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世界の楽屋から vol.2

moonridersの楽屋から - moonriders 鈴木慶一

■インタビュー/文:加藤賢崇 ■コーディング:Astrograph 掲載日:2009.11.17

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2009年10月~11月、新宿歌舞伎町の老舗ライブハウス「ロフト」では1ヶ月以上にわたる大イベント「DRIVE TO 2010」が連日繰り広げられていた! 80年代初頭にパンク/ニューウェイブのムーブメントの先頭に立っていた伝説のミュージシャンたちの復活、そして、その影響を今に引き継ぎ伝える若いミュージシャンたちが渾然一体となって時空を超えるコラボを見せていく、スペシャルの連続! そんな中、10月9日は筆者の参加するユニット「東京タワーズ」も出演。82年ライブデビュー、10年ぶりのステージとなるぼくたちは当然「伝説側」のほうなんですが、もっと深くて長~い大先輩が楽屋に待っていた!
この日のトリは最長寿バンド「ムーンライダーズ」ですよ。結成40年近くなっても、いまだに歩みを止めない6人の男たち。そのリーダーにして最近はソロでもますます活躍中の鈴木慶一さんにお話うかがうことにしました! なにしろこないだニューアルバム『TOKYO 7』が出たばっかりだ!

賢崇:「おひさしぶりです!」

慶一:「ひさしぶり! つっても毎日blogとかtwitterでお互いの日記やらつぶやきを読んでいると、しばらく会ってなくても、ごぶさたな感じしないね。ネット時代だな」

賢崇:「ふふ。ぼくも慶一さんがいつサッカーの練習してるかとか、全部把握してますからね!」

慶一:「白井くんも、こないだネットでつぶやいてたね「ひさびさに6人は緊張する」とかって」

白井良明:「ああ、あれはボウリングの話(笑)」

賢崇:「えっ、ライダーズのメンバー6人でボウリング?」

白井:「違うよ! 別の6人」

慶一:「なあんだ、バンドのリハで緊張してたのかと思ったよ!(笑)」

賢崇:「まったくのんきですね! ってマクラに良明さんを使わせていただきましたが、慶一さんも今日は前回のポリシックス・ハヤシくん同様、DEVOのレアなTシャツ着てるじゃないですか! うらやましい。海外で買ったの?」

慶一:「これもネット通販だけどね」

賢崇:「慶一さんは08年に見たライブでよかったのはAXのDEVOとフジロックのスパークスを挙げてましたもんねー」

慶一:「こないだのデビッド・バーンのソロもすごくよかったなあ。何もないステージから完璧な世界を構築していくのが。。おれは完璧ギライだけど(笑)」

賢崇:「そのへん、外人とはいえ同じ時代を生き抜いてきた戦友たちに負けてられないって感じですよね! ぼく的にも『TOKYO 7』で気に入った曲は、やっぱり80sニューウエーブ的なテイストのあるもの。3曲目のブリティッシュポップみたいなコーラスの入る「I hate you and I love you」や4曲目の良明さんの曲「笑門来福?」のビートが跳ねてる感じですね~」

慶一:「まあライブでも最近は80s時代のを取り上げたりしたんで。でもボーカルは以前ほど声張り上げてないけどね」

賢崇:「全体的には慶一さんのボーカルはマイルドな感じでしたね」

慶一:「あんまり歌いこんでないよね。今までの自分の歌い方にも飽きて、いろんなスタイルを試してるし。他のメンバーのボーカル入れたり。シャウトするものは今回少ないかな? 割りとしっとりしちゃった。その前のソロでもつぶやくようなボーカルとかセリフが多かったからね」

賢崇:「シーシックスですね。あれはもう役者の世界ですよ!」

慶一:「ナレーションとかボーカル以上にテイク録ったりしたからなあ。そのへん『TOKYO 7』のレコーディングにも影響してるかな」

賢崇:「しかし聴いててアルバムのラストに向かうごとにどんどん曲がつながっていくようなエンディング組曲みたいで、ちょっと驚きましたね。「本当におしまいの話」ってタイトルの曲があってから、さらに3曲も続くという。。」

慶一:「まさにジ・エンドだよね。組曲的な構成は最初から考えてたかな? その後の「パラダイスあたりの信号で」も1番は歌わないでインストと思わせて、途中から歌が入るとかね」

賢崇:「曲作りの段階で曲順とか話し合ってます?」

慶一:「まあライダーズはメンバー間で見せ札を出し合い、お互いを探りあう、みたいな曲づくりをやってきたんだけど、曲順や構成に関しては今回は早めに決めて、整理して作っていけたかな。そこもソロを曽我部恵一くんとやって、彼のやり方に教えられた面も大きいわけ」

賢崇:「ソロ活動がちゃんとフィードバックしてるんですね~。壮大なエンディング前の9曲目の「夕暮れのUFO、明け方のJET、真昼のバタフライ」とか、ぼくはタイトル見ないで聴いてたら、シンセやギターの気持ちよい音が空を飛んでるような気分だなあって、後で歌詞見たらその通りだったんで。イメージを音で具体化するって、できるんだなあと驚きました」

