MUSICSHELFトップ > 特集・連載 > 濱田高志 インタビュー
特集 作家性に着目したアンソロジストのこだわり 発掘と選曲 - 濱田高志
掲載日:2007.02.19
■インタビュー/文:ウチタカヒデ ■撮影:阪本勇
■取材協力:山の上ホテル ■デザイン:SQIP Inc.
Page1 Page2 Page3 プレイリスト
 
 リスナーに「和物ソフトロック」や「作家コンピレーション」といった新しい概念を提示し、ある時は“土龍団(もぐらだん)”のメンバーとして、またある時はアンソロジストとして、考古学者を思わせる視点で音楽遺産を発掘し続ける濱田高志。
彼が関わった『ソフトロック・ドライヴィン』や『TV-AGE』は、異例ともいえるヒット・シリーズとなり、マニア層のリスナーをはじめ、多くのアーティストやクリエイター、DJにも影響を与えた。2005年には、監修を担当したBS音楽番組『HIT SONG MAKERS 栄光のJ-POP伝説』が、日本民間放送連盟賞〈テレビエンターテインメント番組部門・最優秀賞〉を受賞したことで、その研究成果が実を結んだことも記憶に新しい。また映画音楽界の巨匠ミシェル・ルグランら作家との厚い信頼関係から、多くの企画に関わっていることでも知られている。
ここではそんな彼に、アンソロジストへの歩みとコンパイラーとしてのこだわりについて聞いてみた。
『ソフトロック・ドライヴィン』への道のり
-- そもそも土龍団(もぐらだん)をお作りになったきっかけと、その活動を強く駆り立てたものは何ですか?
 土龍団は、友人と3人で作っていた発掘チームで、一緒に活動するようになったきっかけは、好きなものというよりも、嫌いなもの、苦手なものが似ていることでした。知り合ったのは94、5年で、話しているうちに、嫌いなものだけでなく、好きなものにも共通点があることがわかったんです。例えば、歌手よりもコンポーザーやアレンジャーが好きだったり、制作スタッフや発売データに目配せする点だったり。当時、洋楽はともかく、邦楽をそうした観点で聴く友人が周りにいなかったこともあって、おのずと3人で連絡を取り合う頻度が高まっていったんですね。そのうち互いの家でレコード棚拝見みたいな感じで集まるようになって、それぞれが手持ちの盤からディープな選曲テープを作るようになりました。で、ある時、それらをコンピレーションCDとして出せないかと考えるようになったんです。動機は単純で、自分たちが欲しいCDがないなら、自分たちで作ってしまおうと。
-- それが『ソフトロック・ドライヴィン』シリーズに繋がるわけですね?
濱田高志 そうです。ただ、レコード会社の邦楽セクションに知り合いがいなかったので、まずはGS研究家の黒沢進さんに相談して、東芝EMIのディレクターの方を紹介してもらったんです。当時、3人とも、黒沢さんが企画・監修されていた『カルトGSコレクション』のリスナーだったので、黒沢さんなら我々がやりたいことを理解してくれるだろうと思いまして。とはいえ、こちらは素人ですから、企画がそう簡単に通るわけがないと思っていました。ところが、企画書をご覧になったディレクターの方が、「こんな奇特なことをやろうとしている若者がいる!」と興味を持ってくれて、すぐに他のレコード会社のディレクターにも声をかけてくれたんです。ですから、企画の実現にはさほど時間はかかりませんでした。選曲はテープ交換していた時のリストがありましたし、解説を書くにもそれぞれが誰に頼まれるでもなく、独自に国会図書館なんかで調査していたので(笑)、さほど手間取らなかったんです。ただ、いざCDを出す段階になった時、3人の名称をどうするかということになって、その点ではしばし悩みましたね。当時は、それぞれが仕事を持っていましたし、これも1回きりの企画だと思っていたので、最終的にはヤケクソというか、半ば洒落で、それこそ暴走族のような、漢字の画数が多いダサイのにするかってことで、土龍団にしたんです(笑)。
-- その後、濱田さんのお仕事はどのように進展しましたか?
 ドライヴィンは、あくまでもその場限りの企画でしたから、その後、土龍団を続けるつもりはなかったんです。ところが、ありがたいことに、その後、各レコード会社のディレクターの方から連絡を頂くようになって、気が付けば結構な数のコンピレーションや再発CDの制作に関わらせて頂きました。その時に知り合ったディレクターの方とは今もお仕事させて頂いていますし、また、そこから色んな方をご紹介して頂くことで、徐々に人脈が広がっていきましたね。もっとも、僕自身は数年前に土龍団を抜け、今は個人名義でCD制作に関わっているんですが。
そもそも、ドライヴィンを作る1年前の95年に、ミシェル・ルグランの『THE WARM SHADE OF MEMORY』というアルバムの制作に関わったのが、初めての企画・解説執筆で、それもアルバイト的な気持ちだったので、まさか10年以上CD制作に関わることになるとは思いませんでした。
| 1 | 234次のページ
濱田高志 プロフィール
音楽ライター兼アンソロジスト。これまで国内外で企画・監修したCDは300タイトルを数える。ほかに『MONO AQUIRAX 宇野亜喜良モノクローム作品集』、『SAMURAI AQUIRAX 宇野亜良時代小説挿画集』(愛育社)といった画集の編集や、BSフジ『HIT SONG MAKERS 栄光のJ-POP伝説』、文化放送『鴻上尚史のことばの寺子屋』の番組構成など、書籍、テレビ・ラジオの分野で活躍。現在は「イージーリスニング・ステーション」(USEN)の選曲や「エキスポ・ジェネレーション」、「濱田高志のトレジャー・ミュージック」(STAR digio)のパーソナリティを担当。ミシェル・ルグランからの信頼も厚く、世界初の公認本「ミシェル・ルグラン 風のささやき」(音楽之友社)を執筆したほか、「コカ・コーラCMソング データブック」(ジェネオン)「Love Sounds Style読本」など編・著作多数。

濱田高志 CD情報
【TV AGEシリーズ】
のこいのこ大全 / のこいのこ のこいのこ大全
のこいのこ

Amazonで試聴・購入 HMVで試聴・購入
ヤマタケ・ハードボイルド / 山下毅雄 ヤマタケ・ハードボイルド
山下毅雄

Amazonで試聴・購入 HMVで試聴・購入
Broadcast Tracks '69-'72 / 渡辺貞夫 Broadcast Tracks '69-'72
渡辺貞夫

Amazonで試聴・購入 HMVで試聴・購入
ランコントル〜イストワール・ドゥ・マミ / 小山茉美 ランコントル〜イストワール・ドゥ・マミ
小山茉美

Amazonで試聴・購入 HMVで試聴・購入
あの日の教室〜さわやか3組 NHK子ども番組テーマ集 / サウンドトラック あの日の教室〜さわやか3組 NHK子ども番組テーマ集
Amazonで試聴・購入 HMVで試聴・購入
NHK少年ドラマ・シリーズ「タイム・トラベラー」 オリジナル・サウンドトラック / サウンドトラック NHK少年ドラマ・シリーズ「タイム・トラベラー」
オリジナル・サウンドトラック

高井達雄

Amazonで試聴・購入 HMVで試聴・購入
MOONRIDERS CM WORKS 1977-2006 / ムーンライダース MOONRIDERS CM WORKS 1977-2006
ムーンライダース

Amazonで試聴・購入 HMVで試聴・購入