「便秘でお腹が苦しい」
「スッキリ感がなくてモヤモヤする」
など、便秘でお悩みの方多いのではないでしょうか。
便秘状態になると体内に毒素が溜まるため、ニキビや肌荒れ、口臭などのトラブルの原因に。
そこで今回は、便秘におすすめの市販の便秘薬、選び方について解説します。
便秘のタイプは大きく分けて2つある
一口に便秘といっても種類があるのをご存知でしょうか?
便秘症の原因はストレスや病気などさまざまな原因があります。
そして、それらすべて含めて「器質性便秘」と「機能性便秘」に分けることができます。
機能性便秘
機能性便秘は、大腸には異常がなく生活習慣や食生活などにより腸の動きが低下して便秘になっているタイプ。
具体的にいうと次のような原因があります。
- 食物繊維の摂取不足
- 水分不足
- 運動不足
- 生活習慣の乱れ
- ストレス
- 薬の副作用
- 症状性便秘
- 腹筋の筋力低下
- 機能性便排出障害(肛門が締まってしまう病気)
器質性便秘
器質性便秘は、消化器官に何かしらの異常があるために便秘が起きているタイプ。
特に大腸の疾患により腸の形が変形し、スムーズな排便ができなくなっているケースが多いです。
器質性便秘の原因となる疾患には次のようなものが挙げられます。
- 大腸がん
- クローン病
- 大腸ポリープ
- 巨大結腸症
便秘薬は改善の仕組みで選ぶべき
便秘を治療するための薬のことを「下剤」といい、いくつか種類があります。
大きく分けると「刺激性便秘薬」と「非刺激性便秘薬」があります。
これらはさらに、以下の3タイプに分けることができます。
- 便を柔らかくして便通を良くする薬
- 便の量をカサ増しして便意を起こさせる薬
- 腸の動きを良くして便通を改善する薬
これら薬剤は併用することも可能です。
よくある便秘のパターンは、以下の図のようなイメージです。
上記のイメージでいくと、便秘の改善には”便を柔らかくしながら腸の動きの機能を高めていく”ようなアプローチが有効的といえます。
ただし、便秘のタイプによって効果的なアプローチ方法は異なります。
よってどのような便秘薬が効果的なのかを見極めていく必要があるでしょう。
自分ではわからないという方は、胃腸外科や内科に受診に相談してみるとよいです。
便を柔らかくするタイプ
便を柔らかくするタイプの薬剤では「酸化マグネシウム」や「ジオクチルソジウムスルホサクシネート」などの成分が使用されています。
これらの成分には、腸に水分を集めてくれる作用があり、便を柔らかくして便通を促す効果が期待できます。
便の量を増やすタイプ
オオバコ科の「プランタゴ・オバタ」と呼ばれる植物由来の食物繊維などを使用した便秘薬です。
便意は、便の量が少なすぎると感じられません。
よって、食物繊維でカサ増しを行い便意を起こさせる必要があります。
腸の動きを活性化するタイプ
腸の動きを活性化するタイプでは、ビサコジル、 センナ、センノシド、 ピコスルファートナトリウム、 ダイオウ(大黄)といった成分などが使用されています。
直接腸に作用して便通を促します。
腹痛を起こしやすい傾向にあるので、使用タイミングには要注意です。
市販で購入できる便秘薬
市販で購入できる便秘薬をいくつか紹介します。
今回紹介しているのは「刺激性の腸の動きを活性化するタイプ」と「非刺激性の便を柔らかくするタイプ」の2種類です。
腸の動きを活性化するタイプ:コーラック(慢性便秘に)
CMでもおなじみのコーラックの主成分は「ビサコジル」です。
体調の神経を刺激することでぜん動運動を促し、排便をサポートします。
上記の通り、腸を刺激する便秘薬ですので、胃で溶けると効果を得られません。
そこで、腸に届けて効果を発揮する工夫として、錠剤の作りを5層構造にしています。
効果が現れはじめるのは、およそ服用してから6〜11時間です。
Amazonだと、コーラックの慢性便秘に効くタイプ120錠で1,346円価格から購入可能です。
使用方法には注意
慢性便秘にも効果が期待できますが、使用方法を気をつけなければなりません。
コーラックには依存性があるため、毎日のように連用すると効果が薄れます。
ですので、どうしても出ないときにコーラックを使用するほうがよいでしょう。
