ROCK'A'TRENCH SPECIAL INTERVIEW 河原 真[Electric&Acoustic Bass]

■インタビュー・文:竹部吉晃 ■撮影:本多元 ■ヘア&メイク:Ryuuji SuMiDA ■制作:Astrograph
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自分がベースを弾けばどんな曲でもカッコよくなる

ロッカトレンチのリズム・セクションを支えるベーシスト、河原真。特にレゲエをルーツにもつバンドにおいて、彼の弾くベースは重要なウェイトをしめるといえるだろう。そんな河原真に今までの音楽キャリアとロッカトレンチでの夢を聞いた。そして話は地元広島、さらにはカープへの愛へと脱線。彼のナイス・キャラが伝わるインタビューになった。

--先日の渋谷クアトロのライブは大盛況でしたね。いちばん後ろで見ていたのですが、ほとんど酸欠状態でした(笑)。

ROCK'A'TRENCH 河原真 僕らの音楽はいろんなジャンルの要素があるからなのか、ファンの方の反応が、その土地によって違うんですよね。今回のツアーは4ヵ所を回って、各地盛況だったんですが、ラストの東京は厳しくもあり暖かくもありという感じでしたね。例えば、最新シングルの「My SunShine」は、今までの僕らの曲調とは違う、突き抜けたポップ・ソングですよね。初めてのワンマンで行った名古屋や福岡では、いちばん聴かれている曲だから、ウケがいいんですけど、インディーズ時代から来てくれている東京のファンは、見る目がシビアだから、戸惑いもあったのかもしれないですね。

--確かに、ロッカのベースにあるのはレゲエのエッセンスですよね。でも今後のロッカの魅力はそのレゲエとポップ・サウンドの融合になるわけですよね。その辺り、ベーシストの視点からはいかがですか。

 ベースはしんどい立ち位置にいると思うんですよ。例えば、レゲエやスカのサウンドにウェイトをおいた音色で「My SunShine」を弾くと、埋もれてしまうし、逆に「Every Sunday Afternoon」などのアコースティック・ギターがメインの曲に、ベースが目立ちすぎるのもよくない。だから試行錯誤の連続でしたね。でも、最終的にどの曲もひとつのベース音でやれることを目指しているんです。3年経って、ようやく、ロッカトレンチとしてのベースの音作りに慣れてきた感じがします。研究というより、やっていくうちにたどり着いたという感じですが。

--その「My SunShine」を聞いたとき、河原さんはどんな思いを抱きましたか。

 僕はベタな音楽が好きな耳とマニアックな音楽が好きな耳の両方を持っているので、第一印象は「めちゃめちゃポップでいい曲だな」と。でも、しばらくしてもう一回聴いたとき「この曲を僕らがやる必要があるのかな?」と、ちょっと戸惑ってしまったのも事実ですね。でも僕は、“自分がベースを弾けばどんな曲でもカッコよくなる”と信じてやっているので、葛藤はすぐに消えて、これをどうやって自分がカッコよく演奏するかという意識に切り替わりました。ロッカトレンチというバンドをやるにあたって、両方の耳が必要だと思うんです。“突き抜けてポップだけど玄人も納得させられる”というのが、バンドの理想とするところなので、それに近づいていけばいいと思います。

ROCK'A'TRENCH 河原真--そもそも、河原さんが最初にミュージシャンを志したのは、どういう動機からだったんですか。

 中学一年のとき、Xのhideさんファンの友達が、エレキギターのピックを見せてくれたんです。Xモデルやルナシー・モデルとか。まずは、男の子特有のコレクターセンスで、ギターそのものよりもピックやステッカーなどのアイテムに惹かれたんです。それで、そいつと仲良くなるうちに、いつの間にかXの大ファンになって。「こんなカッコいいものが世の中にあるんだ」っていう感じでしたね。Xを聴いていくうちに、TAIJIさんのファンになったんですよ。Xのメンバーはみんな派手なんだけど、ひとりだけ皮ジャンを着てクールな存在に見えたんです。しかもベースが超うまい。それで僕もベースを弾くようになったんです。

--ロッカに参加する前はセッション・ミュージシャンだったそうですね。

 地元の広島で組んでいたバンドのメンバー全員で進学を理由に上京したんです。それぞれ、大学や専門学校に行きながらバンドをやっていたんですけど、すぐに解散してしまって……。そのとき、ひとりで頑張ってもどうにもならないことがあるんだな、と18歳ながらに思いましたね。でも僕は、作曲するよりも、演奏をすることが好きだったので、自分はどちらかというとプレイヤー肌だというのは気づいていて、バンドが解散した後は、大学のサークルで15コくらいのバンドを掛け持ちしてたんです。そのうちに、自分はどこに行ってもベース一本あれば演奏に参加できると思うようになり、そこからセッション・ミュージシャンに憧れるようになって、音楽学校へ通って音楽理論などを学ぶようになったんです。

