【薬剤師徹底解説】ニキビ市販薬と医療用医薬品の違いとは?正しいニキビ薬の選び方【塗り薬】

ニキビ治療に関して「市販薬と医療用医薬品(病院でもらう薬)どっちがいいの?」とお悩みではないでしょうか。

結論からいうと、皮膚科や美容皮膚科などのクリニックで診断してもらい、適切な治療を行うほうがいいです。

しかし、クリニックへの受診は手間がかかって大変ですので「まずは市販薬でなんとかならないかな」と思いますよね。

そこで今回は、市販薬と医療用医薬品の成分の違いや、効果の違い、副作用の違いなどを解説しながら、『どのようなタイプのニキビであれば市販薬でも対応できるのか?』をお伝えします。

この記事で解説している内容
  • 市販薬の特徴
  • 医療用医薬品の特徴
  • 正しいニキビ薬の選び方

ニキビを撃退したいという方は、ぜひ最後までお読みください!

目次

ニキビ市販薬の特徴

ニキビ市販薬の特徴

市販の薬のメリットは、なんといってもその手軽さです。

ドラッグストアで買えるのはもちろん、 Amazon でも購入することができるという大きなメリットがあります。

効果も副作用もマイルドなものが多いので、多少使い方を間違えてしまっても肌に大きなダメージが残るということは少ないでしょう。※用法用量を守ってご使用ください。

しかし、市販薬として配合することができる成分には限りがありますので、本格的なニキビ治療をするというのは正直難しいです。

その理由を詳しく解説します。

【第2類医薬品】ペアアクネクリームW

ペアアクネクリーム公式サイト

こちらは人気のニキビ治療薬であるペアアクネクリーム W です。

ニキビの赤みをすぐに抑えることができる薬として、「最強のニキビ市販薬」と言われることもあります。 

こちらには以下の成分が配合されています。

  • イブプロフェンピコノール(IPPN)・・・3.0%
  • イソプロピルメチルフェノール(IPMP)・・・0.3%

イブプロフェンピコノールというのは、炎症を抑える効果のある塗り薬です。赤みを持ったニキビに対して使用することで、ニキビの赤みをゆっくりと鎮静させていくようなイメージです。

イソプロピルメチルフェノールは、ニキビの原因菌であるアクネ菌を殺菌する作用をもつ成分です。

つまり、 ペアアクネクリーム W は、炎症を抑えながらニキビの原因であるアクネ菌を撃退していくという、理に適った医薬品であることが分かります。

オオクボ

しかし!ここからですよ皆さん。

確かにイブプロフェンピコノールは、炎症を取り除くNSAIDsと呼ばれるタイプの成分です。

しかし、本格的に炎症を起こしているようなニキビに対しては手も足も出ないというようなレベルと考えておいた方がいいかもしれません。

ニキビ治療のガイドラインを見てみると 「炎症性皮疹(軽症から中等症)に,イブプロフェンピコノールクリームを選択肢の一つとして推奨する.」とは記載されていますが、推奨度はC1です。

ガイドライン推奨度とは

ガイドライン推奨度とは、ガイドラインで推奨されている診断や治療がどれくらい勧められるのかを、A・B・Cの3段階で表したものです。治療に関してのガイドラインの詳細は以下のとおりです。

  • 推奨度A:強く行うよう勧められる根拠があり、明らかな有効性が期待できる
  • 推奨度B:行うよう勧められる中等度・強い根拠があるが有効性はわずか
  • 推奨度C:十分な科学的根拠はないが行うことを考慮してもよい

つまり推奨度Cは「まあ選択肢の一つとしてはやってみてもいいんじゃない? 」ということになります。

オオクボ

なんで推奨Aのものがあるのに、あえてC1から始めるの?というレベルです。

さらにイソプロピルメチルフェノールは、確かにアクネ菌を殺菌する力を持つ成分ですが、 「薬用石鹸」にも配合されるようなマイルドな効果ですので、「本格的な抗菌薬や抗生物質」とは全く異なります。

つまり、ペアアクネクリーム W に配合される成分は、炎症を取り除いてアクネ菌を殺菌する作用を持つことは間違いありませんが、その作用はとても軽いということがいえます。 

以下の画像のニキビのような、ほっぺたにひとつだけ出現したようなニキビや、普段ニキビができない人にたまたまポツッとできてしまったニキビにはお勧めできると思います。

しかし、ニキビに悩んでいる方の多くが、以下の画像のように、炎症をもったニキビやニキビの色素沈着などが複数、大量に出現していると思います。このタイプのニキビに太刀打ちするには、ペアアクネクリームWは残念ながら役不足かとおもいます。 

