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the players' worlds プロの世界「Vol.14」ポール・ギルバート “ギター生活32年目の新境地「咆哮!!」”
■撮影:本多元  ■インタビュー/文:MUSICSHELF編集部
掲載日:2008.1.25
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 エディー・ヴァン・ヘイレン以降に登場したギターヒーローの中でも飛び抜けたギターテクニックと常に人々を楽しませてくれるキャラクターで、現在もなお、ギターファンに愛され続けている”スーパーギタリスト”ポール・ギルバート。MR.BIGを卒業してからは、自らの常套句を封印するかのごとく、愛するポップ、ロックミュージックを追究していたが、一昨年、突如、その封印を解き、自身初となるギター・インストゥルメンタル・アルバムで、再びメインストリームに躍り出た。その後、大盛況のワールドツアーを経て、待望の第2弾“インスト”アルバム『咆哮!!』のリリースだ。しかし、通常のインスト・アルバムと同じだと思ったら大間違い。今回のアルバムにはロックミュージシャン、ポール・ギルバートの歴史と彼の音楽エッセンスがこれまで以上にぎっしりと詰め込まれている。
ポール・ギルバート--前回のインスト・アルバムに引き続き、今回もインストにチャレンジした理由を聞かせてください。
 前作はすごく満足できる出来だったんだけど、それ以上にツアーに出てみて、ファンの反応がとにかく良かったんだ。そこで自分の中のインストゥルメンタルに対する気持ちがものすごく盛り上がってね。せっかく盛り上がったんだから、もう一歩先に行ってみようかなって思ったんだ。そこで終わらしてしまうのはもったいないしね。今回はインストを作曲するという事に慣れてきたようで、気楽に向き合う事ができるようになったよ。
--先日インストア・ライブを観ましたが、今まで以上に歌がなくてもギタープレイやフレーズ1つ1つが単語となって、まるで曲を通してオーディエンスと会話しているような印象を受けました。
 ありがとう。今回のアルバムは、最初からギターを弾きながら書くんじゃなくて、最初にハミングし(口ずさみ)ながらメロディを作り、次にそのメロディをギターでなぞるというやり方で作ってみたんだ。そうする事によって、自分のテクニックに左右される事なく、本当の意味でのメロディがダイレクトに出てくるからね。だから余計にそう感じられたんじゃないかな。
--では、例えばそのハミングに歌詞を乗せたら更に良い歌が完成できたんじゃないかなって曲もあったんですか?
 そうだね。ただ今回は、振り返ると不思議だなって感じるんだけど、無意識のうちにギターが奏でるんだという気持ちが常にあったんだ。ギターの素晴らしさって声の届かない音域まで平気で届くでしょ。だから今回はギターというシンガーに歌わせたんだ。それが僕にとってすごく新しいテリトリー(新境地)なんだ。
--アルバムタイトルについてお訊きしたいのですが、「Silence Followed By A Deafening Roar」日本語タイトルは「咆哮!!」(ほうこう:獣がたけり吠えることという意味)ですが、このタイトルをつけた理由を教えてください。
 アルバムに収められている曲ほとんどが、パワフルなロックなので力強いタイトルが欲しかったのがという事と、音楽の中で静寂と爆音という相対するコントラストってすごく大事な部分で、今回はその部分を強く意識して作ったという事でタイトルにしたんだ。
ポール・ギルバート
--具体的にどのような部分で意識されたんですか?