腸の動きを活性化するタイプ:タケダ漢方便秘薬
タケダ漢方薬には「大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)」が配合されています。
大黄という生薬は、腸管運動を高める作用により排便を促す効果が期待できます。
就寝前に飲むと、翌朝自然に近いお通じにしてくれる漢方薬です。
ただし、効きはじめには個人差があります。
Amazonだと、タケダ漢方便秘薬は65錠で2,660円から購入可能です。
使用方法・長期服用に注意が必要
タケダ漢方薬に配合されている大黄は、副作用に気をつけなければならない生薬です。
タケダ漢方薬は4錠飲んでも1,067mgなので、含有量は少量ではあります。
ただ、長期服用により、大腸の粘膜が黒く変色する「大腸メラノーシス」や便秘悪化を起こす恐れがあります。
また、大黄は効果が効きすぎると腹痛、下痢、食欲不振などがあらわれる可能性があります。
その他の漢方薬
タケダ漢方便秘薬以外にも、便秘に効果的な漢方薬はいくつかあります。
ただ、漢方薬は体質によっておすすめできるものが違うので、一概に「これがいい」とはいえません。
クラシエさんのサイトで漢方の体質診断ができるので、利用してみるのもおすすめです。
こんな漢方薬が使用されます
「このようなものがありますよ」という軽い紹介として、主に使用される漢方薬をご紹介しますね。
調胃承気湯(ちょういじょうきとう) | 腹部膨満感やお腹の張り、腹痛がある便秘の方に。 |
大承気湯(だいじょうきとう) | お腹の張りがある肥満体質の便秘がある方に。慢性便秘や急性便秘にも使用される場合がある。 |
桃核承気湯(とうかくじょうきとう) | のぼせがちでイライラしやすく便秘がちな方に。 |
大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう) | 月経困難などの月経異常があり便秘がちな方に。 |
三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう) | みぞおちのつかえや赤ら顔やのぼせ、便秘がある方に。 |
大柴胡湯(だいさいことう) | 上腹部が張って苦しく胸脇苦満が認められる便秘の方に。 |
麻子仁丸(ましにんがん) | 体の潤いが不足しがちで便秘がある方に。高齢者によく使用されます。 |
潤腸湯(じゅんちょうとう) | 便の水分が減ってコロコロした便が出る方に。高齢者によく使用されます。 |
桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう) | 普段から胃腸が弱い冷え性の下痢や便秘がある方に。 |
上記の漢方薬には、さらに細かい向いている体質があります。
自己判断ではなく必ず医師や薬剤師、漢方に詳しい登録販売員に相談してくださいね!
体質に合わないと副作用を起こしやすかったり、効果が出なかったりします。
便を柔らかくするタイプ:コーラックファースト
コーラックファーストには、「ジオクチルソジウムスルホサクシネート」が配合されています。
「ジオクチルソジウムスルホサクシネート」は、便を柔らかくし膨らませる成分です。
先ほど紹介したコーラックと同様、5層構造で錠剤が腸に届くよう工夫されています。
効果が現れはじめるのは、およそ服用してから6〜11時間です。
Amazonだと、コーラックファーストは20錠で449円から購入可能できます。
まず1錠からはじめ、効かなければ最大4錠まで徐々に量を増やして自分にあった量を見つけてください。
便を柔らかくするタイプ:酸化マグネシウム E 便秘薬
酸化マグネシウム E 便秘薬は、名前の通り酸化マグネシウムが主成分です。
便に水分を浸透させて、硬くなった便を柔らかくして自然なお通じを目指します。
コーラックやタケダ漢方便秘薬のような依存性はありません。
Amazonだと、60錠で671円から購入可能です。
1錠でも効果を感じる方もいるので、まずは1錠から飲みはじめてみるとよいでしょう。
初めて使用するなら非刺激性タイプからがおすすめ
初めて便秘薬を使用するなら、非刺激性タイプから試してみることをおすすめします。
