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世界の楽屋から vol.10

伊藤政則とアイアン・メイデン

■インタビュー/文:加藤賢崇 ■コーディング:Astrograph 掲載日:2010.9.2
■フォトクレジット:(c) 2010 Iron Maiden LLP. Photo by John McMurtrie

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ヘヴィメタルの覇者、アイアン・メイデンの4年ぶりの大作ニューアルバム「ファイナル・フロンティア」が出た! 実は筆者はメタルも大好き! これはさっそく楽屋に訪ねて行かなければ! てことで日本に住んでてメイデンのバックステージにいるような気分にさせてくれる人は、ただ1人しかあり得ない、日本のメタルゴッド伊藤政則さんだ! 一緒にお仕事させていただくのは初めてですが、実は筆者は初対面ではなく28年も前にちょっとしたご縁があったのです。。

伊藤政則賢崇:「こんにちは! ぼく、82年~83年頃、新宿ツバキハウス(80年代前半に東京の最先端を行ってた伝説のディスコ)でバイトやってたんですよ。当時は毎週、火曜日が大貫憲章さんのロンドンナイトで、日曜日が政則さんのヘヴィメタルナイトでしたよね~。」

政則:「あ、そう! うちはアレ81年くらいから始めてたかな~。来年30周年なんだよね。キミはミュージシャンでもあるんだってね?」

賢崇:「ええ、当時からバンドもやってて、バンド関係者にもたくさん会えるからと思ってツバキでウエイターのバイトを。政則さんのDJブースにドリンク運んだりしてましたよ。思い出すなあ。夕方5時半くらいになるとキッズが集まって来て、6時のオープニングとともに流れるメイデンのセカンドアルバム(「キラーズ」81年)の1曲目!」

政則:「The Ides Of March! 今でも年に1回クラブチッタで「ヘヴィメタルサウンドハウス」としてやってんだけど、オープニングは必ずアレだね。29年間ずーっと、The Ides Of March!」

賢崇:「当時、エアギターの始まりも見た、って感じでしたね」

政則:「そうそう。当時はそんな言葉なかったから『当て振り』とか言ってたかな?」

賢崇:「最初はみんな本物のギター持ってきて、曲に合わせて弾いてるマネするんだけど、重いし人に当たって危ない、って段ボールで作ったギターになって」

政則:「ベニヤとかあったよ。ベニヤ(笑)。」

賢崇:「結局それもジャマだってことで、何も持たないエアギターみたいになっていきましたね」

政則:「ベニヤってのはイギリスのバーとかでやってたのをマネしたんだけど、チンケなベニヤでもツマミとかちゃんとつけてさ(笑)、最初はうちのバイトにベニヤ買ってこさせて、フライングVとか何枚か作らせて、それを客に渡して、楽しみ方を教えていったんだよね」

賢崇:「当時は風営法キビシくて12時には必ず終わってたけど、余韻でなかなか帰らない客も多くて。。」

政則:「それロンドンナイトだろ~(笑)。うちの客はちゃんと帰ってたよ~。だけど懐かしいね、あの頃は1500円とか、料金も安くて、店で飯も食えたんだよな。飯食いにくるだけの客もいたからな」

賢崇:「フリーフードでしたもんね。貧乏な若者の遊び場。あの頃ロンドンナイトとヘヴィメタルナイトで、来るお客は全員、破れたジーンズと鋲の付いた黒の皮ジャン。でも髪型がパーマの長髪か金髪のモヒカンか、って違いだけで人生が決まっちゃうんですよね~」

政則:「クラブイベントのはしりだよな。一週間を曜日ごとにタテ割にしてジャンルを決めて。大貫さんは今年30周年で、おれは1年遅れてるけど」

賢崇:「ヘヴィメタルナイトとロンドンナイト両方で盛り上がる曲ていうとモーターヘッドとか。メイデンを大貫さんがかけたことあったかな? 逆に政則さんがピストルズやラモーンズ、ニューヨーク・ドールズとかかけたこともありました。つながってる感じでどっちも顔を出す客もいたりとか」

