突然ですが、ハイフによる健康被害が増加していることをご存知でしょうか?
ネットニュースやテレビのニュースでも、たびたび話題になっています。
結論からいいますと、ハイフによる健康被害はエステサロンで起こっていることが多いです。
その理由を、この記事で解説します。
エステハイフの危険性
消費者事故調の報告書によると、ハイフを使った事故は2015年に初めて報告され、昨年までに135件発生。全治1か月以上のやけどや神経のマヒ、視力障害などの被害があり、特に21年以降は2年間で74件と急増しています。
事故の部位は顔が70%を占め、発生場所は美容クリニックが23%だった一方、エステサロンは71%にものぼるとのことです。
報告書によれば、出力や照射方法の知識が不十分なまま安全性の低い機器を使うことが被害の要因だとしたうえで、
医師ではないエステティシャンの施術は医師法に抵触するおそれがあると指摘しています。
実は、ハイフには医療用とエステ用があり、医療機関や美容クリニックで使用できるマシンと、エステサロンで使用するマシンは異なります。一般的に、医療用の方が出力が強く、より皮膚の深い部分にまでアプローチできます。ただし、使い方を間違えると体にもダメージが残りやすいというデメリットがあります。
なぜエステのほうが低出力なのに事故が多いのか
今回の報告をみてみると、エステ用のハイフは出力が抑えられているにも関わらず、事故件数はエステのほうが多いです。
その原因は、医療ハイフを無許可で使用している点にあります。医師でも慎重に取り扱わなければならない医療用ハイフを、専門技術や知識のない施術者が扱い、事故が起きているのです。
エステサロンの中には「医療用と変わらないパワー」「医療用と同じ効果」と謳っているところを見かけますが、医療用ハイフを使用している可能性が高いです。よって、このようなクリニックで受けるのは危険といえるでしょう。
報告事例あり:医療ハイフとエステハイフにパワーの差がない
消費者安全調査委員会の報告書によると、下記のような内容が書かれていました。
エステサロンなどで使⽤されているHIFU機器の照射実験を⾏った結果、美容クリニックで使⽤されている機器と照射能⼒の違いはみられなかった。
また、ファントムへの照射から、照射出⼒の⾼い機器がエステサロンなどで使われている実態が認められた。
医師免許を持っていないスタッフが高出力の医療機器を扱うのは、当たり前に危険が伴いますよね。
セルフハイフも危険!
エステサロンで受けられるセルフハイフも危険ですので、施術を受けないほうが安心です。そもそも、現在はエステでのセルフ自体禁止するよう呼びかけられています。
それほどまでにハイフの取扱いは危険であり、医師免許をもつ者にしか扱えない医療機器ということです。
いまだにエステサロンでハイフを取扱い、顧客自身で施術を行わせるところがあるのは、非常に危険であるといえます。
医療ハイフとエステハイフの違い
医療ハイフとエステハイフには、2つの大きな違いがあります。
【違い1】トラブル出現時の対応
「トラブル出現時の対応」です。
医療機関であれば、トラブルがあっても症状にあった薬や手術などで適切に対応できます。よって、許容できる副作用として大きなトラブルにはなりにくい傾向にあります。
しかし、エステサロンではそこまでできません。エステサロンで医療行為はできないため、トラブルが起これば医療機関に受診し、治療を受けなければなりません。
ハイフは知識のない一般人が取り扱うのは危険な機器であり、トラブルが起こること前提で受けるような施術です。
料金は高いかもしれませんが、ハイフを受けるのであれば医療機関である美容クリニックや皮膚科で施術を受けましょう。
【違い2】施術者の人体構造の理解度
エステサロンの施術者は、医師ほど本格的に人体構造の知識を学びません。
つまり、正確な人体構造を把握していない人が医療レベルのハイパワーでハイフを照射すれば、事故が起こるのも必然です。
ハイフは皮下組織や筋膜に熱作用を加えるため、医師でも神経が走っている目や口周辺は、とても慎重になって施術をします。知識が浅い人ならなおさらでしょう。
