MUSICSHELFトップ > 特集・連載 > Norah Jones インタビュー
Feel the Music vol.3
not too late - Norah Jones Norah Jones
■インタビュー/文:内本順一 ■デザイン:SQIP Inc  掲載日:2007.2.23
 
『ノット・トゥ・レイト』。ノラ・ジョーンズの3作目となるこのアルバムは、初めて彼女自身が全曲を手掛けた「独り立ち・第一歩」盤である。ゆえにサウンドにも歌詞にも彼女の考えがダイレクトに反映され、これまででもっともパーソナルな手触りの作品になった。音楽のスタイルに対する気負いはなく、「ノラ・ジョーンズである」という太い芯が通っているからこそ、多彩だし、自由。そのあたりがとりわけ表れている数曲について、L.A.でノラに聞いた。
--今日は新作『ノット・トゥ・レイト』の収録曲についてお聞きしたいと思います。まず1曲目の「あなたにいてほしい」。ジュリア・ケントとジェフリー・ジーグリーのチェロが独特の雰囲気を醸し出していますね。このアイディアは誰がだしたのですか?
 私よ。最初、ギターとヴォーカルだけでレコーディングして、そこにパーカッションをのせようとしたんだけど、うまくいかなかったの。それで何かキレイな、それでいてやりすぎにならない音をのせたくて、チェロを思いついたの。で、私のアイディアをリー(・アレキサンダー)に歌って聞かせて、彼がそれを録音して、譜面に起こしてくれたのよ。
--「戦時の恋ってフェアじゃないわ」という部分が印象的な歌詞ですね。始めから“戦時”というシチュエーションを想定して書いたのですか?
 そうよ。
--それは、なぜ?
 人は世の中で起きていることに影響されるものでしょう?
--「彼らにはどうでもいいのよ」という一節がありますが、「彼ら」とは政府のことですか?
 ごめんなさい。歌詞についてはそこまで説明したくないの。聴いてくれる人に自由に解釈してもらいたいから。
--2曲目の「シンキン・スーン」は、とてもユニークな曲調ですよね。
 フフッ。ちょうどそれを作る頃、みんなでトム・ウェイツを聴いていたの。明らかに彼がこの曲調に影響を与えているわね。オールド・タイム・キャバレーのヴァイヴがあって、ジャジーで。あ、ジャジーって言葉は、私は嫌いなんだけど(苦笑)
--シンガー・ソングライターのM.ウォードがこの曲に参加していますが、彼との仕事はいかがでした?
 素晴らしかったわ。彼はすごい人よ。友達になったんだけど、とても楽しい人でもあるの。私は彼の音楽が大好き。私が好きになる今のアーティストって、みんな昔の音楽を愛している人なのよね(笑)
--5曲目の「ノット・マイ・フレンド」のアレンジも今までにない感じですよね。特にアダム・レヴィのギターがユニークな雰囲気を作っている。これもあなたのアイディアですか?
 テープの逆回転のこと?これはエンジニアのトム・シックのアイディアよ。面白いアイディアだなと思って、使ってみたの。
--7曲目の「ブロークン」はシンプルでありながらも、アレンジがきいています。ここではあなた自身がギターを弾いてますね。
 この曲でギターをプレイするのは楽しかったわ。だってエレクトリック・ギターだもん。でもロック・ソングじゃないってところがおかしいでしょ?普段はバンドと一緒にレコーディングするんだけど、この曲では私ひとりで歌いながらギターを弾いてレコーディングしたのよ。
--9曲目の「ウェイク・ミー・アップ」は何気ない日常を描いた曲ですね。「今日の私はそんなに強くないの」という歌詞の一節がありますが、そういうふうに感じたとき、あなたはどう乗り越えるのですか?
 ベッドに飛び乗るわ。気持ちよくなれるから。
--ああ、寝てしまえばすっきりしますよね。
 そうじゃなくて、ジャンプするのよ。
--ジャンプ?
 そう。楽しくなるわよ(笑)
--13曲目の「ノット・トゥ・レイト」。この曲をアルバム・タイトルにした理由は?
 アルバムの中には、ダークだったりシニカルだったりする曲がわりと多く収められているわ。で、この曲をアルバムの最後に入れて、それをタイトルにしたのは、これが楽観的な曲だからで、それが大事なことだと思ったから。実際に私は楽観主義だし、ダークでシニカルな人間ではないからね。
--今のアメリカに対して、「手遅れじゃない」と言いたかったところもあるんですよね?
 曲そのものはラヴ・ソングだけど、いろんな意味を込めているの。私たちは戦争や地球温暖化などいろんな問題を抱えている。で、それに対して「もうムチャクチャだ」って言うのは簡単だけど、でも私は……。私って、けっこう言うことがクサイのよね(苦笑)
 
