男装、演奏、歌唱……。劇中で八面六臂の活躍を見せ女優としても新境地 - 栗山千明

■インタビュー/文:村尾泰郎 ■撮影:加藤雄生 ■制作:Astrograph
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 映画の中で、ストーリーの核となる最も重要なキャラクターを演じた栗山千明。『キル・ビル』など、エキゾチックな個性で知られる美人女優が、男装にチャレンジ。グループ・サウンズ(GS)、タイツメンのメンバーとして、白タイツにマッシュルームカットの王子様姿で熱演している。さらには演奏シーンやソロで歌を披露するシーンなど、今までの彼女とは一味違った魅力がうかがえる。世代的にも全く未知の世界であるGSの世界は、彼女の目にどう映ったのか?

情もありながらも冷静でクールな大野ミクは私の理想のタイプ

栗山千明--まず、栗山さんが演じた大野ミクという登場人物については、どんな印象をもたれました?

 憧れというか、カッコいいなって思いました。私の理想のタイプに近いです。普段口数も少ないし、みんなと盛り上がるわけじゃないんですけど、何かうちに秘めた熱いものがあるというか。あと、最初はイヤイヤやっていたバンドのメンバーと友情が生まれたりして、ちゃんと情もありながらも冷静でクールなんですよね。

--GSについてはどんなイメージを持っていました?

 最初、GSって聞いてもよくわからなくて。グループ・サウンズって聞いて「あー、なんか聞いたことあるな」くらいでした。だけど、母が20代だった頃がちょうど60年代後半ぐらいで、けっこう母がGSのことを知っていたんですよ。だから「タイガースっていうバンドがいて、そこには沢田研二さんがいて……」とか、いろいろと聞きました。今でも活躍されている方で、もとはGSやっていた人がいっぱいいるんだよって。

栗山千明--本田監督はかなりのGSマニアですが、監督からはCDや資料を渡されたりしましたか?

 最初にお会いしたときに、もうすでに監督オススメの曲をCD1枚にまとめて下さっていて。映画の最後のほうで私が歌う曲(「ダイアモンド・ナイト」)があるんですけど、それが台本には「伊勢佐木町ブルース」っぽい感じって書いてあって、その曲もCDに入っていました。それ以外にも昔の記事の切り抜きのファイルをもらったりして、いろいろと教えてもらいました。

GSワンダーランド--初めて体験したGSの感想は?

 なんかアニメとか漫画の世界みたい。

--GSってある意味、コスプレですもんね。

 そうですね。男の人でもちょっとフェミニンな格好をしたりとか、タイツメンみたいな王子様みたいな格好とか。でも私はコスプレ好きなんで楽しかったです。いちばん最初にこの話が来て何が嬉しかったかって、男装できることでしたから(笑)。

--実際に男装をしてみてどうでした?

 すごく気に入って、写メをいっぱい撮ってみんなに送りました。私、兄がいるんですけど、お兄ちゃんにそっくりなんですよ(笑)。お兄ちゃんに写メで「似ているでしょ?」って送ったら、「気持ちワリ~」って返ってきました(笑)。

--男装と同じく、バンドも初体験だったと思うんですがいかがでした?

 楽しかったです! もともとバンドというものに憧れていたんですよ。私、ヘタながらもギターを一所懸命やっておりまして、やり始めた時とか「バンドやりたい」と思っていたんですけど、こういう職業をしているので、「誰かと時間を合わせて練習とかって難しいな」って諦めていたんです。なので、疑似体験ができて楽しかったですね。

栗山千明--ちなみに憧れのアーティストは?

 私が最初にギターをやりたいなと思ったきっかけは、椎名林檎さんとアヴリル・ラヴィーンが好きだったからなんです。2人ともギターを弾きながら歌って、しかも女性だというのがすごい憧れで。それでやり始めたのですけど、林檎さんの曲は難しいのでアヴリルばっかり練習しています(笑)。

--ソロで「ダイアモンド・ナイト」を歌うシーンは緊張しました?

 あのシーンは初日だったので、すごく緊張しました。逆にファースト・カットの日劇を眺めているシーンが最終日だったんですよ。だから最初と最後が逆で。でも今思うと、ずっと夢見ていた念願のデビューということで、ミク自身も緊張していたと思うんです。そんな気持ちとリンクするように私も初日で緊張していたので、ちょうどよかったのかなとも思います。

栗山千明--「伊勢佐木町ブルース」っぽく歌えました(笑)?

 ちょっと恥ずかしかったですね(笑)。正直この歌はギャグみたいな感じです。当時の女性ヴォーカルって、すごいハスキーだったり声が低かったりするのが特徴だったらしくて。それを意識しなきゃ、って普通に発声するより、かなり低い感じで歌っていたんですよ。歌を吹き込む時は、マイクの前で「あ~、あ~(かなりの低音)」って声を出しながら歌っていました。

--映画に出てくるような60年代カルチャーについては、どんな印象をもたれました?

 なんか、おもちゃみたいというか……。音楽的にはすごくわかりやすくてキャッチーで、今の時代の曲とは逆ですよね。今の曲って、ちょっと難しかったりとか、楽器もいろんなものが入っていたりするじゃないですか。でも当時の音楽ってシンプルで、メロディーがすっと入ってくる。衣装とか今見ると笑っちゃいますけど、そこから今の音楽が生まれたんだなと思うと、すごいなと思います。ファッションなんかは可愛いので好みですね。今の時代に普段着としてはなかなか着られないですけど、ひとつひとつがお人形さんみたいな感じだし。

--でも、映画を観て栗山さんの歌がとても良い感じだったと思うんですが、今後、改めてシンガーとして歌を吹きこんでみたい、という気持ちはあります?

栗山千明 いや~、でも今回の映画で歌は難しいなと思いました。もしそんなことになるんだったら相当練習しないと……。

--もしかしたら、ギターを弾きながらだったりして。

 わあ、そのときは頑張ります!(笑)。

栗山千明 プロフィール

栗山千明栗山千明

1984年10月10日生まれ。少女時代からファッションモデルとして活躍。1999年に『死国』でデビュー。2000年の『バトル・ロワイヤル』での演技がクエンティン・タランティーノ監督の目に止まり、『キル・ビル VOL.1』に抜擢される。以後、『妖怪大戦争』(05年)、『スクラップ・ヘブン』(05年)、『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』(06年)、『エクステ』(07年)、『天狗外伝』(07年)、『KIDS』(08年)、『スカイ・クロラ』(08年)に出演。現在、『小森生活向上クラブ』と『鴨川ホルモー』が公開待機中。7月には、井上ひさし作、蜷川幸雄演出の舞台『道元の冒険』に初挑戦した。

オフィシャルサイト:
http://www.spacecraft.co.jp/chiaki_kuriyama/

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