伊藤政則政則:「大貫さんのほうはパンク、ニューウエーブ中心で、客がファッション系、服装関係の子とか多かったじゃないすか、そっちから後の裏原とかにつながって行くんだよな。うちはやっぱバンドやってる子が多かったよね。うちの客でその後ミュージシャンになったやつも多いよ。X JAPANのメンバーとかZIGGYとかTHE YELLOW MONKEYになるメンバーとかも来てたみたいなんだよ。いつもライトが届かない隅のほうで悪さしてた(笑)らしいよ」

賢崇:「いまの日本のヴィジュアル系の若いお客でX JAPANとかファンになって、さらにルーツ探しでメイデンにたどりつく子も多いようですね」

政則:「あるんじゃない? こないだテレビ見てたらGACKTくんが出てて、友人にいただいたアナログレコードを壁に飾ってるとか言って一番目立つ場所に『The Number Of The Beast』があったよ! あの世代はみんな何らかの形でメタルの洗礼を受けてるハズだよね。一番わかりやすい音楽で、バンドやるやつはみんな目立ちたいからやるわけじゃない? 当時はメタルの女の子ファン多かったし、メタルのお姉ちゃんは可愛くてファッションもエッチくさかったし、そういうコにモテようと考えたらメタルを通っていくよね。みんなアイアン・メイデンは通過していったんじゃないかな?」

賢崇:「そして80年代初頭のNWOBHM(ニューウエーブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)の中で、メイデンだけが残ってますよね」

政則:「まあ、デフ・レパードもいるけどね。当時さ、パンクやニューウエーブもやや下火でイギリスがトレンドセッターとしての力が弱まってたときに、すげえアンダーグラウンドから出てきたんだよな。当時のメジャーレーベルはメタル好きな人はいなかったんだよね。今はビジネスだから、ムーブメントがあって先見の明さえあれば自分らの嫌いな音楽でもどんどん契約すると思うんだけど、あの時代はまだレコード会社に自分らの趣味でアーティストを育てたいって気持ちが残ってたから、逆にメタル好きじゃない人は手を出さなかったわけよ。だからこそメタルは小さなクラブだけでいろんなバンドが出てきたし。あとパンクやニューウエーブの人達が自主制作でシングルを出すってことを教えてくれたじゃない。ライブ会場でカセットも手売りすればいい、それならメジャーと契約しなくてもやっていけると。それでデフ・レパードとメイデンが先駆者になって、いろんなバンドが出て来たわけだけど、バンドとしてのインパクト、アンダーグラウンドの中でNWOBHMてムーブメントができた時点で最初からアイアン・メイデンがトップになってるピラミッド構造ができてた。それが今日にいたるまでずーっと続いてるってことなんじゃないかと思うのよ」

賢崇:「残るべくして残ったと」

政則:「おれも当時いろんなバンドをロンドンで見て、先にメジャーデビューしたバンドも見たけど、デビュー前からメイデンはもう決定的に何かが違ってたよ」

賢崇:「そこはやっぱスティーヴ・ハリスが天才ってことですかね」

伊藤政則政則:「今思えばそうなんだろうけど。まず曲がいいよね。長尺の曲があって、ツインリードギターをユニゾンでハモったりとか変わったアレンジをしてた。一方では対極的なすごい短い早いリフの曲もあって。あの頃のポール・ディアノってヴォーカルが、髪が短くてピアスしてパンクっぽいんだけど、バーッて走ってステージ出て来たとき、なんか様式があるのよ。あ、こいつはパンクじゃないな(笑)と。で、サクソンてバンドの前座だったんだけど、すげえカッコいい。前座じゃない。大変なものを見てしまった。そのときのテープを後で聞き直すと演奏が遅いんだけど、見た時の印象はすごい早い演奏って感じだった。カリスマ性があったね」

賢崇:「スティーヴ・ハリスのピックを使わず指だけでベースを弾くというのは、他のヘヴィメタルバンドにはいないですよね」

政則:「めずらしいよね。また当時からストライプのタイツみたいなのはいてて、UFOのピート・ウェイの影響だと思うんだけど、見せ方にも気を使ってたね。ステージのバックドロップにアイアン・メイデンのロゴが2段になってて、まだエディが誕生してないから、能面みたいな白い顔があってさ、口から赤いドライアイスを吐いたりするんだよ。アマチュアのくせに」

