ニキビやアトピー、乾燥肌などで皮膚科に受診すると必ずといってもいいほど処方されるのが「ヒルドイド」です。
このヒルドイドは、
- 皮膚科医がすすめる最強の保湿剤
- 皮膚科医がハンドクリームとして使用している
- 皮膚科医の美肌を作る秘訣
などとして紹介されているケースもあり、「ヒルドイドを処方してほしい」という患者さんがいるほどの人気です。
ヒルドイドは多くの人に使用されており安全性の高い医薬品であることは間違いありませんが、正しい使用方法や顔への使用方法などには注意も必要です。
そこでこの記事では、ヒルドイドの正しい使用方法やヒルドイドに関連する情報を薬剤師が詳しく解説します。
ヒルドイドを使いたい人は最後までみてね!
ヒルドイドは処方薬です。
用法用量および医師の指示を守って正しく使用してください。
【使用方法】ヒルドイドの塗り方
ヒルドイドは顔にも塗れるのでしょうか?
この質問に対する結論として、ヒルドイドは顔にも塗ることができます。
ヒルドイドは保湿効果が高いため、皮膚の乾燥を防ぐことができます。
しかし、正しく使用しないとベタベタになってしまったり、他の美容液のような使用方法ができなかったりしますので、ヒルドイドの正しい塗り方を知ってことが重要です。
用法用量を守って正しく使用しましょう!!
【ヒルドイドの使用量】1FTU(0.5g)で手のひら2枚分
ヒルドイドを使用する際の適切な量について考えるとき、1FTU(Finger Tip Unit)の概念が重要です。
FTUは指先から第一関節までの量で、ヒルドイドの場合は約0.5gです。
1FTUで手のひら2枚分の面積をカバーできるとされています。
したがって、顔全体や腕などの広い範囲を塗る際には、それに応じた量を使う必要があります。この指標を意識することで、過剰に薬を使用することなく、また十分な量を確保することができます。
適切な量を使うことで、ヒルドイドの効果を最大限に引き出すことができます。また、余分な薬を使用することなく経済的にも助かります。特に敏感な顔の部分に使用する場合は、このFTUの指標を意識して、適量を守るようにしましょう。
ヒルドイドを塗る順番
- 化粧水
- 美容液
- ヒルドイド(乳液)
- クリーム→基本不要
ヒルドイドは油分が多い(後ほど詳しく)保湿剤であるため、化粧水や美容液より後に塗るのがおすすめです。
乾燥肌やニキビ肌など、何らかの治療中の方は治療を優先してください。
刺激の強い化粧水や美容液などの使用については必ず専門医と相談しましょう。
ヒルドイドとニキビ治療薬(ベピオ・ディフェリン)の塗る順番
ニキビ治療薬ディフェリンを使用中の方は、ヒルドイドの後にディフェリンです。
ベピオゲルも同様です。
必ず保湿をしてからディフェリンやベピオを使用するようにしましょう。
ディフェリンやベピオの前にヒルドイドでしっかり保湿をすることで、肌へのダメージを最小限にしながらニキビの治療を行うことができます。
ヒルドイドの効能効果
血栓性静脈炎(痔核を含む)、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)、凍瘡、肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防、進行性指掌角皮症、皮脂欠乏症、外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎、筋性斜頸(乳児期)
ヒルドイド添付文書
添付文書には「保湿」って書いてあるわけじゃないんだね!