医療用医薬品の特徴

次に医療用医薬品の特徴を解説します。

医療用医薬品は医師の処方箋がないと手に入れることができません。

そのためクリニックに受診して、医師の診断を受け、処方箋をもらい、その処方箋を持って薬局に行くことで、初めて薬を受け取ることができます。

オオクボ

値段の部分を気にされる方も多いのですが、個人的には、値段以上にこの手続きの多さや薬を受け取るまでの時間が医療用医薬品のデメリットだと思います。

また、医療用医薬品は簡単には手に入れることができないからこそ、 効果も副作用も強いという特徴があります。

デュアック配合ゲル

デュアック配合ゲル

ニキビ治療のガイドラインにグレード A で推奨されている「クリンダマイシン 1%/過酸化ベンゾイル3% 配合ゲル」商品名デュアックは、二つの成分が配合された塗り薬です。

先ほどのペアアクネクリーム Wと同じように、炎症を落ち着かせながらアクネ菌を撃退するという、二つの成分が組み合わさっています。

オオクボ

とはいえ、それぞれの成分は全く別次元です。

過酸化ベンゾイルという成分には、アクネ菌を殺菌しながら皮膚の角質をピーリングするという作用があります。

ニキビの原因はアクネ菌なのですが、そのアクネ菌が繁殖してしまう原因が毛穴の詰まりにあります。毛穴が詰まってそこにアクネ菌が繁殖する。これがにきびです。

アクネ菌ばかりに気を取られていて、毛穴の詰まりを解消しないと、無限にニキビは増殖します。

それを解決することができるのが過酸化ベンゾイルです。

ニキビを発生させるしくみとデュアック配合ゲルの作用

皮膚の角質を薄く剥がす、ピーリングすることで、毛穴の詰まりを解消して、根本的にニキビができにくい肌へと変化させていきます。

本格的な抗生物質であるクリンダマイシンで、ニキビの炎症を落ち着かせ、アクネ菌を撃退しながら、過酸化ベンゾイルによって、根本的なニキビの原因を解消していくというのがデュアックです。 

デュアックの使用方法は、ニキビがある箇所だけでなく、毛穴の詰まりがあるだろう頬全体に塗り広げます。

オオクボ

つまり毛穴の詰まりをとって「ニキビができない肌にしていこう」というのがデュアックです。

デュアック配合ゲルの使い方

デュアック配合ゲルの使い方を紹介します。

  • まずは洗顔をして、水分を優しくふきとってください。
  • 1日1回適量を、ニキビとその周辺に、広げるように塗ります。

ポイントは、ニキビだけに塗るのではなく、毛穴が詰まっている部位全体に塗りひろげることです。

一般的な市販薬などは、ニキビができている部分だけに塗布しますが、デュアックは広範囲に塗り拡げていくイメージです。

ただしピーリング作用が強いので、肌の赤みやかゆみ、強い乾燥などが出現しやすいです。

ニキビを早く治したいという気持ちはわかりますが、必ず用法用量を守って使用しましょう。

医療用医薬品には、デュアックの他にもさまざまな医薬品があります。それぞれの医薬品の詳しい解説はこちらの動画で解説していますので、興味がある方はご覧ください。

そもそもニキビってどうやってできるの?

ニキビのでき方

ここまでニキビの治療薬を紹介しましたが「そもそもニキビってどうやってできる?」と疑問に思いますよね。

ニキビができる過程を解説しますので、過程がわかればなぜ治療薬が有効なのかもわかりますよ。

ニキビができる要因

まずはニキビができる要因から紹介します。

ニキビができる要因
  • 皮脂分泌の増加
  • 毛穴の詰まり
  • アクネ菌の増殖

性ホルモンは思春期に活性化したり、ストレスが原因で過剰になったりします。すると毛穴の奥にある皮脂腺からたくさんの皮脂が分泌されます。

肌はターンオーバーといって新しい肌に生まれ変わるサイクルがあるのですが、ターンオーバーが乱れると毛穴の出口の角層がはがれずとどまってしまいます。出口がふさがれた状態のため、毛穴が詰まってしまうのです。

アクネ菌は皆さんがもっている常在菌で普段は悪さをしないのですが、皮脂が過剰に増えたり毛穴が詰まったりすると、炎症を引き起こします。

肌の常在菌について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧くださいね。

ニキビのでき方

ニキビは赤いニキビや黄色いニキビがいきなりできるのではなく、そのようになるまでに過程があります。

まずニキビは皮脂分泌が増加し毛穴が詰まると、毛穴の外に皮脂が排出されてないため毛穴の中にとどまります。この状態を「コメド(めんぽう)」といわれ、わかりやすく「白ニキビ」「黒ニキビ」ともいいます。