出力が弱いハイフでも、何度も照射すればダメージを与え大事故になる可能性はあるため、より慎重に照射しならなければなりません。
美容クリニックであっても、やけどなどのリスクはつきもの。
リスクをなるべく抑え安心して施術を受けるためにも、きちんと人体構造を理解した医師に施術を行ってもらいましょう。
ハイフ7つのリスク
ハイフ施術のリスクは、大きく分けて7つあります。
- 施術中の痛み
- ダウンタイム
- 筋肉痛
- 肌の乾燥
- やけど・水ぶくれ
- 神経損傷
- 頬のこけにより老けて見える
一つずつ詳しく解説します。
施術中の痛み
ハイフは熱ダメージを筋膜や皮膚組織に与えるため、熱さを感じる痛み、チクチクした痛み、骨に響くような痛みを施術中に伴います。
照射パワーにもよりますが、パワーが強いほど熱ダメージも大きくなるため、たるみなどの症状が強い方は痛みを感じやすいです。また、ほお骨やおでこを施術する方は、どうしても骨に近いところを照射するため、骨に響くような痛みを感じます。
痛みを感じやすい施術であることから、施術中は麻酔を塗布して施術を行うのが一般的です。
とはいえ、痛みの感じ方には個人差があるため、麻酔をかけても多少の痛みを感じる方もいます。
施術中に耐え難い痛みを感じる場合は、無理せず施術担当の医師に伝えましょう。
ダウンタイム
ハイフ施術は皮膚組織や筋膜に熱を与え、たるみを引き上げるよう働きかけるため、ダウンタイムがあります。
一般的にハイフ施術のダウンタイムは少ないですが、肌質や体質によっては、赤みや腫れ、むくみなどの症状がみられます。とくに脂肪が多い箇所に照射すると、腫れやむくみなどが生じやすいです。
症状には個人差があるため、軽い症状でおさまる場合もあれば、重ための症状を引き起こすこともあります。
ただ、基本的には1週間程度で落ち着くため、過度に心配しなくてもいいでしょう。
1週間以上経過してもダウンタイム症状がみられる場合は、施術を受けたクリニックに相談し適切な処置を受けてください。
筋肉痛
筋膜に作用することから、筋肉痛のような痛みを施術後に感じる方もいます。痛みがおさまるまでに、1週間から1か月程度かかる方がおり、個人差があります。
ダウンタイムの症状が1週間以上続く場合は要相談とお伝えしましたが、筋肉痛に関しては1か月かけて徐々に痛みが消えていくため、改善されるまで様子をみて問題ありません。
ただし、我慢できないほどの痛みを感じる場合は、医師に相談してください。
肌の乾燥
ハイフ施術を受けたあとは、照射の熱により水分が逃げるため、一時的に肌の水分量が低下し乾燥しやすくなっています。
肌が乾燥するとバリア機能が低下し、紫外線や摩擦などのダメージで、色素沈着や乾燥の悪化を起こしやすくします。また、肌のハリが低下することで毛穴が目立ったり、たるみを起こしたりする要因にもなるため、いつもより入念に保湿をしましょう。
保湿は、コットンでたっぷりと化粧水をとり、やさしく抑えながら肌が冷たくなるまで塗ります。
コットンのパッティングにより、肌の保水量が上がることは研究でも立証されているので、ぜひ試してみてください。
バリア機能の低下により、化粧品の刺激にも弱くなっています。
保湿する際は、ビタミンCやレチノールなどの刺激を受けやすい成分は避け、低刺激の化粧品を使用しましょう。
やけど・水ぶくれ
熱エネルギーを使用した施術のため、やけどや水ぶくれを起こすリスクがあります。
原因は、患者さんに合っていない出力レベルの設定です。レベルを間違え肌に合っていない高さを設定すると、やけどや水ぶくれを起こし、色素沈着を起こす恐れがあります。
出力設定の見極めは医師の技量にかかっているので、症例をなるべくたくさんチェックし、信頼できる医師を見つけることが大切です。
神経損傷
まれではありますが、神経損傷を引き起こすリスクがあります。
照射する箇所や出力レベルを間違えると、神経を傷つけ、顔面やボディの痺れやマヒ、視力低下や失明などが現れるケースがあります。