ヒルドイドの用法用量
〈クリーム、ソフト軟膏〉
通常、1日1~数回適量を患部に塗擦又はガーゼ等にのばして貼付する。〈ローション、フォーム〉
ヒルドイド添付文書
通常、1日1~数回適量を患部に塗布する。
何回塗っても悪くないんだけど、、、
塗りすぎてもベトベトになるだけだから多く塗ればよいってことでもありません。
【ヘパリン類似物質】ヒルドイドの成分詳細
ヒルドイドの主成分はへパリン類似物質と呼ばれるものです。
へパリン類似物質は、自然に人の肝臓で作られる「ヘパリン」という糖類に似た特性を持つものです。
へパリン類似物質の優れたポイントは「保湿力」「血行促進効果」「炎症への対応力」の三つです。
これらの特性により、赤ちゃんから高齢者まで、体のどの部位にでも安心して利用できます。
もともと人の体内で作られる物質だから安全に使用できるよ
この成分は、肌の深い部分、特に角質層にまで浸透できるため、肌の乾燥や赤み、肌トラブルの軽減が期待できます。
通常、肌の角質層は外部からの刺激から肌を守るバリアとしての働きをしていますが、環境の変化や紫外線の影響でダメージを受けやすくなります。
このバリア機能が低下すると、肌の保湿力も失われてしまうのです。
ヘパリン擬似成分を取り入れることで、この角質層のバリア機能を強化し、肌の潤いをキープするサポートをしてくれます。
アトピーなどの敏感肌にも使用しやすいのがヒルドイド(ヘパリン類似物質)です。
ヒルドイドローションとヒルドイドクリームの違い
ヒルドイドには様々な剤形があります。
それぞれの特性を知ることで、自分の肌の状態に合わせた選択ができます。
ヒルドイドローション: 水分量が多く、サラッとした使用感です。肌の乾燥がそれほど酷くない場合や、夏場の使用に向いています。
ヒルドイドクリーム: 濃厚なテクスチャーで、深刻な乾燥に対するケアや冬場の使用に最適です。
ヒルドイドの製剤一覧
ヒルドイドにはローションやクリームの他に様々な剤形があります。
- ヒルドイドソフト軟膏
- ヒルドイドクリーム
- ヒルドイドローション
- ヒルドイドフォーム
それぞれに剤形には「25g・50g」、「ボトル・チューブ」など、色々なタイプが存在しますので、用途にあったものを処方する(処方してもらう)ことが重要です。
薬局によっては一部剤形(容器)しか取り扱っていないということもあります。
使いやすい剤形がある時には、処方医や薬剤師に相談してみましょう。
ヒルドイド各製剤の基材の違い
ヒルドイドは剤形によって添加物や「基材(きざい)」が異なります。
基材は軟膏やクリーム剤のベースとなる物質であり、この基材によって軟膏の「のび」や「使用感」などが代わります。
油中水型(W/O)の乳剤性基剤
- ヒルドイドソフト軟膏
ヒルドイドソフト軟膏は、油中水型(W/O)の乳剤性基剤としてしられています。
油の中に水が浮いているようなイメージの基材になりますので、しっとり系の使い心地が期待できます。
ちょっと軟膏っぽいというか、あまり伸びずにこってりしたような使用感です。ニオイもちょっと軟膏っぽいニオイがする気がします。
僕はけっこう好きです。
W/Oは(ダブルパーオー)と読みます。
水中油型(O/W)の乳剤性基剤
- ヒルドイドクリーム
- ヒルドイドローション
ヒルドイドローションとクリームはO/W型の基材が使用されています。
しっとりとしていてノビが良い感じの使い心地です。
ヒルドイドローションはまさに乳液というイメージの使用感です。
ヒルドイドクリームも、とろっとしたクリーム剤になりますので、ほんの少し指先にとるだけで十分塗り拡げることができます。
O/Wは(オーパーダブル)と読みます。
ヒルドイドフォーム
ヒルドイドフォームは油分を含まないためサラサラの使用感です。
さらにフォーム剤であり、ポンプ型の容器が採用されているので、非常に使いやすいというのがポイントです。
アルコール消毒で手が荒れてしまうという方は、アルコール消毒ポンプの隣にヒルドイドフォームを設置しておいても良いでしょう。
ヒルドイドは市販で買える?
ヒルドイドは医師の処方箋が必要な医薬品ですので、市販薬として「ヒルドイドそのもの」を購入することはできません。
しかし、ヒルドイドと同成分である「ヘパリン類似物質」を含む製品は市販されています。
【第2類医薬品】ヒルマイド
アマゾンで「ヒルマイド」という製品が購入できます。
ドラッグストアなどでも購入可能です。
こちらは第2類医薬品です。
消毒薬に強い製薬メーカーである健栄製薬が販売しているというのも安心しておすすめできるポイントです。
見た目もほぼヒルドイドです。
ヒルドイドは乳液や化粧水の代わりになる?
ヒルドイドの主な目的は、皮膚の乾燥を防ぐことです。
ヒルドイド自体が高保湿成分を多く含むため、肌の保湿ケアとしては十分な効果を期待することができます。
しかし、化粧水や乳液に含まれるような美容成分や、肌を引き締める成分は含まれていないため、美容効果を求める場合は併用がおすすめです。
また、ヒルドイドを基本のスキンケアとして取り入れる場合、他のスキンケア製品との相性や順番に注意が必要です。