--基礎と実践を積み重ねたんですね。

 そのうち、学校の先輩がドラムでサポートしていたバンドに誘ってくれたんです。それをきっかけに、いろいろなミュージシャンと知り合ってサポートしたり、音楽学校時代の師匠だった納浩一さんの紹介で、六本木のバーで演奏する仕事を回してもらったり。「これがオレのやりたかったことだな」と思っていました。

--順調にミュージシャンとしての技能を高めて、ロッカトレンチに加入となるんですね。

 いえ。実は加入する前に「暗黒の一年」があったんです(笑)。セッション・ミュージシャンは楽しかったんですけど、「自分が本当にやりたいことをやりたいようにやったらどうなるんだろう?」と思ってバンド始めたんです。70年代のマイルス・デイヴィスみたいなハチャメチャなセッションをやろうとして。でも、リーダーに向いてないのか、回りに気を使いすぎてダメになって、いっぺんに5人中3人が辞めちゃう事態があって……。一回盛り上がっていたモチベーションが、それによって打ち落とされた気持ちになって。

--なるほど。その気持ちをどのように克服したのですか。

ROCK'A'TRENCH 河原真 ただ、勢いだけは自分の中に残っていたんです。そして、それがどこに行ったかというと、広島カープを応援するというところに向かったんです。音楽を始める前の自分に一回戻っちゃったんですよ。

--野球ですか?

 元々広島出身なので広島カープの大ファンなんです。そのときの自分を思い出して、その時期は今までの情熱を全部カープの応援に注ぎ込んだんです。関東である試合は全部行ったし。東京ドーム3連戦全部行くのは当たり前みたいな(笑)。しかも毎日、自分でスコアをつけて、ドップリのめり込んでいましたね。あの頃はもうすごかったですね、ある意味。

--その頃のカープは弱かった頃じゃないですか。

 ものすごく高い志で応援しにいって、ボコボコに負けて帰ってきたりすることもしばしばでした(笑)。広島って、町全体がカープ一色なんですよ。そういうのを思い出して懐かしくなるし、カープを応援していると、地元を感じられるんです。今まですがってきた音楽から一回離れかけたから、何か別のものにすがらないとやっていけない精神状態になっていたのかもしれないですけど。

--「暗黒の時代」を乗り越えてロッカトレンチに加入したんですね。

 畠山君は僕の友達の友達だったし、僕のバイト先のスタジオにもよく練習しに来ていたんです。それで、ロッカトレンチのサポートをやるようになって。それまでパンクシーンの人とは交流なかったんで、「SKA SKA CLUB」の人と一緒にできることがあるのかな?」なんて思いながらやるようになった感じですね。

ロッカトレンチ

--山森さんと会った第一印象はどうでした?

 法曹の試験が終わった直後のタイミングだったんで、全然ミュージシャンに見えなくて(笑)。「本当に彼がSKA SKA CLUBのボーカルの人?」みたいな感じ。

--それにしても、バンドはみんなそれぞれキャラが違っていて、五人五様ですね。

 全く話が合わないですけどね(笑)。

--では最後に今後の河原さんの目標は?

 小さい目標と大きい目標があるんですけど、基本的にメジャー・レーベルで歌ものをやるからには、1枚でも多くCDが売れてほしいですね。超極端に言えば、自分が満足することよりも、多くの人に僕らの音楽を聴いてもらえる曲を出していきたいですね。それぐらい割り切って考えているんですけど。あ、そういえば、ロッカに入るときに具体的な目標は5つありました。まずは、デビューと「ミュージック・ステーション」への出演。

--その2つは見事に達成しました。

ROCK'A'TRENCH 河原真 難しいかもしれないけど、CD1タイトルで100万枚。あとオリコンで1位と「紅白」出演。これら全部を、ロッカトレンチとして実現させたいと思っているんです。趣味で音楽をやっているわけじゃないですからね。あとは、社会貢献というと大きな話になってしまうけど、僕らの曲で立ち直れた人がいるとか、そういう力をもちたいですね。悲しい気持ちになったときに、励まされるために聞くのでもいいし、多くの人の人生の1ページに書き加えられる存在になりたいと思っています。

--最初に言われたのは、目に見える成功ですが、その延長線上に今の発言があるわけですね。

 そうですね。例えば、僕らのライブを見た中学生が、将来「あのときのロッカトレンチのライブの感動が今でも忘れられなくて」みたいに言ってくれるようなパフォーマンスをしたいし、そう思われる作品を残していきたいと思っています。そのためにも、息の長いミュージャン、バンドでいたいですね。

ROCK'A'TRENCH 河原真’s PLAYLIST: Best Of My Life~人生の10曲~

ROCK'A'TRENCH 河原真 プロフィール

河原 真 [Electric&Acoustic Bass]

ロッカ加入前はセッションミュージシャンとして
多くのアーティストのサポートメンバーを務めた経験あり。
その"天真爛漫"とも言うべき独特のキャラクターで、バンド内のムードメーカー。
広島県は生口島の瀬戸田町出身で、"熱狂的カープファン"。
郷土をこよなく愛する若手本格派ベーシスト。

ROCK'A'TRENCHオフィシャルサイト

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