神経損傷は、主に医師免許を持たない施術者や、知識・技量が足りていない医師が原因で起こるため、クリニックは慎重に選ばなければなりません。
口コミサイトやGoogleマップの口コミ、公式サイトの症例などをチェックして判断するといいでしょう。
ほおがコケて老けて見える
脂肪が少ない方がハイフを受けると、施術前よりほおがコケて老けた印象になることがあります。
ハイフは脂肪が多い方には向いていますが、脂肪があまりない方には向いていない施術だからです。
ハイフは引き締める効果が期待できるのと同時に、脂肪を減らす効果があります。その効果は、医療ダイエットとして扱われるレベルです。
そのため、もともとほおに皮下脂肪がない方がハイフ施術を受けると、さらに脂肪が減ってほおがこけてしまいます。
ハイフは脂肪細胞ごと減らすため、一度減った脂肪細胞を増やすには脂肪注入の施術が必要です。
ハイフ施術をやめても元には戻らないため、脂肪が少ない方は注意しましょう。
ハイフがガンのリスクを高めるのは本当か
ハイフ施術を受けることにより、将来ガンになりやすくなることに、科学的根拠はありません。
もともとハイフは、脳腫瘍の超音波治療として、1950年代にアメリカで臨床応用されていました。加えて、前立腺ガンの治療にも用いられています。
よって、ハイフによってガンになることは考えられにくく、また科学的根拠もありません。
副作用があることを理解をした上で施術を受ける必要はあります。
しかし、発ガン性については、極度に不安になったり考えたりしなくてもいいでしょう。
ハイフが向かない人(受けないほうがいい人)
ハイフ施術を受けないほうがいい、向かない人の特徴は以下の通りです。
- 疾患による炎症がある方
- 日焼けによる炎症がある方
- 顔の皮下脂肪が少ない方
- 顔のたるみが強すぎる方
- 金の糸や埋め込み式の施術を受けている方
- 20代以下の方
アトピーやケロイド、ヘルペスなどの肌の炎症や、日焼けにより肌が炎症を起こしている方は、ハイフ施術をおすすめしません。色素沈着や症状の悪化のリスクがあります。
顔の皮下脂肪が少ない方は、ほおがコケる可能性があるためおすすめしません。
クリニックによっては、ほおがコケないよう気をつけながら施術をするところもありますが、非常に高いスキルが必要になるためリスクが高いです。
顔のたるみが強すぎて皮膚の施術も必要な方は、ハイフ施術を受けられないケースがあります。
このような場合は、フェイスリフトを推奨されるでしょう。
金の糸や糸リフトなどの埋め込みを行う施術を受けている方は、やけどのリスクが上がるため施術を受けられません。
20代以下の方にかんしては、そもそもしわやたるみがほとんどないため効果の実感がなく、わざわざ受ける必要はないでしょう。
そもそもハイフとは?
皮膚表面から超音波を使って熱エネルギーを加えることで、皮膚の奥の層にアプローチして、組織の引き締めや引き上げ効果を発揮するという美容施術です。
ダウンタイムがほとんどなく、切らずにたるみを解消できる施術方法として人気があります。
今では身近な美容技術になっているハイフなのですが、実は美容だけではなくがん治療などにも使用される医療技術のひとつです。
ハイフはクリニックで行いましょう
今回の報道だけを見て「ハイフが危険」と勘違いしてしまう方も多いかもしれませんが、使い方を間違えなければ、ハイフという技術は非常に優れたテクノロジーのひとつであるともいえます。つまりは、ハイフは「誰が」「誰に」「どう使うか」が重要な施術ということです。
ハイフのリスクを以下にまとめます。
- 施術中の痛み
- ダウンタイム
- 筋肉痛
- 肌の乾燥
- やけど・水ぶくれ
- 神経損傷
- 頬のこけにより老けて見える
エステサロンの施術者は、医療行為ができない一般人です。
ハイフは低出力でも高出力でも使い方を間違えれば高いリスクを負います。
専門の知識を学んだ医師のもとで施術を受けることを強くおすすめします。
動画でも解説しています!
筆者であるオオクボは、ユーチューブでも美容に関する内容を発信しています。
本記事の内容も動画で解説していますので、ぜひ視聴してみてください。