで歌ってる感じなんだけど、思いっきりビートつけて歌ってんのね。いまの話聞いて思ったんだけど、マイケルはもっとビートがちがちでやるイメージが当時からあったんじゃないかって思う。
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スリラー
マイケル・ジャクソン
西寺:これってシックの「おしゃれフリーク」をすごく意識した曲だよね。マイケルって、とくに『オフ・ザ・ウォール』とか『スリラー』を作った時、<スタジオ54>で聴いてた音楽っていうのがすごく原風景にあると思うんだよね。78年から80年ぐらいって、マイケル...
西寺:これってシックの「おしゃれフリーク」をすごく意識した曲だよね。マイケルって、とくに『オフ・ザ・ウォール』とか『スリラー』を作った時、<スタジオ54>で聴いてた音楽っていうのがすごく原風景にあると思うんだよね。78年から80年ぐらいって、マイケル自身がいちばん遊んでた時期だと思うし。当時はそれほどTVには出てないし、出たとしても、マイケルを知ってる人って子供の頃のイメージしかないんで、成長したマイケルに気が付く人って少なかったと思うんですよ。で、ナチュラルに人混みに紛れて楽しく踊れてた時期で、そこでかかってたシックとかってものすごく影響を受けてたと思うんですね。『スリラー』までは、マイケルがイイ意味で現場感あるんですよ。『BAD』からは、世の中でなにが流行ってるのかっていうのとはまったく別で、本人がやりたいことをやっちゃってる感じ。まあ、それがダメだったってことに気づいて、『デンジャラス』でテディ・ライリーの力を借りて一瞬「現場」に立ち帰るんだけど。
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西寺:『スリラー』って、歌詞もおもしろくてさ、「ビリー・ジーン」の中では、オレのことを信じてくれ、みんなはオレのことを悪く言うけど、悪いことなんてやってない、みたいなことを歌ってるんだけど、そのあとの「ヒューマン・ネイチャー」ってSEX狂の男の歌なん...
西寺:『スリラー』って、歌詞もおもしろくてさ、「ビリー・ジーン」の中では、オレのことを信じてくれ、みんなはオレのことを悪く言うけど、悪いことなんてやってない、みたいなことを歌ってるんだけど、そのあとの「ヒューマン・ネイチャー」ってSEX狂の男の歌なんだよ。
和田:そうだったの?
西寺:そう、誰とでも寝ちゃうみたいな。男ってそういうもんだもんって。街でそのへんにいる女の子とやっちゃうみたいな歌なんだよね。この詞はマイケルじゃなくて、ジョン・ベティス。で、曲はスティーヴ・ポーカロ。「ビリー・ジーン」でオレのことを信じてくれ、……なんて歌ったあとに、めっちゃヤッてますよって、どっちやねんっていう(笑)。実際問題、当時のマイケルって宗教に入れ込んでて、結婚するまでは貞操を守りますみたいなこと言ってたのに、あえてマイケルが書いた「ビリー・ジーン」の次に「ヒューマン・ネイチャー」っていう曲をぶつけてる。きれいなメロディーなんだけど、ちょっと下品な歌。次の曲「P.Y.T.」は楽しい曲で、次の「レディ・イン・マイ・ライフ」で、一生の恋人は君だけです、みたいな、多重人格甚だしいんだけど(笑)、そういう作り方ができたのはクインシーのおかげだよね。
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西寺:初めて買ったマイケルのLPはこれ。 和田:父親の管理下にあったから、『スリラー』のヒットに便乗して、兄弟たちも儲けさせようっていうことでやったやつだよね。マイケルはイヤでイヤでしょうがなかったんだよね。自分はソロでヒットしたし、ひとりでやりたい...