賢崇:「最初から空間全体をプロデュースする力があったわけですね~。スティーヴ・ハリスがマシンガンを撃つようなポーズでベースを弾くのも彼の発明ですかね?」

政則:「シン・リジィのフィル・ライノットて人もベースのボディにミラーをつけて光らせたり、お客にこうヘッドを向けたりやってたね。スティーヴが若い頃見て来たそんなベーシストの影響を新しい世代が見せたのが新鮮だったんじゃない」

賢崇:「当時はメタル冬の時代を盛り返そうという、リバウンドのエネルギーもあったでしょうね」

政則:「そうでしょ。70年代後半メタルが落ちて来て、何もないなら自分らでやる、とDo it ourselvesの精神で。自分の聴きたいものは自分で作るってことだったろうね」

アイアン・メイデン

賢崇:「さて、今回の最新作『ファイナル・フロンティア』です。まず、かつてはロンドンの裏道をうろついていただけのエディが、やっと、とうとう宇宙まで来た、と。今までにも行くチャンスはあったと思うんだけど、古代や神話の世界に行っちゃったり未来に行ったりで、やっと宇宙に来たか、という」

政則:「だけど今回は歴代エディの中でも一番グロイよな。いや、今まで初期とかも当時としてはじゅうぶん無気味だったんだけど。グロテスク度は今回高いね。でもひとつのシンボルだからな~」

賢崇:「考えると映画の『プレデター』とかより先に生まれてるクリーチャーですよね。エディは」

政則:「そうだな。1980年からいたんだもんな。その前の段階の能面みたいのは79年にあったんだし。それに何がすごいかって、このアイアン・メイデンというロゴというかフォントみたいな、30何年間使ってるんだけど、すごく先鋭的だよね、デザインとして」

賢崇:「全然古びた感じしませんね」

政則:「バンドって時々ロゴを変えるけど、アイアン・メイデンのロゴはずーっと同じで今でも新鮮だもんね。2010年のニューアルバムに同じロゴでも古く見えないもん」

賢崇:「コンピューターグラフィックにも似合いますよね」

政則:「他のバンドのロゴと比べてもイイよ。宇宙にも神話の世界にもいけるロゴだよな」

賢崇:「さてサウンド面ですけど、自分も年とったからか、立ち上がりがバラード調の曲がしみてきますね~」

伊藤政則政則:「おれも長年聴いてきてさ、ドーン!と来る曲と、イントロがアルペジオで来ると(あ、長い曲だな。こりゃ)ってわかるんだよな(笑)間がまたハードにグシャグシャになって、また静かな感じがエンディングにも来るな、とか。とりわけニューアルバムはここ何年かやってきたアレンジの工夫みたいなのを突き詰めてずいぶん高いレベルで消化させたって感じしたね」

賢崇:「そのグシャグシャな部分とリフの決まったポップな部分とか、メリハリがカラっと効いた録音のいいアルバムですね」

政則:「こういうバンドはアナクロでいくか、最新技術取り入れるかだけど、いかにいいアンプといいギターがあってもPro Toolsに頼ってデジタル編集すると画一化された今の音になっちゃうんだよ。今の音(笑)。これはね、アイアン・メイデンもずいぶん考えたと思うよ。Pro Tools使えば録音も簡単ですよ。だけどメイデンみたいなグルーヴをものすごく入れてくタイプはねPro Toolsで編集していくとズタズタになっちゃうんですよ。だから今回はライブレコーディングでやった、と言ってるけど、頭からケツまでは演奏してないよな。静かなとこだけ、激しいとこだけ、それぞれまとめ録りして編集してるんじゃないかな。流れがスムーズで疾走感は失われてないよね」

賢崇:「ぼくのミュージシャンの友人もPro Toolsの音だってわかると、つまらないとか言いますね」

政則:「スリリングじゃないよな。昔のR&Bとかジェームス・ブラウンとかPro Toolsじゃグルーヴ出ない、あれは一気録りだよね。アイアン・メイデンは頭のいい人たちなので、そこを掴みかけて、やったんだろうね。アタマからずーっとライブぽい音だよね」