 ギターっていうのはダイナミックな部分を出すのがかなり難しい楽器なんだ。なぜかというと普通のロックギタリストは歪みをかけてるから、動の部分は一杯出せるんだけど、静の部分は出すのが難しいんだ。だからあえて今回のアルバムでは弾かない部分の空間を大事にしてみたんだ。それは非常に大きなチャレンジであって、これも僕にとっての新境地だね。
--今回も弦楽器の弓やカウベルを使ったり、まるでフルートのようなトーンを出したり、その昔はドリルを使った奏法がありましたが、ポール・ギルバートさんの表現には必ず思いもよらない工夫やアイデアが盛り込まれていますよね。
ポール・ギルバート それは父親の影響だよ。父親は陶芸などをしていたアーティストなんだけど、発明家のような人でね、普通では考え付かないようなユーモアのセンスや遊び心があって、例えばゴジラの形をしたバター入れを作ってみたりとか、音楽の面でも、シンバルをつけた帽子を作って、ドラマーに叩かせてみたり、アンプの音を良くするためにマーシャルアンプになぜかトースターをつけてみたりとか(笑)、その斬新な考え方というのを自分が引き継いで今に至っているんじゃないのかな。
--そこに人を楽しませる原点があったわけですね。
 両親が手作りにこだわっていてね、「心を籠めたいのなら必ず自分の手で作りなさい」って子どもの頃から教えられてきたんだ。例えばクリスマスカードや誕生日カードなんかも市販のものは買わないで、時間を掛けて1つ1つ作るんだけど、その大変な作業をして出来上がった1枚が大切で、その気持ちは今でも忘れずに持ち続けているよ。
--「Bronx1971」という曲がありますが、何かの思い出のようなタイトルですね。
 4、5歳の頃で、両親がNYに初めて連れて行ってくれて、その頃のカルチャーシーンが強く印象があって、その思い出を音楽にしてみたんだ。
--ちなみに音楽が好きになったのは何歳位ですか?
ポール・ギルバート 多分2歳位のとき、もちろん自分の記憶は未だなかったんだけど、両親と一緒にビートルズの映画『イエローサブマリン』を観にいって、両親いわく、映画が終わった瞬間に僕の顔を見たら、とにかくひたすらビックリしていたと(笑)。今でもビートルズは僕のヒーローなんだけど、その頃から種は撒かれていたんだなと。
--「The Gargoyle」では、ギターファンなら「待ってました!」と言わんばかりのプレイを聴かせてくれていますね。やはりメタルミュージックは今でも重要なナンバーなんですね。
 僕の自宅は鹿やリスなど野生動物とも出会える静かな場所にあって、ともすれば、一日中その景色を眺めながらアコースティックギターを弾いていたい気分なんだけど(笑)。僕にとってライブはすごく大きな存在でね、その中でやっぱりメタルミュージックというのはステージ上でのエネルギーをみんなに伝える事ができる最適な音楽なんだ。今回も次のツアーを考えて、必ずどこかで一曲は入れたいと思っていてね、まさにそんな曲だよ。
 
ポール・ギルバート’s PLAYLIST: 「Check It Out!!」
 
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収録曲
01. Silence Followed By A Deafening Roar
02. Eudaimonia Overture
03. The Rhino
04. Norwegian Cowbell
05. I Cannnot Tell A Lie
06. Bronx 1971
07. Suite Modale
08. The Gargoyle
09. I Still Have That Other Girl
10. Bultaco Saturno
11. Paul Vs. Godzilla
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ポール・ギルバート プロフィール
ポール・ギルバート
PAUL GILBERT
(ポール ギルバート)
1966年アメリカ、イリノイ州生まれ。5歳の頃から両親の影響で、ビートルズ や ジミ・ヘンドリックス等 を聴き始めたのを機に音楽に目覚める。9歳の時にはレッド・ツェッペリンはキッス といったハード・ロックも聴くようになり、この時にはギターも弾き始める。ハイ・スクールを卒業したポールはL.Aはハリウッドのミュージシャン養成スクールに在籍し、講師なども務めた後、1986年にレーサー Xを結成しプロ・デビューを飾る。1988年にはレーサー Xを脱退しエリック・マーティン、ビリー・シーンらのMr. Bigへ参加し同バンドは大成功を収める。Mr. Bigは1996年に活動を停止しポールはソロ活動を開始(1999年にバンドからの脱退を正式に表明)。1997年に「キング・オブ・クラブス」でソロ・デビュー。「フライング・ドッグ」(1998年)「アリゲーター・ファーム」(2000年)「バーニング・オルガン」(2002年)「スペース・シップ・ワン」(2005年)と順調にソロ・アルバムを発表、いずれも大ヒット!そしてここ日本でも他を圧倒するギター・テクニックと高度なミュージシャン・シップに裏打ちされたキャッチーなハード・ロック・サウンド、そしてその明るいキャラクターで一躍人気者となりソロ・アーティストとして不動の地位を築く。 2008年1月、自身2枚目となるインスト・アルバム「咆哮!!」リリース。
オフィシャルサイト:
http://www.paulgilbert.com/