【漢方薬・整体の好転反応】症状や副作用との見分け方は難しい

好転反応
悩む人

漢方薬を飲んでいると肌の調子が悪くなった…。
漢方薬の好転反応と副作用の違いってなに?
整体を受けに行ったら症状が余計にひどくなった…。

このような悩みや疑問はありませんか?

今回は、薬剤師である筆者のオオクボが、好転反応とは何か、副作用との違いを解説します。

漢方薬で起こる好転反応と整体・マッサージで起こる好転反応に分けて解説していますので、知りたい内容だけを読んでいただいても構いません。

では、さっそくみていきましょう。

目次

好転反応とは

好転反応とは

好転反応とはその名の通り、状況が良くなる方向に向かうことで発生する反応のことです。

漢方薬でいうと、薬の効果が効いたことで体内の毒素が排出され、肌荒れが起きるのがよくある例です。

他にも、マッサージや整体など、さまざまな治療や施術で好転反応が起こる場合もあります。

漢方薬編|好転反応(瞑眩)の症状

漢方の世界では、好転反応を専門用語で「瞑眩(めんげん)」と呼ばれています。

好転反応は皮膚や胃腸機能などいたるところにあらわれ、その症状は人によって大きく異なります。

  • ニキビが増える
  • 吐き気がする
  • クラクラする
  • 眠気が強く出る
  • 汗や尿の量が増える
  • 下痢を起こす
  • 月経時に血のかたまりが出る
  • 熱が出る など

これらの症状は漢方薬を服用してから1週間ほどであらわれ、数日、長くて1か月程度かけて徐々におさまっていきます。

ただし、アトピーなどの皮膚疾患を持っている人はおさまるまでの期間が長くなりやすかったり、数回繰り返したりするケースが数多です。

オオクボ

漢方薬による好転反応(瞑眩)の発症率は0.1%であり、そう起きるものではありません。

漢方薬編|好転反応(瞑眩)の原因・メカニズム

漢方薬編|好転反応(瞑眩)の原因・メカニズム

漢方薬による好転反応(瞑眩)は、漢方薬に含まれる生薬の作用が効きはじめることで起こり、気血水の巡りが滞っている状態が長い人ほどあらわれやすくなります。

メカニズム

体内で滞っている気血水が漢方薬の作用により体内を巡るようになることで、余分な水分や老廃物が体外に排出され、好転反応の症状があらわれます。

たとえば、体のむくみが気になる人は、水毒・水滞と呼ばれる水分代謝が低下し、体内に水分や老廃物が溜まりやすい体質となっています。

このような症状には、水分の排出を助ける漢方薬が用いられるのですが、長い間水分や老廃物が滞っていると、一度にたくさんの量が体を巡り排出されます。そのため、一時的に肌荒れや汗の量、尿の量が一時的に増加する好転反応があらわれるのです。

オオクボ

好転反応なく体質が改善され症状が解消されるのが一番です。
好転反応が出ないためにも、早めに対処しましょう。

漢方薬編|好転反応と副作用の見分け方

漢方薬編|好転反応と副作用の見分け方

結論から言うと、自分で好転反応と副作用を見分けることは困難です。

「あれはおそらく好転反応だった」「あれは好転反応だと思ったけど副作用だった」と、のちのちわかることはあります。しかし、症状だけを見て「これは100%好転反応だ」「これは確実に副作用だ」と見分けるのは困難です。

オオクボ

明確にはわからなくても、治療期間でなんとなく鑑別することはできます。

好転反応というのは、症状が根本的に改善していく過程で出現する体調不良であるため、基本的には治療経過とともに落ち着いてきます。また、好転反応が落ち着くとともに、悩みの状態も改善していきます。

具体的な目安期間はなんともいえませんが、漢方治療であれば、1から2週間が好転反応の時期と考えてよいでしょう。1か月飲んでても状態が悪化していくのであれば、体質にあっていない可能性が高く、副作用が疑われます。

状態の悪化が2週間以上続いているという場合には、できるだけ早く治療内容の見直しをするのが得策です。

初期に出現する副作用に注意

漢方薬の投与初期などに出現する副作用にも注意が必要です。

投与初期は好転反応が起こるからといって、なんでもかんでも我慢すればよいということではありません。飲みはじめて以下のような症状があらわれた場合は、副作用として取り扱ったほうがいいです。

  • いきなり発熱した
  • 全身にかゆみや赤みが出現した
  • 吐き気が止まらなくなった
  • 全身に明らかな体調不良を生じた
  • 強い腹痛を感じた

漢方薬の副作用には、重篤なものだと肝機能障害やミオパチーなどがあります。よって基本的には、漢方薬による体調不良は副作用だと考え、早めに医師に相談することを強くおすすめします。