コメドの内部はアクネ菌が発達しやすい環境になっており、そのままにしておくと、コメドの中でアクネ菌がどんどん増えていくのです。

増えすぎたアクネ菌に対抗するために、ヒトの免疫反応が働いて炎症が起こり、赤く腫れあがってしまいます。これを「赤ニキビ」といいます。そして炎症がさらに悪化すると、膿を持ったいわゆる「黄ニキビ」になるのです。

さらに炎症が周囲の組織に広がると、皮膚にニキビの後が残ることがあります。いわゆる肌のクレーターというものです。クレーターを改善するには、美容クリニックで専門の治療を受ける必要があります。

つまりコメドをほおっておくと、炎症をおこした赤ニキビや膿を持つ黄ニキビになるということです。ニキビを改善する、ニキビができにくい肌にするためには、いかに毛穴の詰まりをなくすかが重要になるのです。

ニキビ跡の治療法であるダーマペンは、こちらの記事で解説しています。

正しいニキビ薬の選び方

ニキビの薬を正しく選ぶには、現在のニキビの状態を見極める必要があります。

薬の成分だけを見て、医療用の方がいいとか、市販薬ではダメと言うことはできません。

ニキビのタイプや重症度に応じて適切な治療を行うことがとても重要です。

先ほども示したように、 下の画像のようなタイプの一箇所だけに炎症をもったニキビが出現した場合であれば、市販薬のペアアクネクリームでも、数日かけてニキビを鎮静化させることができます。

しかし、下の画像のように、広範囲に複数のニキビが出現し、 治るよりも新しいニキビができるスピードの方が早いという状態の時には、一刻も早く毛穴の詰まりを取り除く治療を行うことが大切になります。

また、複数の毛穴のつまりがつながって、 一つの大きなニキビのような炎症が生じている場合も、早くケアをしなければ、クレーターなどの深いニキビ跡が残ってしまう可能性もあります。

デュアック配合ゲルは、過酸化ベンゾイルとクリンダマイシンを成分に含むニキビ治療薬です。

デュアックの作用
  • 抗菌作用
  • 抗炎症作用
  • ピーリング作用

デュアックは毛穴のつまりを取り除き、アクネ菌の増殖を抑え、炎症によって生じる赤みを取り除いてくれます。

ニキビに悩んでいて市販薬を探している時には、ニキビ薬の成分に注目しがちですが、 ニキビのタイプによっておすすめできるものは全く異なります。

早く綺麗にニキビを治したいという方は、まずは皮膚科や美容皮膚科にご相談されることを強くお勧めします。

ニキビ治療薬の市販薬と処方薬の違いまとめ

ニキビ治療薬の市販薬と処方薬の違いまとめ

今回はニキビ治療薬に関して解説しました。

ニキビは皮膚の病気です。風邪や花粉症と同じように、クリニックに通院して治療することが大切です。

もちろん、皮膚科に行ったからといって、すぐにニキビが消えるわけではありません。

しかし、ニキビのできるスピードを遅くしたり、ニキビができにくい肌に近づけることはできます。

ご自身だけではなく、お子さんやご家族などがニキビに悩んでいるという方は、皮膚科や美容皮膚科に相談できるようにしましょう。

受診した結果、このレベルであれば市販薬でも大丈夫だよって言われれば市販薬を使えばいいと思います。

僕は20代の頃を大量にニキビができて、今でもクレーターなどのニキビ跡が残っています。

ニキビ跡を残さないためにも、速やかに適切な治療を行うことがとても重要です。

ニキビに悩んでいる方はお早めに皮膚科もしくは美容皮膚科にご相談ください。

この記事を動画でみる

今回紹介した内容は動画でも解説しています。
動画で内容を確認したい方は、ぜひご覧くださいね。

オオクボ

編集長のオオクボです。知って得するアッと驚くような美容情報をたくさんお届けします。お仕事のご依頼は各SNSにご連絡下さい!

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この記事を書いた人

編集長のオオクボです。知って得するアッと驚くような美容情報をたくさんお届けします。お仕事のご依頼は各SNSにご連絡下さい!

この記事の監修者

オオクボタカユキ
びよう研究所所長
薬剤師・博士(薬学)
メーカーにて医薬品の適正使用に関する業務に従事した後、総合病院にて臨床薬物治療に携わる。大学院博士課程にて多数の研究論文を執筆し博士号を取得。現在は人の幸福感を上げるための美容医療の研究を行っている。
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