シナールはビタミンCがたっぷり入った医薬品で、美容業界ではいまや大人気となっています。
ビタミンCサプリメントのようなものですが、医薬品として登録されているということで非常に注目を集めています。
今回は「シナールは本当に効果があるのか?」という疑問に対して、シナールの秘密をご紹介したいと思います。
僕は以前、病院で薬剤師として働いていたことがありますので、そういった経験を踏まえてシナールがどんな薬なのかご説明していきます!
医薬品シナールの概要
まずはシナールの概要について説明します。
《医薬品シナールとは》
【剤形】錠剤または顆粒
【成分】アスコルビン酸(=ビタミンC) 200mg、パントテン酸カルシウム 3mg
【効能効果】本剤に含まれるビタミン類の需要が増大し,食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患,妊産婦,授乳婦等),炎症後の色素沈着
なお,効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。
【用法用量】
成人には1回1〜3錠または1〜3gを1日1〜3回経口投与する。
【副作用】
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
消化器(頻度不明):胃不快感,悪心・嘔吐,下痢等があらわれることがある。
【薬価】
1錠6円
55円/日 → (3割負担)16円/日
シナールは美味しく服用できる
シナールは、錠剤または顆粒の剤形で処方されます。
この医薬品の特徴の1つとして、味が美味しいという点が挙げられます。
特に錠剤については、まるでレモンタブレットのようです。
普通の医薬品と違い、噛んで服用することができ、美味しく服用できる医薬品です。
シナールの効果を期待できる対象はごくわずか
効能効果について簡単に説明すると、食事でのビタミンC摂取が不十分な方で次のような方に使っていただくことができます。
- 全身に火傷を負っている方
- 妊婦でビタミンCの補給が必要な方
- ニキビ跡の色素沈着に悩まれている方
- 火傷跡の色素沈着に悩まれている方
特に効果が見られない場合は、直ちに使用を中止してください。
効果がないのに長い間ダラダラと使用を続けてはいけません。
シナールで摂取できるビタミンC量は1日最大1800mg
シナールは1回3錠、1日3回が服用の限度です。
この場合のビタミンC量を計算すると、3錠で600mg、1日3回服用すると1800mgのビタミンCを摂取することができます。
つまり、シナールを服用することで摂取できるビタミンC量の最大値は1日あたり1800mgということになります。
シナールの副作用
医薬品は、副作用の調査を行い製造販売の承認を取得するケースが一般的です。
しかし、医薬品シナールは副作用発現頻度の調査が行われていません。
その理由は、シナールが単なるビタミンCだからです。
確かにシナールは医療機関で処方箋をもらって受け取る医薬品です。しかし、シナールそのものは使用成績調査や副作用調査すら行われていないようなレベルの医薬品なのです。
薬価は1錠6円
シナールの薬価は、1錠あたり6円です。
1日あたりの薬価を計算すると約55円です。
さらに、保険を適用することでさらに薬価は下がります。
3割負担の場合、1日あたり16円で処方してもらえる形になります。
シナールの特徴と位置付け
シナールの特徴についてまとめると以下の点がポイントとなります。
- レモンタブレットのように美味しく服用できる
- 使用成績調査や副作用調査が行われていない
- 薬価が安い
これらのことを踏まえ、シナールの医薬品としての位置付けは「味付け程度の医薬品」と言えます。
治療のメインとしてシナールを使用するということもほとんどありません。
もちろん例外として、消耗性疾患や免疫力の低下が著しい患者さんで、ビタミンCの補給が必要な場合には、シナールをメインの薬剤として使うことも考えられます。
しかし、基本的にシナールが治療のメインになることは珍しいケースと言えます。
シナールはそんなに神格化されるような医薬品ではないということです。
一般医薬品としてのシナール
シナールには、一般用医薬品として販売されているものもあります。
塩野義製薬では、「シナールEX Pro」という商品を販売しています。
シナールブランドの商品ということで、キラキラとした印象のイメージ画像が使われています。
おそらくシナールに対して多くの方が抱いているイメージは、こういった「美白ケアのシナール」「輝く肌を手に入れるためのシナール」というような綺麗でキラキラとしたイメージかと思います。