賢崇:「1曲目の最初の3分くらい展開とかすごいすよね」

政則:「ジャムってる、て感じだよね。今ああいう始まり、終わり方するバンドいないじゃん。ドジャ~ンジャラジャラジャ~ンって、あれがイイと思えるセンスがすごいよ!」

賢崇:「フェイドアウトする曲とかあまりないですよね。常にエンディングがバシっとキマってる」

政則:「過去調べても3曲くらいしかなかったんじゃないか? いつもバズッ!と終わるよね」

賢崇:「ぼく的にはブルース・ディッキンソンの歌心が強調された、と思えるアルバムでしたね」

政則:「ブルースって、もう52才とかでしょ。過去をさかのぼると90年くらいのドニントンのライブを聴くと(バンドやめようかな)ってヤケクソに歌ってる感じが出てるね(笑)。でも再結成以降の彼の歌の表現力てのはね~、50過ぎるとキーを下げたりフェイクしてごまかしたり、って人が多い中で、この人はある種鉄人だね!」

賢崇:「ステージでの動きも最近のほうが昔以上に激しいですよね。ジャンプしたり」

政則:「なんだろうね、あれは。走る距離も長くなってる。運動量多いバンドだよね、メイデンは。70年代のバンドはロンドンブーツだからさ、運動量落ちるよね。(笑)メイデンは最初から全員がスニーカーだった。しかしブルースの運動量はすごい」

賢崇:「今回ブルースの歌詞も、哲学的つうか深いですよね」

伊藤政則政則:「あの人、頭いいんじゃない? だってさ、50過ぎても人生に気が付いてない、おれみたいな人いっぱいいるけどさ(笑)、人生は非常に短くて、自分が興味のあることは徹底的に突き詰めるという、ブルースがどこでそういうふうに自分を極めたのかわからないんだけど、彼はミュージシャンとして、パイロットとして極めようとしてるじゃない? フェンシングもオリンピック級らしいんだよね」

賢崇:「へえ!知りませんでした」

政則:「彼は小説も書いていて、そこから脚本にして映画に提供したりもしてるわけ。BBCでDJも何年もやってたし、興味のある事はすべて達成させて、そのうえでのヴォーカルだからね。普通ありえないね」

賢崇:「メイデンは全員勤勉なイメージありますね」

政則:「やっぱスティーヴが真面目だからじゃない? メンバー選ぶ時もワケわかんないやつは入れてないんだろうね」

賢崇:「ライブDVD見て、家族を連れてツアーに出るってのに驚きました。グルーピーと遊ぶとか、まったく考えないんでしょうね」

政則:「若い頃はあっただろうけど、彼もイギリスのワーキングクラスの出身で、今は相当なお金持ちのはずなのに、住んでる家は何百年も前の農家を改造した家で、自分で友達向けのパブを自宅に作ったり、生まれたときの生活圏からはみ出ない人生を送って、家族を大事にしてるんだろうね」

賢崇:「DVDではメンバーがゴルフをしてるシーンもありましたね。昔ジューダス・プリーストも来日時のオフにゴルフやってて『イメージ崩れるからファンには内緒だ』とか言ってたけど、メイデンはナチュラルですね」

政則:「まあ80年代なら何言われたかわかんないけど、今は平気なんじゃない? もう50代になると余暇をいかに過ごすか、だよね。前にスティーヴと一緒に飛行機乗ったときに、彼はDVDプレーヤー見てて、何見てるかと思ったらBBCのドキュメント番組だった(笑)」

賢崇:「真面目だ~!」

政則:「BBCの番組ってヒストリ-チャンネルとかもあって、曲のネタ元にもなるんじゃない? 歴史があり、神話があって」

賢崇:「今回も神話的な歌詞もあり、今の社会へのメッセージもありますね」

政則:「前のアルバムは中東とか世界的な紛争がテーマになっていて、今回もそういう部分もあるけど、神話的なテーマとか持って来て組み立ててるのも多いね。スティーヴも映画とか文学とかすごい見たり読んだり、初期の頃から小説からヒントを持ってきた曲とか多かった。知的なバンドだよね。メイデンは。曲聴けばわかるじゃない? このバンドは頭悪そうだけどすごいな、とか。メイデン聴くと頭良さそうな人たちがやってるな。と。アメリカ人にはできない音だよね。レッド・ツェッペリンもそうだったけど、イギリス人の伝統を受け継いでるよね」

賢崇:「世間一般ではまだヘヴィメタルというだけで頭悪そうって偏見ありますが、メイデンは頭使わないと聴けないですよ」

政則:「情報量が多いもんね。おれもたまに昔のアルバム引っぱりだして聴いてて(ん?)て聴き直して、こういうふうになってたんだな~って(笑)いまだに発見があるよ。自分で一生懸命聴いてたつもりでも気が付かないとこもいっぱいあるね」

