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特集: 今夜はトーク・イット ~マイケル・ラヴァーズのドント・ストップ対談~ - 和田唱(TRICERATOPS)×西寺郷太(NONA REEVES)
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和田唱 和田:だいたい『スリラー』ってさあ、82年の暮れに出て、83年にドカーンと売れたわけだけど、84年もビルボードの年間チャート1位でしょ。もっと言えば85年ぐらいまで余韻を引きずってたアルバムだよね。
 西寺:引きずってたねえ。それこそ7枚目のシングル・カットになった「スリラー」って84年の2月とか3月でしょ。それであのショート・フィルムがめちゃくちゃ話題になって。
 和田:そう、それいつも不思議に思うんだけど、あんなキモになるような曲をなんで最後のほうまでとっておいたのかなって。他の曲でも十分勝負できるって余裕があったのかな。
 西寺:そうかもね。でもさあ、これってロッド・テンパートンの曲だけど、職業作曲家がいきなりオバケの歌とか作ってこないと思うんだよね。マイケルにはそれまで「ロック・ウィズ・ユー」とか「オフ・ザ・ウォール」とか作ってた人だから。
 和田:じゃあ、ちゃんとオファーしてたのかな。ホラーとダンスを合わせたようなものを作ってほしいって。マイケルはホラー映画好きだしね。
 西寺:きっとそうだよ。
 和田:あとさあ、『スリラー』も『BAD』も最初のシングル・カットってずいぶん地味な曲選んでるよね。「ガール・イズ・マイン」と「キャント・ストップ・ラヴィング・ユー」でしょ。どっちもデュエットだし。
西寺郷太 西寺:それはいろんなラジオ局でかけてもらうためなんだって。「キャント・ストップ・ラヴィング・ユー」だと、白人のイージーリスニング系チャンネルでもかかるし、黒人の局でもかかるし。たとえば「ビリー・ジーン」とか「ダーティー・ダイアナ」とかだと、局が限定されちゃうみたい。最初のシングル・カットに関しては、そのへん気を遣ってるんだろうね。
 和田:でもさあ、「ガール・イズ・マイン」ってポール・マッカートニーとデュエットしてる曲でしょ。並みのアーティストのアルバムだったら、かなりの目玉の曲になると思うんだ。でも、『スリラー』は、そこが売りじゃないんだよね。もっとも成功した音楽家って認定されたポールとやった曲があるのに、『スリラー』の印象って「ガール・イズ・マイン」に集約されてるわけじゃないでしょ。ポールの『パイプス・オブ・ピース』はマイケルとやった「セイ・セイ・セイ」が売りなんだけどね(笑)。この時点ですでにポールを越えちゃったんだなって。
 西寺:マイケルって、共演した人をしょぼく見せる天才なんだよね(笑)。だから、ポールも「セイ・セイ・セイ」以降、大ヒット曲がないんだよ。
 和田:ホントそうだね・・・。
 