医療用医薬品としてのシナールは、箸にも棒にもかからないような医薬品ですが、それを一般用医薬品のブランドとして作っていくとこのようなイメージになるということです。
医薬品としての成分やその根本の部分を見ていくと、シナールはイメージとは異なるものだということを頭の片隅に置いておくことが重要です。
一般医薬品①シナールEX Pro
具体的に製品の中身について見ていきましょう。
先ほどもご紹介した塩野義製薬の「シナールEX Pro」という製品が有名です。
この製品を一日に服用できる最大量まで摂取すると、アスコルビン酸が2000mg入っていますので、医薬品として処方されるシナールよりも200mg多くなります。
それだけではなく、この製品には次のような成分が入っています。
- ビタミンB2:12mg
- ビタミンE:30mg
- パントテン酸:30mg
ただし、製品代金を日割りしてみると、1日当たり148円必要になります。
「本当にこの値段を払ってシナールを摂取していく必要があるのか」一人一人考えていくことが重要になります。
一般医薬品②シナールLホワイトエクシア
次にシナールLホワイトエクシアという製品についてご紹介します。こちらも塩野義製薬から販売されている製品です。
こちらの製品イメージもピカピカで高級感のあるサプリメントという印象を受けます。
しかし、中身を見てみると、ビタミンとして1日量1200mgで、さらにLシステインが240mg入っているという製品になっています。
こちらの製品を毎日最大量服用する場合、1日当たり143円必要になります。
「いくらLシステインが240mg入っているからといってビタミンC1200mgに対して1日143円のコストをかけていく意味がどれぐらいあるんだろうか?」と個人的に疑問に思います。
シナールを服用する際の注意点
シナール使用時に考えて使っていくべき点はいくつかあります。
- シナールに対して劇的な効果を期待してはいけない
- 費用対効果を考える
それぞれの注意点について、詳しく説明していきます。
シナールに劇的な効果を期待しない
一般医薬品としてのシナールのブランディングを見てみると、劇的に肌が綺麗になるようなイメージを持たれがちです。
しかし、シナールは医薬品ではあるものの、サプリメント程度の効果しかないものだと考えておいた方が良いです。
実際に副作用の調査も行ってない医薬品です。医薬品だからと言って、劇的な変化が見られるようものではありません。
ただし、サプリメントと同じように個人差はあります。
シナールを飲んで調子が良くなったり、肌の調子が良くなったと感じたりするのであれば、続ける価値はあります。
しかし、シナールを使ったからと言ってニキビが治ったり、周りに積極的に勧めたりするような医薬品ではありません。
そのようなことを発信している人がいたらそれは誇大広告の可能性がありますので、注意してください。
費用対効果を考える
気を付けるべき2つ目のポイントは、費用の面です。
シナールの薬価は1錠6円です。
病院で処方されるシナールは、そこに保険が適用され、多くの方は3割負担になります。
自由診療でシナールを処方するクリニックも多くありますが、そういった場合は念のために価格をチェックすることをおすすめします。
もともと1錠6円の医薬品にも関わらず、30日分処方もらった場合に費用がすごく高いと感じたらそれは変なお金が乗っている可能性があります。そのようなことを防ぐためにも、信頼できるクリニックで処方してもらいましょう。
一般医薬品のシナールに関しても、もともとの薬価を知った上で、その価格に納得して使うことが大切です。
シナール自体は1錠6円の医薬品ですので、薬価を考えて受け取るということが重要になります。
【まとめ】ビタミンの吸収できる量には限りがある!納得してシナールを使うことが大切
今回は、ビタミンがたっぷりと入った美容で使われる医薬品のシナールについて紹介しました。
そもそもビタミンは、内服して摂取したとしても、吸収できる量に限りがあります。
そのため、ビタミンを摂取しても、そのほとんどは尿として排泄されてしまいます。
シナールを倍量飲めば、肌がそれだけ綺麗になるかと言うと、そういうことでもありません。
こういった知識をしっかりと知った上で、シナールを処方してもうことが大切です。
また、一般用医薬品としてのシナールも価格に納得して使うことが重要になります。
シナールの秘密についてYouTubeで見る
今回ご紹介した内容は、以下のYouTubeで見ることができます。
動画でご覧になりたい方は、ぜひ見てみてください。