西寺:初めて買ったマイケルのLPはこれ。
和田:父親の管理下にあったから、『スリラー』のヒットに便乗して、兄弟たちも儲けさせようっていうことでやったやつだよね。マイケルはイヤでイヤでしょうがなかったんだよね。自分はソロでヒットしたし、ひとりでやりたいのに、まだジャクソンズに縛られていた。それでしょうがなくやったアルバムでしょ。で、世間は『スリラー』のマイケルがいるジャクソンズのアルバムってことでマイケルの歌を期待してたのに、いざフタを開けてみたら、マイケルはほとんど歌ってないんだよね(笑)。
西寺:僕はね、ジャクソンズがとにかく好きで、ダメなところもひっくるめて好きな、それこそ昔の阪神ファンみたいな感じ(笑)。
和田:当時、すごく不思議なアルバムだなあって思ってた。マイケルをすごく好きになって、結構いろいろ詳しくなっていったんだけど、小学校の終わりぐらいにこのアルバムの存在を知って、なんだこれ?って。ジャクソン5とは違って、みんなオトナだし、こんなのあるんだあって聴いてみたら、マイケルはほとんど歌ってないしさ、なんなんだろうと。
西寺:日本盤LPにブックレットが入ってて、吉岡正晴さんがジャクソン・ファミリー物語っていう解説を書いていたんだけど、それ読んで、ジャクソン・ファミリーの歴史とかもわかっていたんで、このアルバムにはすごく感謝してる。でも、ヘンなアルバムだよね(笑)。
和田:サウンドそのものにも手が込んでない。『スリラー』よりあとなのに、こっちの音のほうが古臭いんだよね。で、PVがおもしろいんだよね。マイケル出てこないし。
西寺:最悪なんだよね。「トーチャー」のPVは、マイケルと見せかけて兄弟が踊ってるシーンもあって、観てて恥ずかしいの(笑)。
和田:メチャクチャだよね。これってシングル・カットされた曲だけど、マイケルもジャーメインもPVに出たくないっていうね。
西寺:普通だったらPV作るのやめよっかってなっちゃうとこなんだけど、普段注目されることがない4人だから、ちょっと目立ってみようかって4人だけでやるんだけど、これが微笑ましいぐらい最悪(笑)。
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西寺:「ウィ・アー・ザ・ワールド」をよくよくチェックしてみたら、関わったアーティストのほとんどが、そのあと長続きしてないの。ライオネル・リッチーも「ウィ・アー・ザ・ワールド」のあとに「セイ・ユー・セイ・ミー」のヒットがあるんだけどそこで終わりだし、ス...
西寺:「ウィ・アー・ザ・ワールド」をよくよくチェックしてみたら、関わったアーティストのほとんどが、そのあと長続きしてないの。ライオネル・リッチーも「ウィ・アー・ザ・ワールド」のあとに「セイ・ユー・セイ・ミー」のヒットがあるんだけどそこで終わりだし、スティーヴィー・ワンダーも「パートタイム・ラヴァー」出してそれ以降たいしたヒットないし。みんなね、マイケルと共演したことがドーピングになって、その直後は大ヒット出すんだけど長続きしない。ホール&オーツなんて「ウィ・アー・ザ・ワールド」の直前に「アウト・オブ・タッチ」が1位になるけど、そっからダメ。ヒューイ・ルイスもそのあとに「パワー・オブ・ラヴ」がヒットするし、シンディー・ローパーも「トゥルー・カラーズ」がヒットするけど、そのあとガクンと落ちちゃう。スティーヴ・ペリーもケニー・ロギンスもビリー・ジョエルもティナ・ターナーもチャートから離れていっちゃうんだよね。
和田:そうだね
西寺:損しなかったのは、誘われたけどやらなかったマドンナ。それと、ギリギリまで参加しようとしたけど引き返したプリンス。それから、現場に行ったけどテキトーな感じで参加してるボブ・ディラン(笑)。
和田:そうそう、テキトーだったねディランは(笑)。
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バッド
マイケル・ジャクソン
和田:「バッド」って、プリンスとデュエットするのを想定して作った曲なんだよね。一回、クインシーがあいだに入って3人でミーティングしたらしいから。 西寺:で、プリンスは「この歌はボクがいなくてもヒットするよ」って言ったと。マイケルは、『デンジャラス』を...