 西寺:まあ、それはともかく、『スリラー』を語るときって、どうしても『オフ・ザ・ウォール』と『BAD』の三作で語ることになるよね。
 和田:うんうん、クインシー三部作ね。
 西寺:そう。まず、『オフ・ザ・ウォール』っていうのはクインシー・ジョーンズとマイケルの力関係が8:2だったアルバムなのね。クインシーっていうのはフランク・シナトラとかマイルス・デイヴィスとも仕事してたし、レイ・チャールズとも幼なじみだったぐらいの人だから、マイケルが天才だって言われてても、彼にとってはかわいい小僧みたいな存在だったと思うんだよ。だから、マイケルがやりたかったことも、ある程度突っぱねられたんだよね。だけど、『オフ・ザ・ウォール』がヒットしたことでマイケルも自信がついたから、『スリラー』ではやりたいことが少しやれるようになった。それでたとえば「ビリー・ジーン」とか「今夜はビート・イット」みたいな曲がやれたんだよね。
 和田:「ビリー・ジーン」は地味だって言ったんだよね、クインシーは。あのベースラインも好きじゃなかったみたいだし。
和田唱×西寺郷太 西寺:クインシーっていう人は、あの歳にしてはものすごくバランス感覚がよくって、最先端な感覚を持ってた人なんだけど、やっぱブラック・ミュージックっていう範疇での発想だし、それを守るべきだって思ってる人なんだよね。でも、マイケルはもうちょっとわがままっていうか、ヘヴィーなギターを入れてみようよ、エディー・ヴァン・ヘイレンに頼んでみたらおもしろいんじゃない?みたいな、突拍子もない発想をするんだよね。クインシーって、いろんなアーティストをプロデュースしてるけど、こういうわがままをやらせてるのってマイケルだけだから。で、半ば強引に押し切ってシングル・カットした「ビリー・ジーン」とか「今夜はビート・イット」がヒットしたんで、マイケルはプロデュースにオレの名前も入れろって言ったんだけど、クインシーは、プロデューサーはオレだ!って言い張ったりしたんで、大成功したアルバムなんだけど、『スリラー』の時のふたりは結構気まずい感じだったんだよね。
 和田:もう、対等になってきちゃったんだね。
 西寺:だから、『BAD』ではオレがやらせてもらうよって、8:2でマイケル優位なんだよね。それでね、これはおもろいなって思ったことがあって、クインシーは『BAD』を作るってなった時に、数年間準備して集めた曲をマイケルにことごとく却下されるんだよ。それでクインシーはどうしたかっていうと、『BAD』が出たあと、グラミーを獲れなくて落ち込んでたマイケルに対して、オレの言うとおりにしておけばよかったのにって感じで『バック・オン・ザ・ブロック』って自身名義のアルバムを出すんだよ。これは本当に、マイケルに対するクインシーの挑戦状。クインシーはね、「あんたには新しい音楽はわかんないだろう?」って、『BAD』の時にマイケルから散々ほのめかされてるんだよね。和田唱×西寺郷太クインシーはストリートじゃないってことも。それでクインシーは、じゃあ見せてやろうじゃないかって『バック・オンザ・ブロック』を作るんだけど、ここに入ってる「トゥモロウ」って曲はクインシーが『BAD』のために用意してた曲で、それをわざとテヴィン・キャンベルみたいな若い天才シンガーに歌わせたり、最後の「ザ・シークレット・ガーデン」って曲も、かつてマイケルの二番煎じって言われたエル・デバージに歌わせてるんだけど、これももともとマイケルに歌わせるために用意した曲だとオレは読んでるんだよ。クインシーは、「オレはストリートに戻ってきたぞ、マイケルはオレをストリートじゃないって言うけど、『BAD』こそヘンだぞ」って言いたいがためにこのアルバムを作ったんだよね。これはもう、マイケルとクインシーの大ゲンカだよ(笑)。
 和田:へぇ~、そういう経緯があったってぜんぜん知らなかった。
 西寺:まあ、これはオレがひとりで考えた推理で、今日ほぼ初めて話すんだけど(笑)。
 和田:そうなんだ(笑)。そこまでやるかってね。
 西寺:『BAD』はさあ、ホントに80年代の最期ってアルバムだなって思うわ。このあとにジャネットの『リズム・ネイション』とかSOUL II SOULとかが流行ってさ。SOUL II SOULを初めて聴いた時、時代が変わったなあって思ったもん。『BAD』はね、87年に出たアルバムだけど、世の中に出るまで時間がかかりすぎたんだよね。大事に作りすぎた。本来なら85年とか86年に出しておくべきだったんだけど、マイケルがああだこうだ言ってるあいだに時代とズレちゃったと思うな。だから、出てからもあまり引っ張れなかった。とにかく、いろんな要素が『スリラー』前後のアルバムにはあるよね。
 
和田唱×西寺郷太's PLAYLIST: クインシー三部作にまつわるエトセトラ
 
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ディスコグラフィー
エピック/ソニー編

(※[]は、オリジナルリリース年)

■オリジナル作品

オフ・ザ・ウォール / マイケル・ジャクソン
オフ・ザ・ウォール [1979]
EICP-21 / ¥2,520 (tax in.)
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スリラー / マイケル・ジャクソン
スリラー [1982]
EICP-22 / ¥2,520 (tax in.)
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バッド / マイケル・ジャクソン
バッド [1987]
EICP-23 / ¥2,520 (tax in.)
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デンジャラス / マイケル・ジャクソン
デンジャラス [1991]
EICP-24 / ¥2,520 (tax in.)
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インヴィンシブル / マイケル・ジャクソン
インヴィンシブル [2001]
EICP-20 / ¥2,520 (tax in.)
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■ベスト盤、Remix他

ヒストリー パスト、プレズント・アンド・フューチャー ブック1 / マイケル・ジャクソン
ヒストリー パスト、プレズント・アンド・フューチャー ブック1 [1995]
ESCA-6200~01 / ¥3,568 (tax in.)
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ブラッド・オン・ザ・ダンス・フロア~ヒストリー・イン・ザ・ミックス / マイケル・ジャクソン
ブラッド・オン・ザ・ダンス・フロア~ヒストリー・イン・ザ・ミックス [1997]
ESCA-6704 / ¥2,345 (tax in.)
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NUMBER ONES / マイケル・ジャクソン
NUMBER ONES [2003]
EICP-333 / ¥2,520 (tax in.)
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エッセンシャル・マイケル・ジャクソン / マイケル・ジャクソン
エッセンシャル・マイケル・ジャクソン [2005]
MHCP-745~6 / ¥3,360 (tax in.)
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ディスコグラフィー
モータウン編


■オリジナル作品

ガット・トゥ・ビー・ゼア / マイケル・ジャクソン
ガット・トゥ・ビー・ゼア [1971]
UICY-3863 / ¥1,750 (tax in.)
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ベンのテーマ / マイケル・ジャクソン
ベンのテーマ [1972]
UICY-3864 / ¥1,750 (tax in.)
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ミュージック・アンド・ミー / マイケル・ジャクソン
ミュージック・アンド・ミー [1974]
UICY-3865 / ¥1,750 (tax in.)
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フォーエバー・マイケル / マイケル・ジャクソン
フォーエバー・マイケル [1975]
UICY-3866 / ¥1,750 (tax in.)
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■ベスト盤

ベン~ベスト・オブ・マイケル・ジャクソン / マイケル・ジャクソン
ベン~ベスト・オブ・マイケル・ジャクソン [2005]
UICZ-1154 / ¥2,548 (tax in.)
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