賢崇:「今回はスティーヴも一歩引いてブルースを立ててる感じがしましたね」

政則:「まあギターも3人になって、レーナード・スキナードじゃないんだからさ(笑)。人口密度非常に高いよね。演奏に集中しなきゃ。まあ役割分担がキッチリできてきた感じですよ。やっとやりたかった10分の長尺の曲を何曲もステージで再構築できる体制になったと。これでいいのだ、と言える考え方が作品に出てる感じだね」

賢崇:「ラジオじゃかけられない曲ですよね。潔さがありますね」

政則:「かからなくていいんだ、ていう」

賢崇:「キャッチーな部分だけ4分にまとめればいいのに、と思いますが」

伊藤政則政則:「やらないんだよね。そこがまたイギリスのバンドらしいじゃないですか。確かに聴いてて長えな~、て思うことはあるんだよ(笑)。でも、ちゃんと計算されてるからスッと聴けちゃうんだよな。だけどiPod時代になってみて今の若い人にこの長さの曲を聴ける集中力はあるのか? って思う時はあるんだよね」

賢崇:「ですね。。」

政則:「だけどアーティスト側がそこまでマーケティングする必要もないんだよ。アイアン・メイデンはそういう議論から一番遠いバンド(笑)。曲の長さを気にするようなやつはメイデン聴かないだろ。最初から」

賢崇:「まったく(笑)。先日、最新ライブをアメリカでご覧になってますよね? 亡くなったロニー・ジェイムズ・ディオを追悼してたとか?」

政則:「マジソンスクエアガーデンで、開演前の客入れの曲でディオがかかったら、すごい沸いてね。いいムードだったの。で、「ブラッドブラザーズ」って曲を演奏するときにブルースが、自分がいかにディオに影響を受けて、ディオがいい人間だったかを語っていたね」

賢崇:「ぼくが思うに、ブルース・ディッキンソンは身長低いじゃないですか。ディオも小さかった。スコーピオンズのクラウス・マイネとかも小さいですよね。ヘヴィメタルバンドで小さい人がフロントを張るって特別なプレッシャーがあるんじゃないか? ロバート・プラントやアクセル・ローズのようなカリスマにはならないから、バンドの歯車としてがんばらなきゃ、ていう部分でもブルースはディオに共感するところがあったのではないかと」

政則:「ディオはとにかく圧倒的な歌の上手さと表現力だよね。クラウスはあの圧倒的なハイトーン。ブルースはハイトーンと表現力、両方持ってるんだよね。ヴォーカリストの背のデカい小さいはもちろんあるんだろうけど、やっぱ他と圧倒的に違うモノがないとな、フロントマンは。そのブルースとクラウスとディオ、3人とも歌が上手いよね」

賢崇:「ですね~」

政則:「アイアン・メイデンみたいな長尺の曲とかディープな解釈を求めるようなバンドは表現力があるヴォーカルじゃないと、深いところまで到達できないよね。今回のアルバムなんかスティーヴは神話とかアヴァロン島の話しとか持ってきてる。ブルースはエリザベスの時代の錬金術師とか持ってきて。これはねえ、中途半端な男と女の愛だとか、そういうとこじゃないとこへ達するには、やっぱブルースくらいの表現力がないといけないんだよな」

対談中にも話題に出ている、2年前にリリースされたツアードキュメントDVD「フライト666」はアイアン・メイデンが世界中をめぐるツアーを密着撮影した必見のドキュメントでしたが、日本でのライブ映像の中には我らが伊藤政則も登場している! 世界で唯一のメイデンを語れるジャーナリストとして! その中で政則さんは「アイアン・メイデンは永遠に引退できないんだよ!」と断言、その言葉に背中を押されるようにメイデンは戻ってきた! 何度死んでも甦る永遠のアイコン、エディとともに! 来年はきっとまた日本にも来てくれるだろうから、それまでにしっかり「ファイナル・フロンティア」も聴きこんでおきたいね~。

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伊藤政則's PLAYLIST 『伊藤政則が選ぶ、アイアン・メイデン ベスト10 ~ドライブにおすすめの曲~』