和田:「バッド」って、プリンスとデュエットするのを想定して作った曲なんだよね。一回、クインシーがあいだに入って3人でミーティングしたらしいから。
西寺:で、プリンスは「この歌はボクがいなくてもヒットするよ」って言ったと。マイケルは、『デンジャラス』を作る時にマドンナにも声をかけるんだけど、断られるんだよね。マドンナがマイケルになんて言ったかというと、今度ニューヨークのクラブにでも踊りにいきましょうよ、あなたみたいなダサイ格好してる人いないわよ、それから曲を作りましょうよって。でも、マイケルは行かなかった。親身でこんなこと言えるのはマドンナだけですよ。
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和田:この曲は「Captain EO」用に作った曲だよね。 西寺:うん。その前にさ、YMOの「ビハインド・ザ・マスク」のカヴァーを『スリラー』に入れるっていう話があったじゃない。「アナザー・パート・オブ・ミー」は、マイケルが「ビハインド・ザ・マスク」...
和田:この曲は「Captain EO」用に作った曲だよね。
西寺:うん。その前にさ、YMOの「ビハインド・ザ・マスク」のカヴァーを『スリラー』に入れるっていう話があったじゃない。「アナザー・パート・オブ・ミー」は、マイケルが「ビハインド・ザ・マスク」みたいな曲を作ろうと思って書いた曲だと思うんだよね。「Captain EO」の話が来た時に〈未来〉ってイメージして、ああいうシンセがリフを刻んでるファンキー・ナンバーを作ろうって思って出来た曲なんじゃないかなって。でもさあ、坂本龍一さんがラジオで言ってた有名な話では、マイケル・サイドが「ビハインド・ザ・マスク」をカヴァーするにあたって、あとからメロを足しておいてやったから感謝せい、版権半分よこせみたいな、ものすごく傲慢な態度だったから断ったらしいんだけど、その時は『スリラー』があそこまで売れるとは思わなくて後で後悔したって(笑)。
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西寺:ジャネットが1回目に結婚したジェームス・デバージっていうのがこの曲でフィーチャーされてるエル・デバージの弟なんだけど、そいつがかなりの奔放キャラで売ってたヤツで、若くしてスターになったからわがままだし、ジャネットはヤツのせいでボロボロになっちゃ...
西寺:ジャネットが1回目に結婚したジェームス・デバージっていうのがこの曲でフィーチャーされてるエル・デバージの弟なんだけど、そいつがかなりの奔放キャラで売ってたヤツで、若くしてスターになったからわがままだし、ジャネットはヤツのせいでボロボロになっちゃうわけ。で、マイケルがいちばん可愛がっていた妹をボロボロにした男の兄貴を、クインシーは起用する。マイケルはね、自分に憧れて育ったフォロワー、それこそニュー・エディションのラルフ・トレスヴァントには曲を書いたりプロデュースもしたりしてるんだけど、エルというか、デバージ一家を嫌ってたんだよね。なのに、わざとクインシーは使ったっていう…。
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西寺:『デンジャラス』でテディ・ライリーを起用したでしょ。あれは、またマイケルのクインシーに対する嫌がらせかと思ったんですよ。新しいことやってみせようって。だけど、テディが言うには、クインシーがマイケルと会わせてくれたって。マイケルに、今度のアルバム...
西寺:『デンジャラス』でテディ・ライリーを起用したでしょ。あれは、またマイケルのクインシーに対する嫌がらせかと思ったんですよ。新しいことやってみせようって。だけど、テディが言うには、クインシーがマイケルと会わせてくれたって。マイケルに、今度のアルバムはテディ・ライリーといっしょにやったほうがいいよってクインシーが仲をとりもったって。結局、自分がやらない、どうせやってもうまくいかないって思ってるから、そこで新しい男を紹介するみたいな(笑)、こいつイイヤツだよって(笑)。クインシーは気持ちのうえですっげえ勝った!と思ったはずですよ。