漢方薬編|好転反応への対処法

漢方薬編|好転反応への対処法

漢方薬で好転反応が出た場合の対処法は以下の3つです。

  • 医師の診断を受ける
  • 漢方薬を飲み続ける
  • 生活習慣を見直す

体調不良が起こった場合に備え、ぜひ読んでおきましょう。

ステップ1.医師の診察を受ける

まずは、医師の診察を受け、好転反応なのかどうかをしっかりと知らなければなりません。

「好転反応と思ったら副作用だった」というパターンもあり、安易に好転反応だろうと考え行動するのは危険だからです。

実際に好転反応にみられる下痢や発熱、肌のかゆみは、副作用の症状にも該当します。

自己判断は体調悪化の要因にもなりますので、きちんと医療機関に受診しましょう。

ステップ2.漢方薬を飲み続ける

医師に相談し好転反応(瞑眩)と診断を受けた場合は、そのまま漢方薬を飲み続けましょう。

好転反応は次第におさまるため、漢方薬を飲み続けても問題ありません。

さらにいうと、漢方薬を飲み続けなければ悩みの症状や体質は改善されません。しっかりと体調をよくするためにも、医師が提示した服用期間に従って飲み続ける必要があります。

もし、数日経過してもよくなる兆しがみられない、もしくは悪化した場合は副作用の恐れがあるので、速やかに医師に相談してください。

ステップ3.生活習慣を見直す

生活習慣を見直し体質改善を促すことも、好転反応を早くおさめるために大切です。

好転反応は、生活習慣が乱れ気血水が滞っている状態が長い人に起こりやすい症状だからです。

睡眠不足や運動不足の人、湯船に浸かる習慣がない人、水分をあまり摂らない人などは、血の巡りが悪くなり滞りやすいです。
そのため、肩こりや冷え、頭痛、目の下のクマなどの症状に悩まされやすい体質になります。

生活リズムが乱れがちな人は、自律神経やホルモンバランスが乱れやすく、精神不安や頭痛、肩こり、肌荒れ、疲れやすいなどの症状が起こりやすい体質になります。

生活習慣が乱れると体調不良を起こしやすい体質に。
整った生活習慣を過ごすことで体調不良を起こしにくい体質に改善できるので、意識して過ごしてみてください。

整体・マッサージ編|好転反応の症状

整体・マッサージ編|好転反応の症状

整体院やエステサロンの施術により、好転反応を起こすことがあります。

施術による好転反応の症状には、以下のようなものがあります。

  • 痛み
  • 吐き気
  • だるさ
  • 発熱
  • 眠気 など

これらの症状はおよそ2〜3日程度でおさまっていきます。

もし、1週間以上たっても症状が改善されない場合は、医療機関に受診し治療を受けることをおすすめします。

揉み返しは似て非なるもの!見分け方

整体やマッサージを受けたことがある方であれば「もみ返し」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。このもみ返しは、好転反応とは似て非なるものです。

好転反応は体の不調が改善されるなかで起こる不調の症状ですが、もみ返しは筋肉組織が傷つき炎症を起こしていることが原因です。

もみ返しはマッサージの圧が強すぎたり、施術時間が長時間だったりすると生じます。

見分け方
  • 施術箇所に強い痛みが出る
  • 1週間以上痛みが継続する
  • 患部のコリがほぐれない

といった症状がみられる場合、もみ返しの可能性が高いです。

整体・マッサージ編|好転反応の原因・メカニズム

全身の筋肉が凝り固まっている状態になると、血液の流れが悪くなり毒素や老廃物が体内に溜まりやすい体質になっています。

そのような状態でいきなりマッサージを行うと、急激にコリがほぐされ血流が良くなり、老廃物・疲労物質などが血流にのって体を巡ります。

その結果、頭痛や倦怠感、頭がボーッとするなどの「揉み返し症状」が出現するのです。

整体・マッサージ編|好転反応には4つの回復経過がある

整体・マッサージ編|好転反応には4つの回復経過がある

整体・マッサージで起こる好転反応には4つの回復経過があり、それぞれの過程であらわれる症状も異なります。

  • 過敏反応
  • 弛緩反応
  • 排泄反応
  • 回復反応

どのような過程を踏み回復していくのか解説します。

経過1.過敏反応

凝り固まった筋肉が整体やマッサージでほぐされ、血行がよくなることで一時的に施術箇所に血液が集まったり、神経が正常に働いたりすることで起きる反応です。

過敏反応では、かゆみや痛み、炎症といった症状が施術部位にあらわれます。首をコリをほぐす施術を受けた人のなかには、頭痛の症状を訴える方もいます。

痛みや炎症がみられる場合は、湿布を貼ったりアイシングしたりすることで緩和できます。

経過2.弛緩反応

同じ姿勢が続くなどして緊張状態の筋肉がほぐされ血流やリンパの流れが改善されることで、副交感神経が刺激されて起きる反応です。

また、蓄積していた老廃物や毒素を排出する際に、臓器が対応についていけないことでも起こります。

体がリラックス状態に入るため、弛緩反応では眠気やだるさを感じるようになり、人によっては発熱を起こすケースもあります。

眠気やだるさは、睡眠をしっかりとりウォーキングなどの軽い運動を適度に行うことで対策可能です。

経過3.排泄反応

施術によりリンパの流れや血流が改善され、流れがよくなることで体内に滞っていた老廃物や毒素が排出されることで起きる反応です。

排泄反応には2つのパターンがあり、皮膚から老廃物や毒素を排出するパターンと汗や尿、便から排出するパターンがあります。

皮膚から排出されるパターンでは、ニキビや吹き出物、湿疹といった症状があらわれ、汗や尿、便から排出するパターンでは量の増加、色・臭いの変化、下痢といった症状があらわれます。