もし、非刺激性タイプで便通がよくなった場合、腸の動きには問題ないことがわかるからです。
つまり、食生活や生活習慣を見直すことで改善する可能性が十分にあります。
便秘薬を飲む際の注意点
いつ便意がくるかわからないため、便秘薬は次の日に予定がない日をおすすめします。
服用した次の日に大事な予定を入れていると、腹痛や突然の便意に襲われるかもしれません。
飲むタイミングには十分に気をつけましょう。
便秘薬以外にできる対策方法
便秘薬の服用以外でご自身にできる対策方法を5つ紹介します。
- ストレスをためないようにする
- 乳製品などで腸内環境を整える
- 食物繊維と水分をしっかりと摂取する
- 食事のリズムを整える
- 適度な運動をする
すぐに実践できるものもあるので、ぜひ試してみてください。
ストレスをためないようにする
ストレスは、腸の機能を低下させ便秘を起こさせる要因のひとつです。
「好きな音楽を聴く」「ゲームする」など、好きな時間を作ってストレスを発散させましょう。
趣味がないという方は、朝の散歩をはじめてみるとリフレッシュできるかもしれません。
腸内環境を整える
便秘の予防・改善には、腸内環境が重要です。
発酵食品や食物繊維は腸内にいる乳酸菌(善玉菌)のエサになり、腸内環境が整います。
1日1食でもよいので摂取しましょう。
- ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品
- ごぼうや藻類といった食物繊維
- オリゴ糖
食物繊維と水分をしっかりと摂取する
不溶性食物繊維は便の量を増やし、水溶性食物繊維は便に水分を与えて柔らかくする働きがあります。
また、食物繊維を摂取しても水分摂取量が少ないと便が硬くなります
便秘対策のためにも、こまめな水分補給を意識しましょう。
- 果物類
- 穀物類
- いも類
- 豆類
- 寒天
- ひじき
食事のリズムを整える
朝昼晩3食しっかりと食べることは便秘予防・改善に欠かせません。
特に、朝の食事を抜いてしまうと胃腸の働きが低下し、便秘を引き起こしやすくなります。
なるべく一定の時間に食事をして、体内のリズムを整えましょう。
適度な運動をする
体力・筋力の低下が原因で起こる便秘があります。
下半身を動かす軽度〜中程度の運動は腸に刺激を与え、また排便に関わる腹筋の低下を予防・改善します。
毎日5分以内を継続するのもいいですし、週に3回と決めて行うのもよいでしょう。
便秘が慢性化している方は医療機関への受診を
便秘が慢性化している方は、医療機関への受診を推奨します。
慢性化している場合「甲状腺機能低下症」「大腸がん」などの大きな病気が潜んでいる可能性があるためです。
また、慢性化した便秘を放置すると「腸管穿孔(腸に穴があく病気)」や「腸閉塞」を起こす恐れもあります。
どちらも命に関わる恐れのある病気なので、早めの受診が大切です。
検査方法
検査方法は5種類あります。
・血液検査
甲状腺機能低下症といったホルモン分泌異常の疾患、大腸がんなどによる貧血などの有無を調べるために行います。
・腹部X線検査・CT検査
便の状態を確認するために行います。
たまっている便をさらに調べるためにCT検査を行う場合もあります。
・大腸内視鏡検査
ポリープや大腸がん、閉塞などの異常を診断するのに有用です。
・注腸造影検査
腸に造影剤を入れて行う検査です。
大腸内視鏡検査ほどではありませんが、ポリープや大腸がん、閉塞など腸が狭くなっている部分の有無を調べられます。
・排便造影検査
直腸の便を出せず排便機能の異常が疑われるときに行われる検査です。
造影剤を直腸内に注入し、便座に座って排出する様子をX線で撮影し、原因を探ります。
最後に
今回は、便秘で悩まれている方に向けて、おすすめの下剤や選び方、便秘の種類や原因を解説しました。
効果のある下剤タイプは、便秘のタイプによって異なります。
ドラッグストアであれば登録販売員に相談してみるとよいでしょう。
また、慢性化した便秘は大きな病気が隠れているかもしれません。
慢性的に便秘が気になっている方は、一度医療機関で診てもらいましょう。
もしよろしければ、筆者である私オオクボが動画でも解説していますので、ぜひ興味のある方は覗いてみてください。