クリンダマイシンゲル(商品名:ダラシンTゲル)は、ニキビに使用される抗菌薬(抗生物質)です。
「ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)」の適応をもっているので、赤ニキビや黄色ニキビなど、感染のみられるニキビに使用されます。
そんなクリンダマイシンゲルの塗り方や正しい使用方法を、私薬剤師のオオクボが解説します。
クリンダマイシンはベーシックなニキビの塗り薬です
先発品:ダラシンTゲル・ローション(26円/g)
後発品(ジェネリック医薬品):クリンダマイシンゲル(13.9円/g)
名称や薬価は違いますがどちらも同じ薬剤です。
クリンダマイシンゲルの正しい塗り方
ダラシンT(クリンダマイシン)は炎症のあるニキビにだけ使用する塗り薬です。
アダパレンや過酸化ベンゾイルのように、毛穴のつまりに対して塗り拡げる薬ではありません。
赤ニキビ(黄色ニキビ)に対してスポット的に使用しましょう。
広範囲に赤ニキビが広がっている場合には塗り拡げることもあります。
医師の指示を守ってご使用下さい。
クリンダマイシンゲルの用法用量
本品の適量を1日2回、洗顔後、患部に塗布する。
ダラシンTゲル1%/ダラシンTローション1%添付文書
本剤を塗布する面積は治療上必要最小限にとどめること。
本剤の使用にあたっては、4週間で効果が認められない場合には使用を中止すること。
また、炎症性皮疹が消失した場合には継続使用しないこと。
ダラシンTゲル(クリンダマイシンゲル)の取り扱い説明書である「添付文書」にも、「治療上最小限の面積に塗る」とか「4週間で効果が見られない場合には使用を中止する」などの注意書きがされています。
デートの前にニキビができると嫌だから予防的に塗っておこう…
ニキビができていないのに、予防的にクリンダマイシンゲルを塗るっていうのはNGです。
炎症のあるニキビにだけ、ちょんちょんってつける感じにしましょう。
クリンダマイシンゲルを塗る順番は?
クリンダマイシンゲルを塗る順番は「洗顔→保湿→(アダパレン)→クリンダマイシンゲル」です。
1日2回、しっかりやさしく洗顔をして、化粧水やクリームなどでたっぷりと保湿した後に、ニキビの薬をつけていきます。
クリンダマイシンゲルは、スキンケアの最後に行うようにしましょう。
薬をつけた後に化粧水で広げてしまわないように注意です
化粧水や保湿クリームなどは、ニキビができにくいとされるノンコメドジェニックな製品を選択するのがおすすめです。
アダパレン(ディフェリンゲル)などの「毛穴に対する薬剤」を併用している方は、アダパレンを塗ってからクリンダマイシンゲルを塗るようにしましょう。
ニキビに対するクリンダマイシンの効果
ニキビに対するクリンダマイシンゲルの効果にはエビデンスがあります。
ガイドラインでも強く推奨されているレベルですので、ニキビの状態によって積極的に正しく使用することが重要です。
クリンダマイシンゲルのエビデンス
炎症性皮疹に対する有効性を評価したクリンダマイシン(CLDM)外用剤による良質なレベル II の RCTが海外で 11 件19)~29)報告されている.対象は炎症性皮疹(中等症から重症),投与期間は 8 週間~12 週間である.多くはCLDM1%外用剤で基剤はゲル,またはローション製剤であり,外用回数はほぼ 1 日 2 回となっている.対象となる症例数は 46 例~1,026 例にわたり,年齢分布は 12 歳~35 歳となっている.また,効果判定基準は皮疹数(10 件/11 件),全般改善度(4 件/11件)で評価されている.すべての RCT は CLDM 外用によってプラセボに比べ,炎症性皮疹(丘疹・膿疱)数の有意な減少が認められている.有害事象としては乾燥,剝離,灼熱感,瘙痒がみられたが,いずれも軽微なものである.
本邦においては 10 個以上の中等症以上の炎症性皮疹を有する尋常性痤瘡患者に対する CLDM の有効性について,皮疹数,全般改善度を指標として,レベルII の RCT が 4 件30)~33),レベル IV の非ランダム化試験は 3 件報告され,いずれも良好な結果を得ている.有害事象として,塗布部位の刺激感,瘙痒,乾燥,発赤などが報告されているが30)~33),軽微なものである.
尋常性ざ瘡ガイドライン2017
つまり…クリンダマイシンゲルには科学的な根拠があるよってこと
クリンダマイシンゲルの薬理作用(作用機序)
クリンダマイシンゲルは「リンコマイシン系」と呼ばれるタイプの抗菌薬(抗生物質)です。
細菌のリボソーム50S Subunitに作用し、ペプチド転移酵素反応を阻止することで、細菌の蛋白合成を阻害します。
この作用によって細菌は増殖できなくなるので、結果的に殺菌作用を発揮できます。
この作用によって、クリンダマイシンゲルは、ニキビの原因菌であるアクネ菌に対して効果を示します。
クリンダマイシンゲルとナジフロキサシンの違いは?
クリンダマイシンゲルとナジフロキサシンはどちらも「炎症性のニキビ」に使用する「抗菌薬」です。
どちらも同じ様に炎症を伴うニキビに使用します。
どちらが良いかというのは研究が行われていないのでわかりません。
リンコマイシン系とニューキノロン系では抗菌スペクトラム(どの菌に効果を示すか)が違うので、時と場合によって使い分ける感じなのですが、ニキビ治療においては大きな差はないと考えられます。
薬価や塗り心地はもちろん、副作用(皮膚のピリピリ感)が人によって違うので、自分にあったものを使用するのが良いでしょう。
研究してもおそらく差が出ないんじゃないかと…。
ナジフロキサシンクリームを使用している方はこちら