Norah Jones CD情報
全曲ノラ・ジョーンズのオリジナル曲で綴られた3作目
Not Too Late / Norah Jones
『ノット・トゥ・レイト』
2007.1.24
(日本先行/輸入版1.29) release
TOCP-70170
¥2,500 (tax in.)
Amazonで試聴・購入 HMVで試聴・購入

01. Wish I Could ~あなたにいて
     ほしい~
02. Sinkin' Soon
03. The Sun Doesn't Like You
04. Until The End
05. Not My Friend
06. Thinking About You
07. Broken
08. My Dear Country
09. Wake Me Up
10. Be My Somebody
11. Little Room
12. Rosie's Lullaby
13. Not Too Late
14. 2 Men (日本盤ボーナス・トラック)
Norah Jones プロフィール
1979年3月30日ニューヨーク生まれ、テキサス育ち。現在ニューヨークに在住。母親の膨大なレコード・コレクションを聴いて育つ。5歳より教会の合唱団でヴォーカルを、7歳よりピアノを始める。ノース・テキサス大学でジャズ・ピアノを専攻。しかし1999年、一ヶ月だけのつもりで訪れたニューヨークにそのまま在住し、大学にはもどらず音楽活動を始める。 まもなくジェシー・ハリス(「ドント・ノー・ホワイ」の作者)、リー・アレキサンダーらと自己のグループを結成。後にブルーノート・レコードと契約。2002年、巨匠アリフ・マーディンのプロデュースでデビュー・アルバム『ノラ・ジョーンズ』(原題: Come Away With Me)をリリース。同アルバムで、第45回グラミー賞にてノミネートされていた主要4部門を含む8部門全てを受賞。同アルバムは現在までに約2000万枚のセールスを記録。2004年セカンド・アルバム『フィールズ・ライク・ホーム』をリリース。米ビルボード初登場1位(6週連続)他、全16カ国で1位を獲得。こちらも全世界で1000万枚を超えるセールスを記録。2005年第47回グラミー賞にて「ベスト女性ポップ・ヴォーカル・パフォーマンス」(「サンライズ」from『フィールズ・ライク・ホーム』)、「レコード・オブ・ザ・イヤー」、「ベスト・ポップ・コラボレーション・ウィズ・ヴォーカル」(「ヒア・ウィ・ゴー・アゲイン」(レイ・チャールズ&ノラ・ジョーンズfrom『ジーニアス・ラヴ~永遠の愛』))の3部門を受賞。2006年リチャード・ジュリアン、リー・アレキサンダーらと結成したNY発の話題のバンド、リトル・ウィリーズのセルフタイトル・アルバム『リトル・ウィリーズ』をリリース。また2006年香港映画界の巨匠ウォン・カーワイ監督による初の英語映画「My Blueberry Nights」の主役に抜擢。共演者はジュード・ロウ、ナタリー・ポートマン等の演技派ぞろい(2007年公開予定)。2007年1月29日3年ぶりの3rdアルバム『ノット・トゥ・レイト』リリース(国内盤は1月24日リリース)。全曲ノラ・ジョーンズ本人が手がけた意欲作である。

オフィシャルサイト
http://www.toshiba-emi.co.jp/
norahjones/
ノラ・ジョーンズの素敵な聴き方
想像力には、夜の魔法と音楽が必要なの/すず奴 ノラのお気に入りアルバムたち/伊藤さとり
愛する彼の胃袋をつかむ10曲/bebe 癒されたい長い夜に/しょうやまちなつ
ノラと愛すべき仲間たちの曲/内本順一