慶一:「あれはね、岡田くんが音を作ってる最中に、並行して歌詞を書いてて、後で合わせてみたら音と中味がピッタリ合ったという。そういう以心伝心があるんだね、長年やってると。偶然の醍醐味(笑)。最初から音に合わせて歌詞作ったわけではなかったの。我々に着地点や青写真はない。円熟もしないと」

賢崇:「永遠に試行錯誤するのがライダーズの魅力ですよ。アルバム前半の曲は特に若々しいというか、学生バンド的な初々しさがありますね!」

慶一:「そうそう。おれも学生ぽいって思った(笑)」

賢崇:「ダウンロード時代になって、ビジュアル抜きで楽曲だけを純粋に楽しんでほしい、とミュージシャンのほうが求めるかと思いきや、ミュージシャンの側がまだまだジャケット写真にこだわったり周辺の情報を積極的に発信したりしますね」

慶一:「アメリカとかもそうだよね。楽曲がバラバラに配信される時代なのに、コンセプトアルバムみたいなのが増えたり。やっぱり楽曲だけを聴いて納得してもらうんじゃ済まない。様々な情報を重層的に重ねて見ないと本質が見えてこないってのもあるね。情報が増えると想像することが減るんじゃなくて、ますます想像力もふくらむんだし」

賢崇:「さて今回のジャケット写真は66年のビートルズ来日記者会見のパロディぽくなってますが、まさかリマスター盤発売に便乗しようと(笑)?」

慶一:「いやあ、いちおう意識はしたんだけど、リリース時期がこんなに近くなるとは。これも偶然だよ」

賢崇:「ムーンライダーズは6人なのに、なぜセブン? と裏返すと、サポートドラマーの夏秋くんが写ってるという。これは「ウルトラセブン」のオマージュですか? ウルトラ警備隊員が6人いて、7人目がウルトラセブンていう」

慶一:「違うよ~。セブンて「シカゴ・セブン」なんだよね。68年、アメリカの民主党大会で暴動が起きて捕まったメンバーていう、政治的事件からとった。あと「TOKYO 7」てメーリングリストの名前で、バンド6人とマネージャーのことなんだけど。そいえばウルトラセブンにも似てるか。常に7人目のメンバーは変身した誰か、みたいなイメージだもんね」

賢崇:「東京○○ていうタイトルの付け方も、ビートルズとか東京タワーができた頃みたいな60年代ぽいイメージかと思いましたが」

慶一:「いや、逆に現在の東京が特別なイメージがなくなってきたから、TOKYOをつけてみた感じ。ライダーズって、ずっと東京らしいバンドって言われ続けてイヤ気がさしてたんだけど、イヤじゃなくなってきた(笑)。もう東京って概念があいまいじゃん」

賢崇:「今や東京、すなわち都会的ってことでもない感じですね」

慶一:「全然ない。もう名古屋でも大阪でも山口でも変わらないでしょ? 東京が特別でないっていうのは地下鉄とか私鉄がどんどん接続したのも大きいかな、もう関東の端までつながってるでしょ? にじみ出してるような」

賢崇:「東京の境目がなくなって、グラデーションになってますよね。都心の町中も高層ビルとか増え過ぎて何がランドマークかわからないし、東京というイメージが透明化してハッキリしない? これじゃオリンピックもできませんね」

慶一:「透明度がバレちゃったんじゃない? 一見小ギレイなだけで、祝祭に向かう下から沸いてくるようなパワー、エネルギーがないもんな。それが読まれたんだよ(笑)」

賢崇:「そんな東京へ、ムーンライダーズがじわーっと、にじみ出していく。。」

慶一:「おれたちも透明度増してるかもしれないよ(笑)。透明ってのは、実は渾沌を含んでるの。透き通って見えてくるかな?と思うと、いろんなものが薄まって、にじんでるだけで。確固とした6つのポイントだけがあるんだけど拡散して見えない。透明がカオスである、と。そこが「TOKYO 7」の意味になるかもね」

「う~ん。さすが御大、何気ない言葉にも哲学がほとばしる!
この日のムーンライダーズのライブは、82年に雑誌ビックリハウスのイベントで行われた糸井重里さん主催の「ヘンタイよいこ集会」に出演したときを再現したかのような内容で、ロフトに集まった通のファン、ライダーズマニアたちをうならせました!
全員白装束で椅子に座ったまま、曲目も80年代初期の名盤「マニアマニエラ」「青空百景」からのナンバー中心。それでもアレンジは昔と大幅に変えてアンプラグドな感じに演奏したのです。たゆまぬ実験精神が素晴らしい。新譜からの演奏は、1曲目の「タブラ・ラサ」とアルバムラストの全員がボーカルをとるナンバー「6つの来し方行く末」だけでした。「TOKYO 7」から、たっぷり聴けるのは11月以降のツアーとなりますね! こっちを楽しみに待ちましょう!」

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