排泄反応の対策は、とにかく水分補給をすることです。

水分補給量は一日1.5ℓ以上を目指すことで、体内の水分の入れ替わりがスムーズに行われます。

オオクボ

水分補給に換算するのは、アルコールやカフェイン以外の水分です。
利尿作用がある飲料は水分補給にならないので注意しましょう。

経過4.回復反応

施術部位のリンパの流れや血流が改善され、体内に滞っていた老廃物が一度にたくさん流れることで起きる反応です。

回復と名称についていますが不調は起こり、発熱、吐き気、だるさ、腹痛、悪血などの症状があらわれます。

回復反応の対策は、水分補給としっかり体を休めることです。

一日1.5ℓ以上の水分補給に加え、十分な睡眠やリラックスタイムを作るなどして心身ともに休ませることを意識しましょう。

その他好転反応への対処法

好転反応への対処法として、休む、しっかりと睡眠時間をとる、水分補給をすることを伝えましたが、他にもできる対策があります。

  • 湯船にゆったり浸かる
  • 体の内側から温めるものを摂る

湯船にゆったり浸かったり、体の内側から温める飲食物を摂ることで血行を促進できるため、老廃物の排出を促せます。

また、体を温めることで自律神経のバランスも整い、体調が安定しやすくなります。

オオクボ

炎症を起こしている場合は逆効果となりますので、炎症が引いたあとに行ってください。

【よくある質問】化粧品やサプリメントにも好転反応はあるのか

化粧品やサプリメントにも好転反応はあるのか

サプリメントや化粧品には好転反応はありません。

パッケージや説明に好転反応の言葉を使用するのは薬機法違反扱いとなっているほどです。

サプリメントや化粧品を使用しはじめ体調や肌の調子が悪くなったら、好転反応ではなく体質にあっていないことで起こる副作用です。使用を中止して、医師や薬剤師に相談してください。

好転反応かわからない体調不良は医師に相談しよう

今回は、漢方薬と整体・マッサージで起こる好転反応について解説しました。

以下まとめです。

好転反応とは何か
  • 好転反応とは、状態が快方に向かう際に現れる体調の変化
  • 老廃物や毒素が漢方薬や施術により排出が促されることで起こる
  • 漢方薬の場合、副作用と判別するのは難しい
  • 整体やマッサージのもみ返しは好転反応とは別物
  • もみ返しは筋肉繊維の炎症のため治療を要する場合がある
漢方薬による好転反応の症状
  • ニキビが増える
  • 吐き気がする
  • クラクラする
  • 眠気が強く出る
  • 汗や尿の量が増える
  • 下痢を起こす
  • 月経時に血のかたまりが出る
  • 熱が出る など
整体・マッサージによる好転反応の症状
  • 痛み
  • 吐き気
  • だるさ
  • 発熱
  • 眠気 など
整体・マッサージによる好転反応の回復経過
  • 過敏反応:血行がよくなることで一時的に施術箇所に血液が集まったり、神経が正常に働いたりすることで起きる反応
  • 弛緩反応:筋肉がほぐされ血流やリンパの流れが改善されることで、副交感神経が刺激されて起きる反応
  • 排泄反応:リンパの流れや血流が改善され、体内に滞っていた老廃物や毒素が排出されることで起きる反応
  • 回復反応:リンパの流れや血流が改善され、体内に滞っていた老廃物が一度にたくさん流れることで起きる反応

対処を間違えると体調が悪化する恐れがあるので、好転反応かわからない体調不良は、医師に相談して対処してください。

動画でも解説しています!

筆者であるオオクボは、ユーチューブでも美容に関する内容を発信しています。

本記事の内容も動画で解説していますので、ぜひ視聴してみてください。

オオクボ

編集長のオオクボです。知って得するアッと驚くような美容情報をたくさんお届けします。お仕事のご依頼は各SNSにご連絡下さい!

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この記事を書いた人

編集長のオオクボです。知って得するアッと驚くような美容情報をたくさんお届けします。お仕事のご依頼は各SNSにご連絡下さい!

この記事の監修者

オオクボタカユキ
びよう研究所所長
薬剤師・博士(薬学)
メーカーにて医薬品の適正使用に関する業務に従事した後、総合病院にて臨床薬物治療に携わる。大学院博士課程にて多数の研究論文を執筆し博士号を取得。現在は人の幸福感を上げるための美容医療の研究を行っている。
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